更新日:2025.06.24
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電子帳簿保存法はスキャナ保存することで、紙で郵送・受領した書類もデータでの保存が可能になります。制度に対応する際は画像に対して解像度のルールがあるため、理解してからスキャンをおこなうことでミスを防げます。
解像度の要件はスキャンをおこなう媒体によっても変わるため、自社の使用する機器にあわせたルールを確認しておきましょう。
本記事では、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の解像度要件や解像度を確認する方法を解説します。
スキャナ保存は、ハンドスキャナ・複合機、スマートフォンなどの機器を使用してスキャンをおこないます。読み取った画像には機器によって異なる要件が定められているため、自社が使用する機器に求められる解像度を確認しておきましょう。
ここでは、電子帳簿保存法のスキャナ保存で求められる解像度要件を読み取り機別に解説します。
ハンドスキャナ・複合機を使用して紙の書類をスキャンする場合、「200dpi相当以上」の解像度が求められています。
一般的に、書類をスキャンする際は解像度を設定できるため、200dpi以上が指定されているか確認しておくとミスを防げます。設定の値が低い場合は、電子帳簿保存法の要件を満たせないため注意しましょう。
スマートフォンのカメラ機能を利用する際は、387万画素以上での撮影が求められます。
この画素数は、写真をA4サイズの書類と仮定した際、内容の判読に必要な画素数です。近年のスマートフォンは高画素の機種が多いため、一般的に要件を下回る可能性は高くありません。
スマートフォンを使用しての保存を検討しているのであれば、購入時に画素数を確認しておきましょう。
電子帳簿保存法において、解像度の要件が明示されているのはスキャナ保存のみです。電子帳簿保存や電子取引の場合は異なるルールが定められているため、混同しないように注意しましょう。
なお、電子取引のデータは紙の書類をスキャンするわけではないため、下記の要件をもとに真実性と可視性を確保する必要があります。電子取引の保存要件は以下の内容です。
画像の解像度がルールを満たしているか確認する際は、スキャナソフト・画像編集ソフトを用いる方法と、クラウド経費システムのチェック機能を使う方法があります。スキャンした画像の解像度が要件に達していない場合は、再度のスキャンが必要になるため、注意しましょう。
ここでは、画像が解像度要件を満たしているか確認する方法を解説します。
スキャナソフトや画像編集ソフトで画像を開くと、解像度が数値で表示されるケースがあります。PDF形式のファイルならPDF編集ソフト、JPG形式ならファイルのプロパティ画面でピクセル数や解像度の確認が可能です。
後回しにすることで原本を紛失してしまう可能性があるため、なるべく早めに「200dpi以上」「387万画素以上」を下回っていないか確認しましょう。
クラウド経費システムによっては、アップロードした画像の解像度を自動でチェックし、要件を満たしているかを可視化する仕組みがあります。要件を満たしていない場合は警告が表示され、スキャンや撮影をやり直すきっかけになるでしょう。
なお、スキャナ保存では決められた期間内にタイムスタンプを付与する必要があるため、迅速にアップロードすることで要件を満たしていなくてもすぐに気付けます。
国税庁の取り決めでは、契約書・領収書・請求書などの資金や物の流れに直結する書類は重要書類と分類されます。一方で、交通費精算書や業務日報など、決算や申告に直接影響しにくい書類は一般書類に分類されています。
重要書類を読み込む際は、解像度以外にも赤・青・緑がそれぞれ256階調以上のカラーでスキャンをおこなわなければなりません。なお、一般書類はグレースケールでの保存が認められています。
スキャナ保存の要件はほかにも存在するため、下記の画像で確認しておきましょう。
出典:国税庁「スキャナ保存!」
電子帳簿保存法では保存時のファイルの拡張子(PDF・JPG・PNGなど)について明確な制限が定められていません。
ただし、可視性を担保するため、備え付けのソフトウェアやプリンターで容易に表示・印刷できる形式がおすすめです。たとえば、PDFやJPGなどで揃えておくと管理しやすく、必要な場面ですぐに対応できます。
制度に対応する際は、解像度を正しく設定していなければ要件を満たさず、制度に違反してしまう可能性があります。作業のたびに確認しておき、原本を破棄してから混乱しないようにしましょう。
ここからは、電子帳簿保存法で画像の解像度を満たす方法を解説します。
ハンドスキャナや複合機を利用する場合は、解像度設定を200dpi以上にしておきましょう。
カラーも赤・青・緑がそれぞれ256階調以上になるよう設定にしておくことで、重要書類・一般書類のどちらをスキャンしても要件を満たしやすくなります。
スマートフォンやタブレットで書類を撮影する場合は、387万画素以上の端末を選びましょう。社用端末を導入する際、画素数が不明な場合はメーカー公式サイトで調べると安心です。
プライベートのスマートフォンを活用する際にも、実際に画像を読み取る前に画素数を確認しておくことで、スムーズな対応が可能です。
本記事では、電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の解像度要件や解像度を確認する方法を解説しました。
電子帳簿保存法で書類をスキャナ保存する際は、解像度が定められているため注意しよう。必要な解像度は、「200dpi以上」と「387万画素以上」です。スキャン後はソフトウェアやクラウド経費システムを活用し、解像度が規定を満たしているか確認しましょう。
電子帳簿保存法でスキャナ保存の解像度要件を満たす方法がわからない際は、本記事を参考に正しく書類を保存しましょう。