更新日:2024.09.30
ー 目次 ー
インボイス導入にともない、免税事業者の方は「消費税なしの請求書でも問題ないの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
免税事業者の請求書は消費税なしでも法律上問題はありませんが、取引先の事務負担を軽減するためにも記載しておくと良いでしょう。
本記事では、免税事業者が請求書に消費税を記載する方法を詳しく解説します。また、課税事業者が消費税のない請求書を受け取った場合の2つの対処法も紹介します。
ぜひ、こちらの記事を参考にして、スムーズな会計処理を進めましょう。
結論からいえば、免税事業者でも請求書には消費税を記載したほうが問題ないといえるでしょう。
現行の法律では、消費税なしの請求書を発行しても違法にはなりません。実際、財務省のホームページでも、請求書は総額表示の義務化の対象外とされています。
しかし、免税事業者の場合でも、請求書には消費税を記載するのが望ましいでしょう。
理由としては、消費税を記載することで、訂正や請求書再発行の手間を省き、取引先の経理担当者の負担を軽減できるためです。
取引先との円滑な会計処理を行うためにも、免税事業者であっても、消費税の取り扱いは明確にしておきましょう。
適格請求書発行事業者の登録を行っていない免税事業者は、区分記載請求書等保存方式に従って消費税を含む請求書を作成しましょう。区分記載請求書等保存方式とは、適用税率ごとに区分した請求書のことです。
ここでの注意点は、区分記載請求書と適格請求書を混同しないことです。
区分記載請求書では、適格請求書に必要な軽減税率(8%)、標準税率(10%)といった税率ごとの消費税額や、インボイス制度の登録番号の記載はしません。
区分記載請求書には、以下の5つの記載事項を必ず明記してください。
請求書が区分請求書であることを明確にし、取引先とのトラブルを防ぎましょう。
参照:国税庁「Ⅲ区分記載請求書等保存方式」2ページ区分記載請求書の記載事項
課税事業者が免税事業者から消費税なしの請求書を受領した場合は、以下の2つの対処法があります。
それぞれの対処法を解説します。
参照:国税庁資料「必要事項が記載されていない請求書等を受領した場合」
消費税なしの請求書を免税事業者から受領した場合、課税事業者は請求書の再提出を依頼できます。
再提出の対象となる請求書番号を伝え、消費税額を含む正確な金額の記載を依頼し、速やかに対応してもらいましょう。
取引先に消費税額を含んだ請求書を再発行してもらうことで、スムーズな会計処理が可能になります。
受け取った請求書に消費税の記載がない場合、取引の事実に基づいて必要事項を追記しても問題ありません。
追記可能な必要事項は、以下の2点です。
ただし、上記2つ以外の追記は認められていないため、注意が必要です。
請求書を受領した際には、取引年月日、金額、税率、税額など記載内容が正確であることを、できるだけ早いタイミングで確認しておきましょう。
インボイス制度に対応した「適格請求書」における消費税は、以下3つのいずれかの方法で記載します。
ここでは、インボイス制度に対応した適格請求書上の消費税の書き方を解説します。
消費税は別表記せず、すべて「税込価格」とする場合は、以下のように記載します。
例:
商品 |
数量 |
単位 |
単価 |
金額 |
商品A |
1 |
式 |
22,000円 |
22,000円(税込) |
商品B |
1 |
式 |
23,000円 |
23,000円(税込) |
合計 |
45,000円(税込) |
金額欄には、税込価格であることを示すため(税込)と記載します。
参照:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問26-2
消費税分を「消費税相当額」として記載する方法は、以下の通りです。
商品 |
数量 |
単位 |
単価 |
金額 |
商品A |
1 |
式 |
22,000円 |
22,000円 |
商品B |
1 |
式 |
23,000円 |
23,000円 |
消費税相当額 |
5,000円 |
|||
合計 |
50,000円 |
免税事業者が「消費税」と記載した請求書を発行すると、課税事業者側から適格請求書と誤認されてしまう可能性があります。
そのため、記載例のように「消費税相当額」と表記しても問題ありません。
従来通り「消費税」として記載する方法です。
商品 |
数量 |
単位 |
単価 |
金額 |
商品A |
1 |
式 |
22,000円 |
22,000円 |
商品B |
1 |
式 |
23,000円 |
23,000円 |
消費税 |
5,000円 |
|||
合計 |
50,000円 |
請求書発行システムやレジシステムを導入している場合は、消費税の名称を「消費税相当額」と変更できないケースもあります。
そのような場合は、従来通り消費税額を分けて記載しても問題ありません。
免税事業者は、消費税額を記載しなくても法的には問題ありませんが、取引先との円滑な会計処理を継続するためには、請求書に消費税を記載することを推奨します。どうしても消費税分を別表記したい場合は、消費税分を「消費税相当額」と表記しましょう。
免税事業者は、区分請求書の記載方法をしっかりと守り、記入漏れやミスがないように請求書を発行してください。