更新日:2025.06.26
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電子帳簿保存法は2024年1月に改正がおこなわれ、電子取引によるデータ保存の実務適用が本格化されました。2025年現在で改正から1年以上は経過しているものの、電子帳簿保存法に完全に対応できていない事業者がいるのも事実です。
そこでおさえておきたいポイントが、猶予措置とその基準である「相当の理由」です。これらの措置を利用するためには基準を満たす必要があるものの、猶予措置が認められると電子帳簿保存法の要件が緩和され、電子保存環境を整える時間が確保できます。
本記事では、電子帳簿保存法における「相当の理由」について、猶予措置の概要を交えつつ詳細を解説します。
電子帳簿保存法には、電子データの保存要件を満たせない事業者向けに、「宥恕措置」と「猶予措置」があります。読み方は宥恕措置(ゆうじょそち)と猶予措置(ゆうよそち)で異なるため、混同しないように注意しましょう。
制度の内容は似ているものの、対象期間や条件などが異なるため、事前にそれぞれの概要をおさえておくことが重要です。
ここでは、電子帳簿保存法の「宥恕措置」と「猶予措置」の違いについて解説します。
宥恕措置とは、電子データの要件を満たせなかった事業者に対して、書面での保存が認められる期間のことです。この措置は、期間が2022年1月1日〜2023年12月31日までとなっており、2025年現在は利用できません。
そのため、宥恕措置を利用していた事業者はただちに電子保存できる環境を整えるか、「猶予措置」を利用する必要があります。
猶予措置とは、2024年1月から宥恕措置の終了にともない、代替的に設けられた電子帳簿保存法の経過措置のことです。
宥恕措置とは違い現在も利用できる措置となっており、一定の条件を満たすことで要件を満たしていなくても電子データでの保存が認められています。
条件に関しては「相当の理由」を参考に判断されるものの、明確な基準が定められていないのが現状です。ただし、明らかに基準を満たしているケースもあるため、該当するか判断するためにも事前に確認しておくと良いでしょう。
電子データで保存をする場合は、電子帳簿保存法にしたがい要件を満たしていなければいけません。
ただし、「相当の理由」に該当すると判断された場合に限り猶予措置が適用され、要件を満たしていなくても電子保存で対応できます。具体的な「相当の理由」の内容については、以下のとおりです。
「相当な理由」に関しては基準が曖昧な部分もあり、最終的な判断は所轄の税務署長次第となります。そのため、該当するか確認する際は、所轄税務署への問い合わせでの確認がおすすめです。
猶予措置は2024年1月から実施された比較的新しいルールであり、概要をおさえられていない事業者も少なくありません。
そのため、電子帳簿保存法へ対応する際に期限や手続きなど、疑問が生じる可能性があります。猶予措置を活用して、電子帳簿保存法の準備を進めるためにも、基本的なポイントをおさえておくのがおすすめです。
ここでは、電子帳簿保存法における猶予措置を受ける際のポイントを3つ解説します。
2025年6月時点では猶予措置がいつまで実施されるのか明確にされていないのが現状です。
ただし、宥恕措置は2年で終了しているため、猶予措置についてもいずれは終了する可能性があります。
猶予措置が実施されてから時間も経つため、措置に頼るのではなく、段階的に電子帳簿保存法に対応できるように準備する必要があるでしょう。
保存方法の見直しや社内ルールの改良など、準備に時間がかかるものもあるため、余裕をもって移行を進めていくようにしてください。
猶予措置については、事前の手続きが必要ありません。そのため、該当の可能性がある場合は、所轄税務署に確認したうえで保存環境の整備を進めましょう。
ただし、猶予措置を活用する際は税務調査の際に「相当の理由」に該当していることを証明する必要があります。
そのため、万が一の際に説明ができるように、資金繰りや人手不足を証明できる書類を揃えておくのがおすすめです。
猶予措置の「相当の理由」に該当しなくても、電子帳簿保存法に対応できないケースもあります。もし、要件を満たせない場合は、電子データと一緒に書面でも保存しておかなければいけません。
電子データと紙の両方を用意しておくことで、税務調査の際にどちらか一方を要求されてもすぐに対処することが可能です。
紙の書類に関しては電子データとは違い探すのに時間がかかるため、あらかじめ丁寧にファイリングしておくと良いでしょう。
本記事では、電子帳簿保存法における「相当の理由」について、猶予措置の概要を交えつつ詳細を解説しました。
電子帳簿保存法の対応が難しい事業者は、まずは「相当の理由」を参考に猶予措置に該当しているか確認する必要があります。現段階では利用期限もなく事前手続きも必要ないため、電子帳簿保存法の要件を満たすのが難しい事業者は利用を検討しましょう。
ただし、「相当の理由」に関しては曖昧な箇所もあるため、判断がつかない場合は所轄の税務署に相談するのがおすすめです。
電子帳簿保存法に対応する準備が整っていない事業者や担当者は、ぜひ本記事を参考に検討してみてください。