更新日:2024.07.01
ー 目次 ー
電子帳簿保存法に則れば、請求書は電子的方法で送付したり、保存したりして問題ありません。請求書が電子化できれば、郵送などのコストを削減できるだけでなく、請求書業務全般の効率化にも役立ちます。
ただ、請求書を電子化してweb請求書化を進めることで以下のようなデメリットもあるのも事実です。
また、そもそも電子帳簿保存法に対する知識のインプットが必要になる点も労力がかかります。そこで、本記事では、そもそも請求書は電子化してweb請求書化して問題がないか、電子化で得られるメリットとデメリット、電子化を進めるポイントを解説します。
▼この記事でわかる内容
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前提として、請求書の電子化は「電子帳簿保存法」により一定の要件が定められており、その要件さえ満たせば、電子データであっても問題ありません。
さらに、令和4年の電子帳簿保存法の改正では、検索項目などの保存要件が緩和された一方で、電子取引で受け取った請求書は電子データのまま保管することが義務付けられました。
電子取引とは以下のような取引を指します。
これらに該当する取引では、原則、紙に印刷して請求書を保存することができなくなります。
まとめると、請求書は電子化して問題ないだけでなく、令和6年からは電子取引の請求書は電子化して保管しなければいけません。(※)
電子帳簿保存法については、以下の「電子帳簿保存法とは?メリットや税制改正による変更などを解説」でも詳細にご紹介しています。
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※参考:国税庁「電子取引関係」
請求書を紙でやり取りしていると、発送コストがかかるだけでなく、管理の手間もかかってしまいます。また、事務所に居ないと処理できないため、多様な働き方に対応できない点も問題です。
請求書を紙でやりとりするときのコストは、コピー用紙代・印刷代・インク代・封筒代・郵送代だけではありません。封筒に封入する作業や、届いた請求書を開封し中身を確認する作業など、処理に時間がかかるため人的コストもかさむこととなります。
また、請求書には顧客情報や口座情報などが書かれており、廃棄するときはシュレッダーにかける必要があります。量が多い場合は、機密文書溶解サービスなどで、復元できないような処分が必要です。
このように、紙の請求書は発送や受領だけでなく、廃棄にもコストがかかります。
紙請求書の場合、発送したものは控え、受領したものは原本をそれぞれ保管する必要があります。なお、これらの請求書は、法人の場合原則7年(例外的に10年)保管しなければいけません。紙の請求書を7年分保管するとなれば、そのための場所も必要です。(※)
また、事務処理中は、支払処理済み・支払処理未対応・入金済・未入金の4パターンに分けて管理しなければいけません。さらに、紙請求書の場合、事務処理中の紛失リスクが高い点も注意が必要です。
テレワークの推進により、紙請求書の新たな問題として挙げられたのが事務所に居ないと処理ができないことです。発送・支払いのいずれにしても、紙媒体の場合は原本がないと処理ができません。
そのため、紙の請求書を使い続けていると、特に経理や事務部門で多様な働き方を進めにくくなります。結果として、人材の確保にも影響がでてしまうかもしれません。
発送する請求書を電子化できれば、発送にかかる手間とコストを削減できるだけでなく、ペーパーレス化の推進により多様な働き方を実現しやすくなります。発行側(発送側)のメリットを解説します。
紙の請求書発送では、請求書を印刷する・三つ折りにして封入する・封入内容に間違いがないかチェックする・重さを計って切手を貼る・郵便局に持ち込むなど、複数の処理が必要です。
これらの処理は請求締め日に行うことが多く、発送件数が多ければ、他の業務に手が回らないことも多いでしょう。
請求書を電子化すれば、Web上の簡単な操作で請求書を送付できます。また、専用のシステムを導入し、締め日自動送付設定にすれば請求書発送に使っていた時間を別の業務に当てられます。
紙の請求書の場合、修正をするにしても原本を修正して印刷した後、改めて郵送しなければいけません。その間、先方は請求書の処理ができず、場合によっては入金処理が間に合わないこともあります。
電子請求書であれば、修正依頼を受けてすぐに修正・再発送ができるため、先方の処理を待たせることもありません。また、再交付時は郵送代がかからない点もメリットです。
請求書の電子化は、社内のペーパーレス化にもつながります。問い合わせがあったときも電子データであれば、検索・確認に時間がかかりません。また、保管スペースを確保する必要も、シュレッダーで処分する必要もなくなります。
発送だけでなく、支払い処理と合わせてペーパーレス化が進めば、経理部門でもテレワークを導入しやすく、多様な働き方の実現に役立ちます。
以上のように、発送する請求書を電子化できれば、請求書関連業務を大幅に削減できます。経理や事務部門では、削減により捻出できた時間を本来の業務や他部門のサポートにあてられます。
郵送などの請求書関連費用だけでなく、締め日の残業時間を減らす効果も期待できるため、全体的なコスト削減にも役立つでしょう。
請求書の処理方法などに関しては、ぜひ「請求書処理の流れは?よくある課題や効率化のポイントを解説」の記事もご参考にしてください。
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多くの場合、請求書の電子化では、専用のシステムを導入し進めていきます。社員によっては、システムの導入に反発したり、使い方に慣れるまで時間がかかったりすることもあります。また、せっかくシステムを導入しても、取引先によって紙の請求書の継続を希望されるかもしれません。
請求書の電子化では多くの場合、web請求書システムを導入し進めていきます。ベンダーにより費用はことなるものの、導入費用や月額利用料が発生するため注意しましょう。
また、複数のベンダーで専用のシステムを提供しているため、サービス内容や利用料金を確認し、費用対効果の高いシステムの導入が必要です。
web請求書システムを導入すれば、経理・事務部門は請求書発送ワークフローに大きな変更が必要です。今までのやり方が通用しなくなるため、社員によっては導入に反発するかもしれません。
社員向けに事前に導入説明会を開催し、導入のメリットを説明しましょう。また、使い方に慣れるまでは、操作説明会や相談窓口を設けて、不安や疑問を解決できる仕組みを整えることも大切です。
取引先によっては、請求書のフォーマットが決まっていたり、電子帳簿保存法に対応していなかったりすることから、紙の請求書の継続を希望される恐れもあります。
web請求書システムを導入したものの、大多数が紙請求書の継続を希望すれば思うような業務効率化効果は得られません。そうならないためにも、導入前に取引先へ請求書の電子化について説明したり、アンケートを取ったりしておきましょう。
受領した当日に処理ができる、開封や保管の手間が削減できるなど、請求書の電子化には、受領する側の企業にもメリットがあります。
電子請求書であれば、郵送のように発行から受領までのタイムラグがなくなります。発行してすぐに入金処理ができれば、締め日に間に合わない心配もありません。
間違いがあってもすぐに修正依頼を出し、正しいものを送ってもらえる点もメリットです。
紙で請求書を受領している場合、開封して中身を確認し、その後支払い処理が必要です。また、支払いにあたって決済を取っている企業であれば、原本を上長に回すこともあるでしょう。支払いが終わった請求書は、ファイリングして保管します。
電子データで請求書を受領すれば、これらの手続きがパソコン上で完結するため、請求書処理業務を効率化できます。
データで管理できれば、過去の請求書を探しやすくなる点もメリットです。時間が経ってから過去の支払い間違いが発覚しても、電子データであればすぐに検索し確認できます。
電子請求書を受け取る側のデメリットとしては、電子帳簿保存法の理解が必要となる点です。特に、全ての取引を電子化したい場合、「電子取引」「電子帳簿」「スキャナ保存」全ての要件を理解しなければいけません。保存方法を間違うと、税の優遇措置などが受けられなくなるため、社内で徹底して理解を促す取り組みをすることが必要です。
請求書は取引先に送付する書類のため、自社のみで進めると電子化がうまくいかない原因となります。電子化をスムーズに進めるためにも、以下のように段階を踏んで準備することが大切です。
令和6年からは、電子データでやり取りした請求書の電子保存義務化もスタートするため、余裕を持って導入を進めましょう。
請求書は電子帳簿保存法に則れば、電子データで送付や保管が可能です。請求書を電子化すれば、請求書業務の効率化や発送・保管にかかるコストの削減、多様な働き方の実現など、さまざまなメリットを享受できます。
とはいえ、請求書の場合、取引先への確認も必要なため、思うように電子化が進まないことも考えられます。
そのため、企業で電子化を進めたいなら、まずは公共料金などの請求書から電子化するのがおすすめです。
株式会社インボイスの提供する「One Voice 公共」と「Gi通信」では、それぞれ公共料金と電話料金の請求書の電子化が可能です。支店分の公共料金を本社で取りまとめている場合には、処理時間の短縮だけでなく公共料金の見える化にも役立ち、適切な固定費削減が可能となります。
毎月大量の請求書処理に悩んでいるご担当者様は、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。