更新日:2025.01.30
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インボイスの請求書で交通費を記載するときは、取引先に提出する前に請求が可能か確認が必要です。事前に取引先と品名や交通手段などのすり合わせをおこなっておかないと、交通費が支払われないといったトラブルに発展する可能性があります。
ほかにも、交通費の請求は消費税関係で注意点があるため、あわせて理解しておきましょう。
本記事では、インボイスの請求書で交通費を請求する方法やテンプレートを解説します。請求書提出後のトラブルを避けるためにも、必要な知識を身に付けましょう。
前提として、取引先の合意があれば、交通費を請求書に記載することが可能です。記載するときは、出発駅や到着駅、経費を請求する理由を明記しましょう。
さらに、交通費を請求する場合は経費を利用した証明も必要になるため、あわせて取得しておくことで支払われない可能性を減らせます。
とくに、取引先企業へ出社するフリーランスの場合は、交通費が大きな出費になります。取引先の指示で出勤が必要になった場合は、事前に相談が大切です。
インボイスの請求書で交通費を請求する際は、品名や消費税の処理に注意しましょう。書き方を理解しないまま請求書の作成を進めてしまうと、取引先によっては交通費が支払われないトラブルに発展します。
ここでは、交通費を請求するインボイスの請求書の書き方を解説します。
交通費を請求する場合は、商品やサービスの提供との混同が起きないよう、品名を「交通費」と記載しましょう。さらに、取引先が移動の必要性を理解するため、交通費の欄には「何駅から何駅への移動」、「移動の理由」を明記します。
請求する交通費の日程が複数存在する場合は、日付ごとに記載するとわかりやすくなります。
商品やサービスと同じ適格請求書で交通費を請求する場合は、消費税を含めないように注意しましょう。
電車やバスの料金は、すでに消費税が内税で徴収されているため、計算するときに消費税を含めると二重で計上してしまいます。二重に計上したまま交通費が支払われてしまうと、消費税に関するミスにつながります。
交通費が請求できる公共交通機関は、一般的に下記の方法です。
ただし、車関係の交通費は、事前に取引先に自家用車で向かう旨を伝えておきましょう。取引先によってはガソリン代や駐車場代などを交通費として認めておらず、支払われない可能性があります。
適格請求書で、商品やサービスの代金と交通費を同時に請求する場合は、適格請求書の要件を満たす必要があります。
適格請求書の要件は以下のとおりです。
適格請求書に記載する事項は多いため、フォーマットを作成したときは抜け漏れがないか確認しましょう。
インボイスの請求書に交通費を載せるときは、領収書の取得や取引先との事前相談など、注意するべきポイントがあります。注意点を理解しておかないと、請求書に交通費を記載したにもかかわらず、支払われない可能性があるため注意しましょう。
ここでは、インボイスの請求書に交通費を載せるときの注意点を解説します。
取引先に請求する交通費は、領収書をもらい忘れることで、経費が発生した事実を証明できなくなります。電車やバスを利用した場合でも、必ずもらうように注意しましょう。
とくに、交通系ICカードを利用している場合は、プライベートの利用履歴と混ざってしまい、わかりにくくなります。使用する交通系ICカードを分けるか、切符を購入して領収書を発行すると混同しにくくなるでしょう。
請求書に記載している内容が「交通費」だけでは、顧客が本当に必要な経費だったのか判断しにくくなります。「交通費(会議のため)」と記載し、必要な移動だったことを伝えましょう。
請求書に交通費の詳細を記載することで、理解してもらえる可能性が高まります。
自家用車を利用して移動した場合に発生する、ガソリン代や駐車場代などが経費になるかは取引先との相談が必要です。
事前に相談なくガソリン代を交通費として請求した場合は、交通費の支給を拒否するようなトラブルにつながる可能性があります。また、記載時は走行距離やガソリンの単価を記録しておくことで、請求内容の透明性が取引先に伝わります。
なお、ガソリン代や駐車場代なども消費税が内税で徴収されているため、請求時は消費税を含めないよう注意しましょう。
インボイスの請求書で交通費を請求する際は、事前にテンプレートを作成しておくことで、請求時の作業を少なくできます。1から作成する場合は手間がかかるため、下記のテンプレートを自分用に書き換えて使用しましょう。
請求書 取引先企業名 自社の企業名 ご請求金額 ¥〇,〇〇〇-(税込)
※印は軽減税率の対象 |
交通費を含めた請求書の詳細な書き方が知りたい方は、下記の記事でも解説しているため、あわせて目を通しておきましょう。
関連リンク:交通費を含めた請求書の書き方|消費税の扱いと経理処理のポイント
雇用している従業員の場合は、通常必要と認められる「出張旅費等」の範囲内であれば、出張旅費等特例として帳簿のみの保存で仕入税額控除が受けられます。
本来、インボイス制度では、適格請求書発行事業者同士の取引でなければ、仕入税額控除は受けられません。しかし、出張旅費等特例では出張旅費等に一般的に必要な金額と認められれば、適格請求書は不要です。
出張旅費等に一般的に必要な金額は法律上では明確な基準がないため、常識的に認められる金額であれば問題ないと考えられます。
また、公共交通機関を利用した3万円以下の旅客の運送は、公共交通機関特例により適格請求書がなくても仕入税額控除が利用できます。
本記事では、インボイスの請求書で交通費を請求する方法やテンプレートを解説しました。
インボイスの請求書で交通費の支給が可能かどうかは、企業によって異なるため記載する前に取引先に確認しておくと安心です。記載が可能な場合でも、領収書のもらい忘れや記載内容の不備があると交通費が支払われない可能性があるため注意しましょう。
インボイスの請求書で交通費の記載内容に悩んだときは、本記事を参考に請求書を作成して、業務に必要な交通費を申請しましょう。