更新日:2024.10.30
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クライアントとの仕事で発生した交通費を請求できるか、迷ったことはありませんか?また、どの範囲まで交通費が請求できるのか疑問に思う方も多いでしょう。
この記事では、交通費として認められる交通手段や、交通費を含めた請求書の書き方を具体例に沿って解説します。消費税の扱いや経理処理のポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
交通費を請求書に記載するには、特定の条件を満たす必要があります。
以下、請求書に記載できるケースとできないケースについて解説します。
請求書の発行側と受領側に事前の合意があれば、交通費を含めた請求書の発行が可能です。その際の交通費は、取引先との業務に伴う移動費用となります。
フリーランスとして業務委託を請け負った際の交通費も、双方の同意のもと請求書に記載できます。請求書を作成する際は交通費の詳細が分かる書類を準備し、お互いに取り決めたルールに基づいて正しい金額で請求しましょう。
請求書の発行側と受領側に合意があっても、以下に該当する場合は請求書に交通費を記載できない場合があるため注意が必要です。
交通費の内容が不明瞭な場合や、交通費が発生した事実を証明できる書類(領収書など)がなければ、交通費が発生したとは認められない可能性があります。
そのため、交通費を請求する際は、移動費用の正確な情報とそれを証明する書類を揃えることが重要です。
請求書に記載できる交通費は、取引先との業務に関連する移動で生じたものに限られます。
交通費として認められる主な交通手段は以下のとおりです。
交通費に関するルールは取引先によって異なるため、事前にしっかり確認しましょう。
交通費を含めた請求書を作成する際は、正確な記載が求められます。ここでは、記載例をもとに請求書の書き方を具体的に解説します。
交通費を含めた請求書の書き方は、まず移動した日付を記入し、品名欄に「交通費」と記載します。通常と同様、交通費に対しても単価、数量、金額をそれぞれ記載しましょう。
さらに、品名欄には「交通費」だけではなく、以下のような詳細を明確に記載します。
複数の移動があった場合は、総額としてまとめるのではなく、各移動の詳細を分けて記載しましょう。
<交通費の記載例>
日付 |
品名 |
単価(税込) |
数量 |
金額(税込) |
10/1 |
商品A |
20,000円 |
1 |
20,000円 |
10/5 |
交通費〇〇駅~△△駅(打ち合わせのため) |
4,000円 |
1 |
4,000円 |
10/5 |
タクシー代△△駅~B企業(バス運行時間外の打ち合わせのため) |
1,500 円 |
1 |
1,500円 |
合計(税込) |
25,500円 |
|||
10%対象 |
25,500円 |
|||
8%対象 |
0円 |
ガソリン代を交通費として請求する場合は、品名欄に「ガソリン代」と記載します。
さらに以下を明記しましょう。
このように詳細を記載することで、受領側が交通費の内容を正確に判断できます。トラブルを未然に防止するためにも、具体的に記載しましょう。
<ガソリン代の記載例>
日付 |
品名 |
単価(税込) |
数量 |
金額(税込) |
11/1 |
ガソリン代(レギュラー)〇〇スタンド△△店(現場確認のため) |
150円(1L) |
30 |
4,500円 |
宿泊を伴う出張があった場合、取引先との合意があれば宿泊費の請求が可能です。交通費は消費税が含まれる内税がほとんどですが、宿泊費の場合はホテルによって内税・外税が異なるため、注意が必要です。
もし消費税が含まれていない領収証をホテルから受け取った場合は、自分で消費税を計算しましょう。税抜価格から税込価格(消費税率10%)を算出する方法は、以下のとおりです。
例)税抜価格が9,000円の税込み価格の算出方法
9,000円×1.1=9,900円
<宿泊費の記載例>
日付 |
品名 |
単価(税込) |
数量 |
金額(税込) |
11/1 |
宿泊費〇〇ホテル(A企業との打ち合わせのため) |
9,900円 |
1(泊) |
9,900円 |
交通費を含めた請求書を発行する際、領収書や利用明細書などの証明書類の添付が必要な場合があります。交通系ICカードを利用している場合は、券売機で利用明細を発行しておきましょう。
高速料金の利用を証明するためには、以下3つのような手段があります。
なお、証明書をもらい忘れてしまうと後から請求できなくなる可能性があるため、必要な証明書は早めに取得しておくと安心です。
交通費を含む請求書を発行する際の注意点は以下の4つです。
それぞれ解説します。
トラブルを防ぐためにも、請求書の記載内容は事前に取引先とよく確認しておきましょう。
取引先によっては、近隣での打ち合わせにかかる交通費は認めないケースがあります。また、請求書の記載内容も「支払方法の明記」や「領収書・利用履歴の提出」など、特定の条件を求められる場合があります。
これらの条件を満たさない請求書は、支払いを受けられない可能性があるため注意が必要です。交通費の記載ルールは企業や取引先によって異なるため、請求書の記載内容を事前に確認しておくことが重要です。
交通費の証明書類は早めに準備しましょう。交通系ICカードを使用している場合、一定の件数や期間を超えてしまうと履歴が印字できなくなるため、注意する必要があります。
そのため、交通費が発生した時点で利用明細を発行しておくのがおすすめです。
交通費を請求書に記載する際に、「交通費」といった大まかな表記だけでは取引先などに受け取ってもらえないケースがあります。そのため、以下のような具体的な費用明細を明記しましょう。
領収書と合致した内容を記載することで、取引先との処理がスムーズになるでしょう。
請求書における消費税の表記は、内税でも外税でもよいですが、最終的な合計金額は税込で記載します。そのため、二重課税とならないよう注意が必要です。
交通費の消費税は、交通手段によって内税・外税が異なります。ただ、日本国内では一般的に電車やバス、タクシーなど公共交通機関の費用は、すでに10%の消費税を含む内税です。
内税の交通費をそのまま請求書に記載し、他の項目と一緒に消費税を計上すると二重課税になります。消費税を上乗せして計上した場合、不当な請求とみなされる恐れがあるため注意しましょう。
交通費請求の経理処理におけるポイントは以下の2つです。
それぞれ解説します。
交通費を業務の売上として計上する場合は、所得税が課税されるため源泉徴収が必要です。しかし、この場合は帳簿上の収支が合わなくなることがあります。
そのため、経理処理上は売上ではなく「旅費交通費」として計上し、収支の差額は相殺をおこない調整しましょう。
交通費を立替払いした場合は、取引先に実費精算を依頼します。実費精算は売上には含まれないため、経理上は「立替金」として処理します。
仕訳例は以下のとおりです。
仕訳例)
<交通費を立て替えた時の仕訳>
借方 |
貸方 |
||
立替金 |
10,000円 |
現金 |
10,000円 |
<立て替えた交通費が取引先から振り込まれた時の仕訳>
借方 |
貸方 |
||
普通預金 |
10,000円 |
立替金 |
10,000円 |
交通費を立て替えた時は借方を立替金、貸方を現金とし、入金確認後は借方に普通預金、貸方を立替金として消込作業を行います。
交通費の請求は、事前の合意があれば請求書に含めることが可能です。請求書を作成する際は取引先のルールに従い、移動区間や利用目的などを詳細に記載しましょう。
また、消費税の取り扱いでは二重課税に注意が必要です。交通費の経理処理をおこなう際は、売上として計上するのか、立替金として処理するのかによって仕訳方法が異なります。請求書の書き方や仕訳方法をマスターして、交通費を正確に処理しましょう。