更新日:2025.06.26
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2023年、電子帳簿保存法の宥恕(ゆうじょ)措置終了にともない、企業における電子データ保存が本格化しました。電子データを扱う際は、電子帳簿保存法を厳格に守る必要があるため、保存できる環境を整えるのに苦労するケースも多くあります。
そこで注目されているサービスがBoxです。Boxは世界中で利用されているクラウドストレージであり、電子データの保存や共有に適しています。
ただし、電子帳簿保存法に対応するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。したがって、Boxの機能が要件を満たせるか、導入前に細かくチェックをすることが大切です。
本記事では、Boxで電子帳簿保存法に対応可能かという点について、導入時のメリットや基本機能を交えつつ解説します。
Boxとは、企業向けに開発された大容量クラウドストレージです。
世界で約115,000社が導入している人気サービスであり、日本国内でも約20,000社が利用しています。大企業や中小企業が利用しているのはもちろん、国や自治体でもBoxを活用しているケースがあるため、信頼性が高いサービスといえるでしょう。
また、ファイルの保存や共有が可能なため、電子帳簿保存法にも対応できるサービスとして評判があります。
操作性もシンプルかつ簡単なため、手軽にクラウドストレージを導入したいと考えている事業者におすすめです。
まずは、Boxで対応できる範囲を理解するために、以下の電子帳簿保存法の保存区分をおさえておきましょう。
Boxでは、上記の保存区分のうちスキャナ保存と電子取引の2つに対応できます。また、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2点も満たせるため、電子帳簿保存法と相性の良いクラウドストレージといえます。
もし、現在クラウドストレージ選びで悩んでいるのであれば、Boxの導入を検討してみると良いでしょう。
なお、電子帳簿等保存では仕訳帳や損益計算書などをデータのまま保存しなければいけません。そのため、電子帳簿保存法の要件を満たした会計システムやサービスを別で検討する必要があります。
クラウドストレージを提供しているサービスはBox以外にも複数存在します。
クラウドストレージの導入には、社内ルールの作成や社員への教育など時間と費用がかかるため、サービス選びは慎重におこなわなければいけません。そのため、なぜBoxを利用することがおすすめなのか、メリットを把握したうえで検討することが重要です。
ここでは、Boxを導入して電子帳簿保存法に対応するメリットを3つ解説します。
Boxでは、電子帳簿保存法の要件の1つである「真実性の確保」を満たすことが可能です。なお、「真実性の確保」では情報の改ざん防止措置として以下のいずれかに対応しなければいけません。
Boxには、ファイル変更後の履歴を残せる機能が備わっているため、データの改ざん防止に有効です。
Boxでは、電子帳簿保存法の要件である「可視性の確保」を満たすことが可能です。
「可視性の確保」については、保存した電子データを検索し素早く探せるかという点が求められます。Boxには任意のファイルとメタデータの紐付けが可能なため、必要なデータを検索して探せます。
なお、電子帳簿保存法では以下3つの項目で検索できる必要がありますが、Boxであれば3項目で対応できます。
電子帳簿保存法に該当する電子データは、重要な内容であるケースが少なくありません。そのため、クラウドストレージを導入する際は、安全性や信頼性を重視してサービスを探す必要があります。
その点Boxは、官公庁や自治体での活用事例もあるため、信頼性が高いと評価されています。
また、「Box+NTTコミュニケーションズ版WinActor」に関しては、JIIMA認証情報リスト(※)にも登録済みです。Box単体での登録ではないものの、連携サービスが認められていることから、Boxに関しても安全性の高いサービスであると考えられます。
(※)電子帳簿保存法の要件を満たしていると認定された製品のリスト
電子帳簿保存法に対応するためには、要件を満たした状態で電子データを保存する必要があります。そのため、クラウドストレージを導入する際は、独自のメリットにくわえて機能面も確認しておかなければいけません。
Boxには電子帳簿保存法の要件を満たしつつ、電子データを効率良く保存、活用できる機能が複数備わっています。事前に機能面を確認し、電子帳簿保存法にどの様に対応するかイメージしておきましょう。
ここでは、Boxの基本機能を活用して電子帳簿保存法に対応する方法を4つ解説します。
電子帳簿保存法に対応するためには、タイムスタンプの要件を満たす必要があります。Boxにはバージョン管理機能が備わっており、保存したデータの訂正や削除履歴を確認することが可能です。
タイムスタンプを付与できるわけではないものの、履歴を細かく確認できるため、バージョン管理機能で対応しましょう。
なお、保存したデータの履歴については、プレビュー画面から確認できます。
電子帳簿保存法では、電子データで保存する際に取引先と取引金額、取引日の設定が義務付けられています。
Boxにはメタデータ機能が備わっており、Box内のファイルについてカスタム情報を定義して保存することが可能です。また、メタデータ機能を活用することで、ファイルの情報をもとに範囲検索もできるため、電子帳簿保存法の要件である検索機能もカバーできます。
メタデータを活用する際は、メタデータテンプレートを追加し、書類をカテゴリ別に分類して保存しましょう。
Boxにはファイルリクエスト機能が備わっています。ファイルリクエスト機能を活用すると、専用のアップロードリンクを発行して入力を必須にできるため、メタデータの記入漏れを防ぐことが可能です。
Boxではメタデータの入力は手作業が一般的であり、記入漏れが発生するリスクがあります。メタデータの記入漏れは検索機能にも影響を及ぼす可能性があり、万が一の際は電子帳簿保存法の要件が満たされていないと判断されかねません。
リスク軽減のためにも、メタデータ機能とあわせてファイルリクエスト機能も活用しましょう。
電子帳簿保存法における書類の管理では、それぞれ保管年数が決められています。帳簿関係の書類については最長10年の保存が必要であり、ファイルごとに保存年数を把握して管理するのは難易度が高いです。
BoxにはBox Governanceという機能が備わっており、ファイルの保管期限を遵守し、自動削除することが可能です。
ファイルごとに保存年数を確認する必要がないため、書類管理の作業を効率化できます。
本記事では、Boxで電子帳簿保存法に対応可能かという点について、導入時のメリットや基本機能を交えつつ解説しました。
Boxは電子帳簿保存法における、電子取引とスキャナ保存の2つに対応することが可能です。データ改ざんの防止やデータ検索にも対応できるため、電子帳簿保存法の要件も満たしています。
また、電子データの保存だけではなく、共有が手軽にできる点も大きな利点といえるでしょう。Boxは国内で約20,000社が導入するほど人気があり、取引先がBoxを利用していれば共有で済ませられるケースも少なくありません。
Boxの活用で効率良く書類の保存や共有ができるため、電子帳簿保存法の対応を進めている場合は、導入を検討してみてください。