更新日:2023.12.23
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電子帳簿保存法(電帳法)に対応するため、業務に必要な専用のソフト(ソフトウェア)を導入しようと考えている企業も多いでしょう。電子取引(電子契約)、電子保存、スキャナ保存などの業務用ソフトを選ぶ際は、JIIMA認証を受けたものを選ぶのがおすすめです。
JIIMA認証とは、市販のソフトが電子帳簿保存法における法的な要件を満たしている場合に与えられるものです。JIIMA認証の有無でどのような違いが生まれるのか知っておくことで、電子帳簿保存法に対応するためのソフト選びをスムーズに進められるでしょう。
本記事では、JIIMA認証の概要や導入のメリット、ソフトを選ぶ際のポイントなどを解説します。
JIIMA認証とは、電子帳簿保存法についての認証制度です。この制度を運用しているのはJIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)です。
JIIMAでは市販のソフトが要件をしっかりと満たしているかを確認しています。例えば、JIIMAが認証しているソフトには、電子取引(電子契約)ソフト、電子保存ソフト、スキャナ保存ソフトなどが挙げられます。
JIIMAが機能を認めているソフトかどうかは、パッケージやメーカーのホームページで確認可能です。パッケージやホームページの紹介欄に認証ロゴの使用が認められているため、ユーザーは認証済みなのかどうかをすぐに判断可能です。
電子帳簿保存法の要件やポイントはこちらで詳しく解説しています。
【2022年1月改正】電子帳簿保存法の変更点を分かりやすく解説|要件や対応のコツを紹介
いまさら聞けない、電子帳簿保存改正のポイント
JIIMAの前進である日本マイクロ写真協会(JMA)は1958年に設立されました。その後、1995年にJIIMAに名称が変更されています。
JIIMAが認証制度をスタートさせた目的は、多くの企業が電子帳簿保存法に対応できるようにするためです。電子帳簿保存法にはさまざまな要件が設けられているため、あらゆる企業が取り組むにはハードルが高い傾向にありました。
また、電子帳簿保存法は定期的に改正があり、企業は常に最新の動向を把握する必要があります。企業によっては最新の法改正に対応しれきないかもしれません。このような状況に対して、JIIMAでは、どのような企業であっても電子帳簿保存法に取り組めることを目的に認証制度をスタートさせました。
電子帳簿保存法はスキャナ保存、電子取引保存などいくつかの区分が設定されており、それに伴ってJIIMA認証も5種類に分かれます。ここではそれぞれの認証の種類について解説します。
電子帳簿保存法では、請求書や見積書など紙で発行し、受領した書類をスキャン保存することが可能です。
書類のスキャナ保存については、真実性、可視性の確保が要件です。真実性とはスキャンした際に改ざんや削除を防ぐための仕組み、可視性とはすぐに検索でき、分かりやすい状態で表示できる仕組みを指します。
JIIMAではスキャナ保存に必要な要件を満たしているソフトに認証を付与しています。
会計ソフトの他、電子的に作成した仕訳帳や売掛帳などの国税関係書類は、システム関係書類の備え付けをはじめとした要件を満たせば、電子保存が可能です。
電子帳簿保存の要件を満たすソフトに対して、JIIMA認証が付与されています。
電子取引(電子的なやりとり)で受け取った国税関係書類は真実性と可視性を確保して保存する必要があります。これまでは電子取引における国税関係書類は、プリントアウトして紙での保存が可能でした。しかし、2022年の改正電子帳簿保存法施行によって、2024年1月1日以降は電子取引によるデータはデータのままの保存が必要です。(※)
JIIMAでは電子取引における要件を満たしたソフトに認証を付与しています。
※参考:国税庁「電子帳簿保存法の内容が改正されました〜令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要〜」P3
企業によっては、コンピューターで作成した請求書、領収書などの国税関係書類を、プリントアウトして取引先に提出しているケースもあるでしょう。この際、発行した国税関係書類の控えを電子保存するには、システム関係書類の備え付けをはじめとした要件を満たす必要があります。
国税関係書類の控えを電子保存する場合であっても、JIIMAが機能を保証しているソフトであれば問題なく使用可能です。
なお、JIIMAによる電子書類ソフト法的要求認証は次の3パターンがあります。
さまざまな書類をデータとして業務で使用するパソコンに保存していると、内蔵ハードディスクの容量が少なくなってしまいます。内蔵ハードディスクの容量が少なくなると、パソコンの作動に支障をきたすかもしれません。また、パソコンが故障した際に保存していたデータが紛失する可能性もあります。
このようなリスクを回避するのに効果的なのが光ディスクです。光ディスクの中でもアーカイブ用のディスクであればパソコンよりも長期間保存できるのが一般的です。また、光ディスクであれば収納しやすいというメリットもあります。
JIIMAでは独自の試験を実施して、アーカイブ用途に適していると判断できる製品に認証を付与しています。
JIMA認証の有無はソフトのパッケージやホームページで確認可能です。パッケージやホームページに認証マークが掲載されているためです。しかし、ソフトのパッケージやホームページ一つひとつを確認するのは、時間がかかってしまいます。
複数のソフトの情報を確認するのであれば、JIIMAのサイトを確認してみましょう。JIIMAのホームページでは認証の種類に応じてソフトを掲載しています。国税庁のホームページでもJIIMAのホームページを案内しています。
JIIMAからの認証を得ているソフトを使用するメリットは次の通りです。
JIIMAが認証を与えたソフトウェアは、電子帳簿保存法の遵守に必要な要件を満たしています。このようなソフトを導入することで、電子帳簿保存法に対応可能なだけではなく、以下のようなメリットにもつながります。
これらのメリットは以下記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
電子帳簿保存法とは?メリットや税制改正による変更などを解説
電子帳簿保存法にはさまざまな要件があります。要件は複雑なため、自社で確認しようとすると時間がかかってしまいます。もし電子帳簿保存法に詳しい従業員が在籍していれば、スムーズに進むかもしれません。しかし、一から覚えるといった場合はセミナーへの参加など、要件の把握に時間と費用がかかる恐れがあります。
一方、JIIMAによる認証マークがパッケージやホームページに掲載されているソフトであれば、要件を満たしているため、すぐに電子帳簿保存法に対応可能です。
JIIMAが認証を与えているソフトは、セキュリティについても認証を受けている傾向にあります。電子帳簿保存法に対応することで、次のような電子データ化によるセキュリティリスクにつながりかねません。
セキュリティについても高い機能を持つソフトを選ぶことで、電子帳簿保存法への対応とセキュリティ対策が同時に可能です。
電子帳簿保存法に違反した場合は追徴課税や過料といった罰則が科せられる可能性があります。例えばデータを改ざんした場合は真実性が確保できていないため、罰則が科せられるかもしれません。真実性を確保するには、データの訂正や削除の記録が残るシステムの導入や訂正、削除ができないシステムの導入などが必要です。
認証を受けているソフトであれば、要件に違反するといったリスク、違反に伴う罰則のリスクを回避可能です。
電子帳簿保存に違反した場合の罰則についてはこちらで詳しく解説しています。
電子帳簿保存法の罰則とは?対象と方法、違反要件も解説
JIIMAがその機能性を保証しているソフトなら要件を満たしているため、心配することなく導入可能です。しかし、JIIMA認証であってもどのような機能が備わっているかは、ソフトによって異なります。そのため認証のマークがついているからといって無作為に選ぶのではなく、自社で必要な機能が備わっているかを確認しましょう。
必要な機能の有無以外にも次のような点もソフト選びのポイントです。
JIIMA認証が付与されているソフトであっても、使用してみるとさまざまな疑問が出てくる可能性があります。そのため、導入後に十分なサポートを受けられるかどうかは大きなポイントです。例えば、チャットボットでの問い合わせに対応しているメーカーであれば、土日や営業時間外であっても問い合わせが可能です。
メーカーによるサポート導入後だけではありません。メーカーによっては導入前のソフト運用の段階からサポートしてくれるケースもあります。
トライアル期間が設けられていれば、本格的な導入前にソフトの使用感を確認できます。使いにくければ、ソフトの定着につながりません。従業員にとって使いやすいソフトかどうかはあらかじめ確認しておきましょう。
トライアル期間に従業員に使用してもらって、使用感や優れている点、改善点などを把握しておくのがおすすめです。なお全てのソフトにトライアル期間が設けられているわけではありません。そのため、トライアル期間が何日か設けられているか、期間中に機能の制限があるかなどを確認しておきましょう。
導入にあたっての費用が予算と見合っているかの確認も必要です。例えば、予算をオーバーして無理に導入してしまうと、解約しなければならなくなります。ソフトを解約すると改めて業務フローを組み直す、新たにソフトを導入するなどの手間が発生しかねません。ソフトの費用を確認する際は毎月一定額が発生するのか、利用分を支払うのかどうかも確認しましょう。それぞれの特徴は次のとおりです。
電子帳簿保存法に取り組むのであれば、JIIMAからの認証を得たソフトを導入してみましょう。電子帳簿保存法の対応に求められる要件を満たしたソフトであればJIIMA認証が付与されています。まずは導入を検討をしてみようと思っているソフトが認証の対象かを確認してみましょう。
JIIMAがその機能を認めているソフトであれば、要件を自社で確認しなくても、電子帳簿保存法を遵守した運用が可能です。JIIMAによる認証を受けたソフトを上手に活用して電子帳簿保存法への対応を進めていきましょう。