更新日:2024.12.28
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協賛金とは企業や団体が特定のイベントやプロジェクトに対して、支援目的で提供する金銭です。協賛金は企業活動の一環として支出されるため、適切に仕訳しなければなりません。
協賛金の勘定科目は用途によって項目が異なります。各項目に割り振られるケースを理解しておかないと、仕訳の際に悩んでしまうでしょう。
本記事では協賛金の勘定について、インボイス制度の課税対象の違いや仕訳方法とあわせて解説します。
協賛金とは、企業や団体が特定のイベントやプロジェクトに対し、支持や賛同の意味を込めて支払う金銭です。たとえば、地域で開催している夏祭りの開催費用を地元企業が協賛金として出資するケースがあげられます。
協賛金を支払うと、以下のメリットが期待できるでしょう。
また、取引先との関係性を円滑にする目的で協賛金を提供する企業も多くいます。
関連記事:協賛金とは?請求書の必要性や送付する際のメール例文も紹介
協賛金は支出目的によって、勘定科目の仕入項目が異なります。また、協賛金に対し、広告効果や見返り品など受け取る場合は、課税対象となるためそれぞれの特徴を適切に把握しなければなりません。
仕訳の際に協賛金の種類がわからず、記載に困ってしまわないよう事前に確認しましょう。
ここでは、協賛金の種類とインボイス制度の課税対象となるケースを紹介します。
関連記事:【一覧表付】経費精算に使われる勘定科目13選|経費にできない項目と設定の際の注意点を解説
協賛金を支払った後で企業のPRにつながる広告を掲載してもらう場合、「広告宣伝費」として仕訳します。
たとえば、地域の夏祭りのパンフレットやポスターに企業名が掲載されるケースです。
普段より取引のある企業に対し、円満な関係を維持する目的で、物品を提供すると「交際費」として仕訳ができます。交際費は、事業にかかわっている取引相手に対する贈答品や接待などの支出を計上する際に用いられる項目です。
具体的には、暑中見舞としてお世話になっている取引先に贈答品を送るケースが該当します。
協賛金として直接金銭を提供するのではなく、御神酒や物品を購入し、代金を寄付した場合は、物品の購入と同様に「課税仕入」として扱われます。
注意点としては、購入または提供された商品は、物品が条件です。商品券やビール券などプリペイドカードの場合は、二重課税になる可能性があるため非課税対象になります。
協賛金に対してサービスの給付や広告などをともわない場合、原則として消費税の非課税対象に該当します。課税対象と似ている部分も多いため、仕訳の時に悩まないよう違いを理解しましょう。
ここでは、インボイス制度の課税対象外となる協賛金を解説します。
地域のイベントに協賛金として支払う際、広告掲載や物品の交換などの対価を伴わない場合は「寄附金」に該当するため、非課税対象となります。たとえば、以下のケースがあります。
取引先との円満な関係を目的として物品を贈答した場合は「交際費」として取り扱われ、課税仕入の対象となります。しかし、物品でなく、商品券や祝金などを提供した場合は課税仕入の対象外です。
また、取引先が開催したイベントに協賛金を支払い、広告効果などの明確な対価が認められない場合も課税対象外です。
協賛金に関連する取引では、適格請求書の発行や金銭の取扱いなど、インボイス制度に関するいくつかの注意点が存在します。これらの事項でミスが発生した場合、自社だけでなく、取引先にも迷惑をかける恐れがあるでしょう。
ここでは、インボイス制度における協賛金のおもな注意点を3つ紹介します。
インボイス制度を利用して適格請求書を発行するには、適格請求書発行事業者として登録番号が必要になります。また、もし登録していない場合には取引先も仕入税額控除が受けられなくなるため、必要になった際は早めに申請しましょう。
インボイスは国税庁が運営しているソフトの「e-tax」による提出または、インボイス登録センターへの郵送にて申請が可能です。
一方で、取引相手が免税事業者の場合は、仕入税額控除が受けられません。仕入税額控除には適格請求書が必要になり、発行できるのはインボイスの登録番号を付与されている課税事業者のみとなるためです。
取引先がインボイスに登録している課税事業者か、事前に確認します。また、適格請求書を発行してもらった際は、登録番号が適切に記載されているかも確認しましょう。
確認方法としては、国税庁が運営している「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」で検索して事業者が一致しているか、調べるのがおすすめです。
立場上、優位な事業者が取引先の免税事業者に対して、協賛金を強要してはいけません。とくに免税事業者に対して、取引の継続を口実に協賛金として金銭の負担を強要してしまうと問題となります。
取引先との関係性の中で取引を条件に協賛金を要請する場合、金額や根拠が明確になっていないと、立場の弱い免税事業者が不利益を受ける可能性があります。
協賛金を受け取りや支払いが発生した場合の記帳方法を用途別で解説します。
「広告宣伝費」の場合は、以下のとおりです。
具体例:地域の夏祭りや花火大会に協賛金として10万円を支払い、企業名がイベントにかかわるパンフレットやポスターに掲載された。また掲載を対価に金銭を受け取った。
借方 |
貸方 |
||
広告宣伝費 |
500,000円 |
普通預金 |
500,000円 |
「交際費」の場合は、以下のとおりです。
具体例:開催したゴルフコンペに対して、協賛金として10万円を支払った、または受け取った。
借方 |
貸方 |
||
交際費 |
100,000円 |
現金 |
100,000円 |
「寄附金」の場合は、以下のとおりです。
具体例:地域の伝統行事を保存するために資金協力として10万を支払った、または受け取った。
借方 |
貸方 |
||
寄付金 |
100,000円 |
現金 |
100,000円 |
「諸会費」の場合は、以下のとおりです。
具体例:加入している会の会費を振込で10万支払った、または受け取った。
借方 |
貸方 |
||
諸会費 |
100,000円 |
普通預金 |
100,000円 |
本記事では、インボイス制度における協賛金の勘定方法や、課税対象の考え方などを解説しました。
協賛金には、広告宣伝費や交際費などさまざまな用途が存在しており、用途によって適用される勘定科目や課税の対象範囲が異なります。税務処理にも影響がでてくるため、適切な方法で仕入項目に計上しましょう。
もし、協賛金に関するインボイス対応に不安がある事業者は、税務署に相談して進めることがおすすめです。