更新日:2026.08.31

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インボイス制度への対応では、会計ソフトや請求書発行システムの導入、レジや決済端末の更新、税理士への相談、販路開拓など、さまざまな費用が発生します。
「インボイス対応に使える助成金はあるのか」と調べている方も多いでしょう。結論から言えば、インボイス対応で確認すべき支援策は、厳密には助成金よりも補助金が中心です。さらに、補助金とは別に、消費税の納税負担を軽くする2割特例・3割特例などの税制上の措置もあります。
この記事では、2026年8月時点でインボイス対応とあわせて検討したい主な補助金・支援制度を整理し、対象経費、使い分け、申請時の注意点まで解説します。
| 制度・支援策 | 向いている費用 | 主な対象 | ポイント |
|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | 会計ソフト、請求書発行システム、受発注・決済ソフトなど | 中小企業・小規模事業者等 | インボイス枠があり、登録ITツールを導入する場合に検討しやすい |
| 小規模事業者持続化補助金 | 販路開拓、広告、Webサイト、業務効率化など | 小規模事業者・個人事業主等 | インボイス特例で補助上限が上乗せされる場合がある |
| ものづくり補助金 | 設備投資、新サービス開発、生産プロセス改善など | 中小企業・小規模事業者等 | インボイス対応単体ではなく、生産性向上の取組として検討 |
| 2割特例・3割特例 | 消費税の納税負担軽減 | 免税事業者からインボイス登録した事業者等 | 補助金ではなく税制上の負担軽減策。対象者・期間に注意 |
制度名に「インボイス」と付いていても、すべての費用が対象になるわけではありません。まずは、何にお金を使うのかを整理し、その経費に合う制度を選ぶことが重要です。
助成金は、一定の要件を満たせば比較的受給しやすい制度として使われることが多く、雇用・人材育成分野で見られます。一方、補助金は、事業計画を審査したうえで採択された場合に、対象経費の一部が補助される制度です。
インボイス対応で代表的な支援策は、デジタル化・AI導入補助金や小規模事業者持続化補助金などの「補助金」です。そのため、検索では「助成金」と調べていても、実務上は補助金と税制特例まで含めて確認しましょう。
インボイス制度に対応する際は、次のような費用が発生しやすくなります。
| 費用の種類 | 具体例 | 検討しやすい支援制度 |
|---|---|---|
| システム導入費 | 会計ソフト、請求書発行システム、販売管理システム、決済ソフト | デジタル化・AI導入補助金 |
| ハードウェア費 | レジ、PC、タブレット、プリンター等 | デジタル化・AI導入補助金の対象類型により検討 |
| 専門家相談費 | 税理士・中小企業診断士への相談、補助金申請支援 | 制度により対象可否が異なるため公募要領を確認 |
| 販路開拓費 | Webサイト制作、広告、チラシ、展示会出展 | 小規模事業者持続化補助金 |
| 業務改善・設備投資 | 生産設備、業務プロセス改善、新サービス開発 | ものづくり補助金等 |
インボイス対応で会計ソフトや請求書発行システムを導入する場合、まず確認したいのがデジタル化・AI導入補助金です。2026年から、従来のIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」へ名称変更されています。
この補助金は、中小企業・小規模事業者等が、業務効率化やDX化のためのITツールを導入する際に活用できる制度です。2026年も「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」などが設けられています。
インボイス対応の会計ソフトを導入したい
請求書発行・受発注・決済業務をデジタル化したい
電子取引や電子保存に対応できる業務フローを整えたい
申請には、補助金事務局に登録されたITツールやIT導入支援事業者を利用する必要があります。導入したいソフトが対象ツールとして登録されているかを事前に確認しましょう。
参照:中小企業庁
参照:デジタル化・AI導入補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が経営計画に基づいて行う販路開拓や業務効率化の取組を支援する補助金です。インボイス制度への対応に伴って販路開拓や業務効率化に取り組む場合、検討対象になります。
2026年の公募では、通常枠の補助上限に加え、インボイス特例の要件を満たす場合に補助上限が上乗せされる形で案内されています。たとえば、インボイス登録をきっかけに新規顧客獲得のためのWebサイト制作や広告、業務効率化ツール導入に取り組む場合に検討しやすい制度です。
インボイス登録後の売上減少に備えて販路を広げたい
新しい顧客向けにWebサイト・チラシ・広告を整備したい
販路開拓とあわせて業務効率化も進めたい
申請には、商工会・商工会議所による事業支援計画書が必要になる場合があります。締切直前では間に合わないことがあるため、早めに地域の商工会議所等へ相談しましょう。
ものづくり補助金は、中小企業者等の生産性向上や持続的な賃上げに向けた、新製品・新サービスの開発、海外需要開拓、設備投資などを支援する補助金です。
インボイス対応の会計ソフトを導入するだけの目的では使いにくい制度ですが、インボイス対応をきっかけに、受発注管理・生産管理・請求管理を含む業務プロセスを抜本的に改善する場合や、新サービス開発と一体で設備投資を行う場合には、検討余地があります。
ただし、補助対象や要件は公募回ごとに変わります。申請前には、必ず最新の公募要領で対象経費・補助率・締切を確認してください。
2割特例は、インボイス登録をきっかけに免税事業者から課税事業者になった事業者の消費税負担を軽減する制度です。納付税額を、売上にかかる消費税額の2割にできるため、仕入税額控除の細かな計算をせずに済む点もメリットです。
ただし、2割特例は補助金ではなく、消費税申告上の特例です。また、適用できる期間や対象者に制限があります。
2026年度税制改正では、2割特例の後継的な負担軽減策として、小規模な個人事業者向けに3割特例が設けられています。これは納付税額を売上にかかる消費税額の3割にできる制度です。
3割特例は個人事業者向けの制度であり、法人は対象外です。補助金と違ってお金が交付される制度ではありませんが、インボイス登録後の資金繰りに影響するため、補助金とあわせて確認しておきましょう。
参照:国税庁「インボイス制度」
1|最新の公募要領を確認する。補助率・上限額・締切・対象経費は公募回ごとに変わります。
2|交付決定前に契約・発注・支払いをしない。多くの補助金では、交付決定前の支出が対象外になります。
3|同じ経費を複数の補助金で重複申請しない。同一経費の二重取りは認められません。
4|GビズIDプライムなど、電子申請に必要なアカウントを早めに取得する。
5|採択後の実績報告・証憑保存・効果報告まで見据えて、領収書や契約書、支払記録を整理する。
制度によっては、免税事業者や個人事業主も対象になります。ただし、インボイス登録の有無、事業規模、補助対象経費、公募回ごとの要件によって判断が変わります。申請前に最新の公募要領を確認してください。
補助対象になるかは制度と公募回によって異なります。デジタル化・AI導入補助金では、登録されたITツールや利用期間などの条件があるため、導入予定のソフトが補助対象に含まれるかを確認しましょう。
助成金ではありません。2割特例・3割特例は、消費税の納付税額を軽減する税制上の特例です。お金が支給される制度ではありませんが、インボイス登録後の税負担を抑える効果があります。
多くの補助金は後払いです。採択後に事業を実施し、支払いを済ませ、実績報告を行った後に補助金が支払われます。資金繰りを考える際は、先に自己資金で支出する必要がある点に注意してください。
インボイス対応に使える支援策は、助成金よりも補助金が中心です。会計ソフトや請求書発行システムの導入ならデジタル化・AI導入補助金、販路開拓や広告・Web制作なら小規模事業者持続化補助金、設備投資や新サービス開発を伴う場合はものづくり補助金などを検討しましょう。
また、補助金とは別に、2割特例や3割特例のような税制上の負担軽減策もあります。インボイス対応では、交付されるお金だけでなく、税負担・事務負担・将来の取引継続まで含めて、自社に合った制度を選ぶことが大切です。