更新日:2021.03.24
ー 目次 ー
大人の通信講座シリーズ、第二回は「危険な通信担当者」ついて書きたいと思います。
前回の講座(大人の通信講座 ~ 大事なのは外見より中身 ~)でも触れていますが、通信業界は非常にわかりずらい市場であるのに「専門家がほとんどいない」という現状があります。
このような状況のなか、自社の通信状況やコストの改善を図るのは非常に難しいものです。無駄な経費を払わないようにする為には通信担当者の存在が重要となります。
そこで今回は「危険な通信担当者」について斬りたいと思います。
これから始まる簡単なセルフチェックで、危険度をチェックしてみましょう。
通信担当者の皆さんへ質問です。
「通信費は最適になっていますか?」
このような質問にどう答えますか。
以下回答から選んでください。
さて皆さんどの回答に近いですか?
ここからは回答別に担当者の危険度について解説していきます。
1を回答したあなたの危険度は "小" といえるのではないでしょうか。
多くの回線を所持しなければならない企業にとって、通信料金を安く抑えるポイントに "一度削減した料金プランを維持" していく作業があります。
一見地味とも思えますが非常に重要で、実際の貢献度が高い作業になります。というのも通信回線は会社対会社で割引プランは交渉しますが、実際に割引を受けるのは回線単位となります。これはNTTの電話契約の流れが現在も続いており、"回線が契約単位" という考えが主流となっているからです。
特に固定回線(固定電話やインターネット回線)などは新しい回線を増やした際に、これまで通り割引が適用されていると思ってしまいがちですが、自動的に割引が適用される事はほとんどなく、そのまま割引が未適用の状態が続いてしまう事があります。
多店舗系や回線の入れ替えが多い企業様は殆どの回線に割引がなくなっていたという話もあるので要注意です。
2の回答は一見よさそうに見えますが、この回答は危険度 "中" といえます。
"任せている=自分では知らない" 事になります。
今まで数多くの電話会社の方や代理店の方とお話をさせて頂きましたが、高い確率で自社商品または、取り扱いのある商品の事しか知りません。
ではなぜ危険度が高いのかと言うと、任された側は常に自分たちの商材の中から、よさそうな商品を紹介していきます。
これがたまたま適正なプランだとすれば、それは当たりを引いている事になりますし、向いていないプランであればハズレを引いた事になります。
もっとも商材に入っていない別のサービスで適正なプランがあっても選択肢には入らないわけですから、ハズレを引いている高いと言えるでしょう。結果当たりかハズレかわからないくじ引きをしているような状況と言えます。
3はどうでしょうか。個人的な経験上危険度 "大" といえます。
この発言をされる方は本当に高い割引率が受けられている事が多いのも事実ですが、それは単純に電話会社との交渉力がある事を意味している事が多く、専門家の視点だと「電話会社との交渉力はあったほうが良いが、それは最重要ではない」というのが見解です。
この回答の何が危険かと言えば、結局のところ他の会社がどんなプランを利用しているのか、どのような割引率なのかは分からないという点です。みなさんも近隣の企業の割引率は聞いたことが無いはずです。だから、正確な比較材料を持っていない中での自己判断なので、結局のところもともと交渉力の高くなりやすい企業規模がある場合や電話会社がよく使う譲歩的依頼法にはまっただけで、自身の交渉力を過信している場合が多いです。
悲しいですがいずれも思い込みからくる自己満足の部分が大きいということですね。
4はこの中だと一番危険度が低いのではないかと思います。
前回の通信講座で少しだけ触れましたが、この方法が出来ているかどうかで、通信費とうまく付き合えているかの判断基準になると思っています。
技術進歩によって次々に新しいサービスが誕生し消えていく現代では、どの企業も不確実性の高い中で活動を強いられます。その為、当然社内の環境変化は当たり前のようにやってきます。
通信費はこの環境の変化に相当敏感な為、一度成功した削減であっても使い方の変化が起こる度に割引プランが適正ではなくなってしまうことがあります。しかし、使い方の変化を見逃さないように、習慣化している担当者がほとんどいないのも事実です。
そのため担当者は高い割引を受けているつもりになっているが、実際にはその割引プランは既に有効ではなくなってしまっておりせっかく勝ち取った恩恵を受けられていない事があります。
こんなときに取れる対策は、まず自社の利用状況の把握であり、次にそこに対して有効な打ち手を出し続けられるかが重要になります。自社の通信費をタイムリーに把握することは専門家でも難しい事ですが、理想にもっとも近い形になります。
5はどうでしょうか、一番危険そうですよね。
しかしこの回答の危険度は "中" としておきましょう。理解していない事はもちろん問題なのですが、この業界は売り手がすごく強いので通信費が最適なのか良くわからないからと言っても結局どこかの割引サービスに入っている事が多いです。ただそれが最適なのかそうでないのかはわからないですが、1、2、3の回答も5の回答と同様に最適かはわかってはいない状況なので、さほど回答の危険度は変わらないという事になりますよね。
もちろんこの回答をされた方は危険度が高いので、一度電話会社から届く請求書を見て、請求書の料金欄にマイナスの表記があるかどうかの確認をされたほうがいいと思います。無かったら要注意です。
以上5つの回答について解説をさせてもらいました。
皆さんは何番を回答されましたでしょうか。
なんと無く「大丈夫だろう」とか、「やっているつもり」になっている方も多かったのではないでしょうか。こんな思い込みやはやはり危険ですね。
今回 4 以外の回答をしたかたは、なにかしら打てる手がある可能性が高いので、一度通信費を見直される事をお勧めいたします。
下の図1のように、以前弊社独自で行った市場調査では、80%程の方は通信費の対策を日常的に行っていないという回答を得ています。
もしかするとこの調査結果も、担当者の「大丈夫」という思い込みから来るものかもしれませんね。
そのほかにも今回の話の解決につながるような調査結果が出ていますので、詳しく知りたい方は調査レポートをダウンロード頂き読んでみてください。
最後に...
余談となりますが、5つから選ぶような選択問題には正解が1つ、ひっかけの答えが1つ、明らかに間違いとわかる答えが3つみたいな構成になっている事が多いそうです。
今回は答えを求めるものでは無くセルフチェックなので、自分がどの解答に一番近いのか、ちゃんと見てくださいね。
次回は「武器を持て」を予定しておりますので、お楽しみに
文 田嶌 健
《調査レポートダウンロード》