更新日:2026.03.10

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経理部門は、会社の活動を支える重要な役割を担っています。
一方で、人手不足や業務量の多さといった課題に直面しやすい領域でもあります。
近年は、法制度への対応の複雑化や業務量の増加により、限られた人数での対応に不安を感じる企業も少なくありません。
そこで今回は、株式会社インボイスが発行する「経理人材不足アンケート」(対象:441人)をもとに、経理部門における人材不足の実態を整理します。
経理部門はどのような体制で業務を回し、どこに負荷やリスクが集中しているのでしょうか。調査結果から見えてきた現状を通して、自社の経理体制を考えるヒントを探っていきます。
経理部門の業務内容を見ると、「経理業務のみ」(38.9%)は約4割にとどまり、半数を下回る結果となりました。一方で、「総務や人事と兼務」(35.8%)や「他部門との兼務」(18.5%)、「営業事務との兼務」(13.1%)といった、経理以外の業務もあわせて担う体制が半数以上を占めています。経理部門の多くが、複数の業務を抱える体制で運営されていることが分かります。
また、「外部委託が主」とする企業は一部に限られました。さらに、「答えたくない・わからない」(14.4%)という回答も一定数あり、社内での業務分担や担当範囲が明確になっていないケースも見受けられます。
これらの結果から、半数以上の企業で経理が他部門と兼務している実態が見えてきました。
【 Q お勤め先の経理部門には経理業務以外にも別部門の業務を兼務されている方はいますか? 】

経理部門の人員状況を見ると、「おおむね人手は足りている」(37.7%)と「十分に人手は足りている」(15.6%)を合わせて半数を超えており、多くの企業が現在の人員体制に一定の満足感を持っていることが分かります。この結果からは、表面的には人手不足が深刻な課題にはなっていないようにも見受けられます。
一方で、「非常に人手不足」(11.2%)や「やや人手不足」(29.0%)と回答した企業も合わせて4割ほど存在しており、半数近くの企業が人手不足である現状は見逃せません。
人手が足りていると感じている企業であっても、業務の属人化や将来的な欠員といったリスクが潜在している可能性があります。現状に余裕があるうちから業務の可視化や効率化に取り組むことが、安定した経理体制を維持するうえで重要だと言えそうです。
【 Q お勤め先の経理部門は現在の人数で足りていますか? 】

経理部門における人材リスクを感じているかの調査では、「非常に感じる」(16.5%)と「やや感じる」(36.0%)を合わせて過半数を占めており、属人化や高齢化、離職といった問題が、多くの企業で現実的な課題となっていることが分かります。
一方で、「あまり感じない」(30.2%)や「まったく感じない」(10.0%)という回答も見られますが、こうした差は、業務体制や人員構成の成熟度による影響が大きいと考えられます。
さらに注目したいのが、「把握していない」(7.3%)という回答です。人材リスクの有無を十分に認識できていない企業も一定数存在しており、業務の可視化やマネジメントが不十分なまま、潜在的なリスクを抱えている可能性があります。
経理は専門性が高く、担当者への依存が生じやすい領域です。そのため、人材リスクの問題が表面化すると、業務の停滞や引き継ぎの困難さといった問題を招きやすくなります。安定した業務運営のためには、早い段階で課題を把握し、体制の整備や業務の標準化に取り組むことが欠かせません。
【 Q 経理部門における人材に起因するリスク(属人化・高齢化・離職率が高い)は感じていますか? 】

経理部門の採用状況を見ると、「行っていない」(52.6%)が過半数を占めています。これは、経理部門の人員状況調査で「人手が足りている」と回答した企業の割合(53.3%)ともほとんど一致しており、人手が足りている企業では、現時点で採用の必要性を感じていない状況がうかがえます。
一方で、「積極採用」(8.0%)と「一部のみ」(16.3%)を合わせても、採用を行っている企業は3割未満にとどまりました。人員状況調査では「人手不足」と回答した企業が4割存在していることを踏まえると、人手不足を感じながらも、採用に踏み切れていない企業が一定数存在していると考えられます。
また、「検討中」(11.9%)という回答からは、採用活動に対して慎重な姿勢を取っている企業の様子も見えてきます。さらに、「外部委託対応」(0.7%)はごく少数にとどまっており、外部リソースの活用も一般的とは言えない状況です。
これらの結果から、人手不足を感じていながらも、採用活動に踏み切れていない企業が一定数存在している実態が明らかになりました。
【 Q お勤め先の経理部門は、採用を実施していますか? 】

請求書業務の効率化については、「非常に関心がある」(26.9%)と「ある程度ある」(51.3%)を合わせ、7割を超える企業が前向きな姿勢を示しており、多くの企業が現状の業務フローに課題を感じていることがうかがえます。
一方で、「あまりない」(17.1%)や「まったくない」(3.8%)といった回答もありますが、全体としては少数派です。また、「解決済み」(0.9%)という回答から、すでに効率化に取り組み、一定の成果を上げている企業もごくわずかに存在します。
全体を見ると、業務負荷の軽減を目的に、請求書業務の見直しを前向きに考えている経理部門が増えている状況です。こうした関心の高まりは、デジタル化や自動化の導入を進めるうえでの後押しとなり、経理業務全体の効率化につながっていくと考えられます。
今後は、自社の課題に合ったツールの選定と、それを無理なく回せる運用体制の整備がポイントになりそうです。
【 Q お勤め先の経理部門では、請求書業務の効率化への関心はありますか? 】

今回の調査から、経理部門では他部門の業務を兼任しながら、人材不足を抱えた状態で業務を回している企業が多い実態が見えてきました。
加えて、属人化や高齢化、離職率といった人材リスクを感じている担当者は5割を超えており、採用に踏み切れない企業も一定数存在しています。こうした結果から、人材不足に関して、多くの企業が課題を抱えている状況がうかがえます。
そのため、採用課題の解決だけでなく、業務の見直しや効率化、外部リソースの活用など、採用以外の方法で課題解決を図る視点が欠かせません。
特に、請求書処理のような定型業務では、負担や不安を感じている担当者も多く、効率化への関心が高まっています。人材不足が続く中では、業務を特定の個人に依存させるのではなく、誰でも回せる仕組みを整えることが、安定した経理体制を維持するための重要なポイントになると言えるでしょう。
さらに、
などについて、調査結果をもとに詳しく整理しています。経理体制や業務の進め方を見直すヒントとして、ぜひダウンロードの上ご活用ください。