更新日:2024.01.31
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JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)とは、200社以上の企業が参加している文書情報のマネジメントについての団体です。JIIMAは文書情報マネジメントのセミナー開催や調査研究などの活動の他に、ソフトウェアの認証制度も含まれています。
本記事ではJIIMA認証を受けた電子取引ソフトウェアの特徴や認証を付与している目的などを解説します。法改正に伴い、システムやソフトウェアの導入を検討している方に向けて、5つの選定ポイントも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
JIIMA認証を受けている電子取引ソフトウェアは、改正電子帳簿保存法の要件を満たしています。具体的には、改正電子帳簿保存法の第7条を満たした市販のソフトウェアやソフトウェアサービスが、JIIMA認証の付与対象です。改正電子帳簿保存法第7条では、電子取引を交わした際に取引情報についての電磁的記録保存を義務づけています。
JIIMAによる認証を受けた電子取引ソフトウェアは、2023年12月15日時点で210本以上となっています。JIIMA認証を受けた電子取引ソフトウェアの一覧は、JIIMAの公式ホームぺ―ジから確認が可能です(※)。
※参考:JIIMA「電子取引ソフト法的要件認証製品一覧」
JIIMAが電子取引ソフトに認証を付与しているのは、ユーザーがソフトウェアの要件を確認する手間を防ぐためです。JIIMA認証が導入されるまで、ユーザーは製品の情報や要件を一つひとつチェックして、導入するソフトウェアを選定していました。しかし要件を満たしているかの判断は難しく、導入自体の停滞を招いていました。そこでJIIMA認証制度を立ち上げ、ソフトウェアの選定や導入を支援しています。
電子取引ソフトウェアがJIIMA認証を受けているかどうかは、ステッカーで確認可能です。ステッカーは六角形と円の2種類で、どちらも「JIIMA」と「電子取引ソフト法的要件認証」と記載されています。
なお、JIIMAでは電子取引ソフトウェアをはじめとして、スキャナ保存や電子帳票システムなど5つの認証制度を設けています。いずれも認証を受けている製品であれば、関連する法律に則った運用が可能です。
市販の電子取引ソフトウェアにJIIMA認証が付与されるまでの流れは、事業者が認証申請書類を協会に提出するところからスタートします。協会は認証申請の旨を電子取引ソフト法的要件認証審査委員会に伝え、申請されたソフトウェアが基準に達しているかどうかの審査を実施します。この際、審査を担当するのは公正な第三者の評価機関です。
評価機関は審査の内容を協会の事務局に伝えます。評価機関の報告を受けた事務局は審査委員会に評価の結果を報告し、審査委員会は合否を判断します。審査員会の合否判断を事業者に伝えるのは協会事務局です。協会事務局は認証結果を伝えて、合格している場合は認証ロゴの使用を許諾します。さらに協会のホームページにも情報を掲載するとともに、国税庁に対して製品リストを提出します。
このように、JIIMA認証は評価機関と事務局、審査員会という3つの機関でチェックされており、厳正な審査を経たソフトウェアにのみ認証が付与されていることが分かるでしょう。
JIIMA認証を受けた電子取引ソフトを使用するメリットは、自社でソフトウェアが改正電子帳簿保存法の要件を満たしているかを確認する必要がない点です。電子取引のソフトウェアは数多くリリースされています。
JIIMA認証があれば、JIIMAが機能を保証していることがひと目で分かるため、スムーズに導入できるでしょう。また、JIIMA認証を受けたソフトウェアを使用することで、データに不備が発生するリスクを抑えられます。
JIIMA認証ではなく、自社で開発したシステムやJIIMA認証されていないシステムを使用した場合、保存したデータに不備がある可能性が考えられます。保存したデータに不備があると、ペナルティを科せられるかもしれません。データに不備があった場合、改正電子帳簿保存法では次のような罰則を科せられる可能性があります。
これらのペナルティは企業に費用だけでなく信頼低下などの悪影響ももたらしかねません。なので、電子取引用のソフトウェアを選ぶ際は、JIIMA認証を受けたシステムを導入し、データ不備のリスクを軽減させることが大切です。
改正電子帳簿保存法に対応したソフトウェアを選ぶポイントは、JIIMAによる認証を受けているかどうかだけではありません。次のようなポイントも確認しておきましょう。
ソフトウェアの中には、取り扱っている書類が限られるものもあります。例えばシステムによっては請求書には対応していても、見積書や納品書には対応していないといったケースがあるでしょう。取り扱う書類の幅広さによっても、業務負担の軽減の度合いは変わってきます。請求書は電子化しているものの、見積書や納品書は電子化していない場合などは、管理が煩雑になる可能性があります。そのため、改正電子帳簿保存法に対応したソフトを導入する際は、取り扱える書類の幅広さを確認しましょう。
自社ですでに使用しているシステムと連携できるかどうかも、大きなポイントです。自社で導入しているシステムやソフトウェアと連携することで、業務の効率化が期待できるでしょう。また、システム同士を連携できれば、情報入力時のタイプミスも防げます。そのため、導入を検討する際は業務のフローやシステムを見える化し、それに対応できる電子帳簿保存システムかどうかを確認しましょう。
料金プランが自社に合っているかどうかも、ソフトウェア導入前に把握しておきましょう。改正電子帳簿保存法に対応したシステムは種類やサービスによって料金プランが異なります。中には初期費用だけでなく、利用状況に応じて費用が発生する従量課金制を採用しているものもあります。そのため、料金プランを確認する際は、初期費用だけでなく利用状況によってどれくらいの負担が発生するのかを把握することが大切です。
また、利用するアカウント数によって追加料金が発生するケースもあります。利用するアカウント数が多くなることが予想されるのであれば、アカウント数が無制限のシステムが適しているでしょう。
料金プランを確認したら、自社の業務範囲に見合っているかを照らし合わせます。出費を抑えて改正電子帳簿保存法への対応を進めるのであれば、電子取引データのみ対応といったように、狭い範囲からスタートするのがおすすめです。
ソフトウェアの操作性も、大切な判断材料となります。導入したソフトウェアが操作しにくいと、かえって業務効率の低下につながりかねません。そのため、可能であれば導入前にデモ体験や無料トライアルをして、直感的に操作できるかどうかを確認しておきましょう。例えば実務に携わる従業員を選定して、実際に操作してもらい意見をヒアリングする方法などがおすすめです。
改正電子帳簿保存法に対応したソフトウェアを選ぶ際は、サポート体制も確認しておきましょう。新しいシステムやソフトウェアを導入すると、従業員からさまざまな質問が寄せられる可能性があります。このような質問に対して的確に対応するためにも、ソフトを提供するベンダーのサポート体制が備わっているかを確認しておくことが大切です。
ベンダーのサポート体制を確認する際は、次のような点に着目しましょう。
また、動画で使用方法を学べるようなサポートコンテンツの有無もチェックポイントの一つです。
サポート体制と併せて、オプション機能も重要です。例えば、顧客が電子データではなく、紙の請求書郵送を希望するケースもあります。そのため、オプション機能として請求書の郵送代行を備えているソフトウェアが適しているでしょう。
JIIMAでは、改正電子帳簿保存法の要件を満たした電子取引ソフトウェアにJIIMA認証を付与しています。認証は評価機関、事務局、審査員会という3つの機関でのチェックを経て付与されています。JIIMAによる認証を受けた電子取引ソフトウェアであれば、自社でソフト選定をする時間を短縮できるだけでなく、ミスの防止にもつながるでしょう。電子取引ソフトウェアのように、改正電子帳簿保存法に対応したものを導入する際は、JIIMA認証以外にも操作のしやすさやサポート体制などを確認しておくのがおすすめです。
株式会社インボイスは法人向けに通信料金や公共料金の一括請求サービスを提供しています。多くの請求書を改正電子帳簿保存法に則って管理・保存するのは、企業の負担になりかねません。一括請求サービスでは通信料金や公共料金の支払いを代行。バラバラ届いていた請求書を1枚で受け取り、支払いも1回にまで削減可能です。請求書の管理や保存にお悩みの方はぜひご相談ください。