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近年ではペーパーレス化が進み、請求書もメールにPDFを添付するケースが増えています。
しかし、こうした電子データの請求書はデータを複製したり改ざんしたりするリスクも考えられるため、
法的にNGなのではと不安に感じる人もいるかもしれません。
そこで、今回はPDFの請求書が法的に問題ないかどうか、また安全な送付や保存の方法について解説します。
請求書以外にも、見積書・納品書・領収書・支払明細書などの電子データが法的に認められています。
請求書には押印するのが一般的ですが、法的には紙の請求書でも押印の義務はありません。ですからPDFの請求書にも押印は不要です。しかし、社印があったほうが見た目がいいと感じる人も多いのが事実ですし、偽造防止にもつながります。この場合、電子印鑑のように正式なものでなくても問題ありません。
請求書をPDF化する際に押印の画像データを貼り付けるのが一般的です。
画像データの貼り付けはPDFソフトで編集、またはExcelやWordなどで請求書を作成する時点で画像データに貼り付けてからPDF化する方法があります。
● PDFデータの保管を開始する3ヵ月前に所轄の税務署長に申請が必要
● 改ざん防止のため電子署名・タイムスタンプ(最終変更時間の証明のため)が必要
このようにシステム運用には準備期間とコストがかかるため、受け取ったPDFの請求書を印刷し、従来通り紙で保管する会社もあります。
請求書をPDFで発行した際のメリットとデメリットは次の通りです。
また、万が一再発行や修正が必要になった時もすぐに対応できます。
クラウド上にある請求書へのリンクURLをメールで送った場合は、取引先が確認した日時も把握できます。
入金がないなどのトラブル防止に有効です。
また、PDFの請求書データをそのまま送信する場合は開封パスワードを設定し、パスワード自体は別のメールで送信するなどのセキュリティ対策も重要です。
PDFのデータの取り扱い方がよくわからない、データ保管の要件を満たせないなど取引先にもさまざまな事情があるでしょう。PDFデータのまま受け取ってくれる取引先の方が少なく、電子化するメリットがあまり感じられないこともあるかもしれません。
取引先によっては規定でPDFの請求書は受け入れられないケースもあります。個別対応が必要となる取引先をリストアップするためにも、余裕を持って通知を行いましょう。
一方で請求書の電子化保管には、電子帳簿保存法の要件を満たしたシステムの導入が必須であったり、取引先によっては個別対応で従来の方法が必要なことも。
いずれにしても、請求書のPDF化をすすめるには取引先へ移行通知や税務署への届出など3ヵ月以上前から準備に取り掛かることをおすすめします。