更新日:2026.08.31

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Peppol(ペポル)とは、請求書などの電子文書を、異なるシステム・サービス間でも共通ルールでやり取りするための国際的なネットワークと標準仕様の枠組みです。日本ではデジタル庁がJapan Peppol Authorityとして、日本向けのデジタルインボイス標準仕様「JP PINT」を管理しています。
Peppolを使えば、PDFをメールで送る方法とは異なり、請求情報を構造化データとしてシステム間で受け渡せます。そのため、請求書の発行・受領後の入力や照合作業を自動化しやすくなる点が特徴です。
ただし、インボイス制度に対応するためにPeppolの利用が義務付けられているわけではありません。紙やPDFなど、法令上の要件を満たす別の方法でも適格請求書を発行・保存できます。
この記事では、Peppolとインボイス制度の関係、PDFとの違い、4コーナーモデル、JP PINT、導入メリット・注意点、導入方法まで2026年8月時点の情報で整理します。
| ポイント | 結論 |
|---|---|
| Peppolとは | デジタルインボイス等を標準化してやり取りする国際的なネットワーク・ルール |
| インボイス制度との関係 | 適格請求書をデジタルに授受する方法の一つ。利用は義務ではない |
| 日本の標準仕様 | Peppolをベースにした日本向け仕様「JP PINT」をデジタル庁が管理 |
「インボイス制度」と「Peppol」は同じものではありません。インボイス制度は消費税の仕入税額控除に関する制度で、Peppolは企業間などでデジタル文書をやり取りするための仕組みです。
この章では、まずPeppolの基礎知識と、インボイス制度においてどのような役割を担うのかを解説します。
Peppol(ペポル)を理解するために欠かせないのが「デジタルインボイス」です。これは、単に請求書をPDFにしてメールで送るやり方とは大きく違います。
デジタルインボイスとは、請求書の内容を項目ごとに整理して構造化したデータ(XML形式など)で作られた、電子的な請求書のことです。
紙やPDFの請求書は、人が目で見て確認する画像や文章のデータですが、デジタルインボイス(Peppol準拠)はシステムが直接読み取れる構造化データ(XMLなど)です。
この形式なら、受け取った側は請求書データをそのまま会計システムに取り込み、自動で対応・処理することができます。
Peppol(ペポル)は、ソフトではなく「ルールと仕組み(ネットワーク)」のことです。
Peppolは請求書などの電子文書をネットワーク上でやり取りするための国際的な標準規格で、2023年10月に始まったインボイス制度をきっかけに、日本でも注目が高まっています。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)では、消費税の仕入税額控除を受けるために、定められた条件を満たす「適格請求書」を保存する必要があります。Peppolは、この適格請求書の条件を満たしたデジタルインボイスを、安全かつ確実にやり取りするための仕組みです。
インボイス制度への対応と、請求書業務のデジタル化(DX)を同時に進められる重要な仕組みとして、政府も活用を推奨しています。
ただし、Peppolの利用は義務ではなく、事業者の任意です。インボイス制度への対応方法の一つに過ぎません。
日本での普及はまだこれからですが、対応する会計ソフトやITサービスはどんどん増えており、今後は企業規模を問わず導入が進んでいくと見込まれています。
Peppolの導入は義務ではありません。インボイス制度では、売り手が適格請求書発行事業者であることや、請求書に必要事項を記載することなどが求められますが、請求書の授受方法をPeppolに限定しているわけではありません。
そのため、紙の適格請求書やPDF等の電磁的記録でもインボイス制度へ対応可能です。Peppolは、インボイス対応と同時に請求業務のデジタル化・自動化を進めたい企業にとって有力な選択肢といえます。
Peppolでは、売り手と買い手が直接1対1でシステム接続するのではなく、それぞれが利用するPeppolサービスを介してデータを送受信します。
売り手と買い手がそれぞれ「アクセスポイント」と呼ばれるサービス提供事業者を介することで、異なる会計ソフトやシステム間でもスムーズに請求書のやり取りが可能になります。
請求書が送信されてから相手に届くまでの流れは、以下の4つのステップで構成されます。
Step1:売り手(C1)が請求書データを作成・送信
売り手は、利用している会計ソフトなどでPeppol形式の請求書データを作成し、利用している売り手側のアクセスポイント(C2)へ送信します。
Step2:買い手側のアクセスポイントを検索
売り手側のアクセスポイント(C2)は、Peppolネットワーク上で買い手のPeppol IDを基に、相手が利用している買い手側のアクセスポイント(C3)を検索・特定します。
Step3:アクセスポイント間でデータを送信
売り手側のアクセスポイント(C2)から、特定された買い手側のアクセスポイント(C3)へ請求書データが送信されます。
Step4:買い手(C4)が請求書データを受信
買い手は、買い手側のアクセスポイント(C3)を介して届いた請求書データを、利用している会計ソフトなどで受信・確認します。これにより、手入力や確認作業の手間を削減しやすくなります。
Peppolネットワークでは、送信先となる事業者を識別するためのParticipant Identifier、一般に「Peppol ID」と呼ばれる識別子を利用します。
実際の取得方法や画面上での扱いはサービスによって異なります。導入時は、自社のPeppol IDがどのように発行・管理されるか、取引先をどのように検索・指定するかを利用サービスで確認しましょう。
Peppolは国際標準規格ですが、そのままでは日本の税制度や商習慣に対応しきれない部分があります。そこで、デジタル庁は日本の要件に合わせて策定した標準仕様「JP PINT」を定めています。これにより、事業者は日本のインボイス制度(適格請求書等保存方式)に準拠したデジタルインボイスを発行・受領できます。
2026年6月8日にはJP PINT Specificationsが更新され、2026年8月時点では次の3仕様についてVer.1.1.3が公表されています。
| 仕様 | 主な用途 |
|---|---|
| Peppol BIS Standard Invoice JP PINT | 適格請求書に対応する標準的なインボイス |
| JP BIS Self Billing Invoice | 仕入明細書等、買い手側が作成する請求データ |
| JP BIS Invoice for Non-tax Registered Businesses | インボイス発行事業者ではない事業者との取引等に対応する仕様 |
旧来の「Peppol BIS Billing 3.0とJP PINTを単純比較する」という理解より、現在はJP PINTをPeppolの国際的なPINTモデルに準拠した日本向け実装として捉えるほうが正確です。
構造化された請求データをシステム間で受け渡せるため、PDFを見ながら金額や取引先を手入力する作業を減らせます。会計・販売管理システムとの連携状況によっては、受領から仕訳候補作成、照合までの自動化につなげられます。
取引先と自社が同じ請求書サービスを使っていなくても、双方がPeppolに対応したサービスを利用していれば、共通のネットワーク・仕様を通じてデータをやり取りできます。取引先ごとに個別接続を構築する負担を抑えやすい点がメリットです。
請求情報を構造化データとして受け取れるため、人がPDFを読み取って転記する工程を減らせます。ただし、元の取引情報や請求内容そのものが正しいことまでPeppolが保証するわけではありません。
Peppolは複数の国・地域で利用される国際的な枠組みです。海外取引でも共通基盤を利用できる可能性があります。ただし、相手国・地域の仕様や制度、取引先の対応状況によって必要な対応は異なります。
自社がPeppolへ対応しても、取引先が対応していなければ、その取引先との請求をPeppolだけに統一することはできません。主要取引先の対応状況を確認し、紙・PDF・Peppolが混在する期間も想定して業務フローを設計しましょう。
Peppolを導入する目的が入力削減や自動化であれば、既存システムとの連携性が重要です。API、CSV、仕訳連携、受発注システムとの連携など、自社が必要とする範囲を確認してください。
Peppolでデジタルインボイスを送受信できることと、電子帳簿保存法に沿って法定期間保存できることは別の論点です。
Peppolサービスには独自の保存機能を提供するものもありますが、ネットワークそのものがすべての請求データを法定期間保存してくれるわけではありません。
利用サービスの保存期間、検索機能、訂正・削除への対応、データ出力方法などを確認しましょう。
Peppolという標準・ネットワークの利用を、自社が無料で行えるとは限りません。サービスの初期費用、月額料金、送受信件数による従量料金、既存システムとの連携費用などは事業者によって異なります。
| 確認項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 認定・提供状況 | 日本で利用可能なPeppol Certified Service Providerまたはそのサービスか |
| 発行・受領 | 自社が必要とする送信/受信の両方に対応しているか |
| システム連携 | 会計・販売管理・ERP等と連携できるか |
| 保存機能 | 電子帳簿保存法を踏まえた保存・検索・出力ができるか |
| 料金 | 初期費用、月額、従量課金、オプションを含めて比較できるか |
| サポート | Peppol ID、取引先接続、エラー時の支援があるか |
デジタル庁は、日本でPeppolサービスを提供するCertified Service Providerの一覧を公開しています。サービス選定時は最新一覧も確認するとよいでしょう。
一般の利用企業が、自らPeppolの技術仕様を実装してネットワークへ直接接続する必要はありません。通常はPeppol対応の請求書・会計サービス等を利用します。
| 手順 | 対応 |
|---|---|
| 1. 現状整理 | 請求書の発行・受領件数、取引先、利用システムを整理 |
| 2. 取引先確認 | 主要取引先のPeppol対応状況を確認 |
| 3. サービス選定 | 機能、連携、保存、料金、サポートを比較 |
| 4. 利用設定 | サービス申込、Peppol ID等の設定を実施 |
| 5. テスト | 主要取引先と送受信・会計連携を確認 |
| 6. 運用開始 | 紙・PDFを含む例外処理も含めて社内ルール化 |
2026年は「IT導入補助金」から名称が変わった「デジタル化・AI導入補助金2026」が実施されており、インボイス枠(インボイス対応類型)では、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済機能を持つ一定のITツールなどが補助対象です。
ただし、「Peppol対応サービスである」という理由だけで自動的に補助対象になるわけではありません。対象となる登録ITツール、申請要件、申請期限を公式サイトで確認してください。
2026年6月8日、デジタル庁はJP PINT SpecificationsをVer.1.1.3へ更新しました。また、デジタル庁はPeppol Certified Service Providerのミーティングや、政府電子調達システム(GEPS)でのデジタルインボイス利用に関する取組も継続しています。
Peppolは「インボイス制度開始時だけの対応策」ではなく、企業間・政府調達を含めた請求データの標準化・デジタル化基盤として更新が続いています。導入を検討する場合は、JP PINTの最新バージョンと利用サービスの対応状況を確認することが重要です。
いいえ。Peppolの利用は任意です。適格請求書の法定要件を満たしていれば、紙やPDFなどPeppol以外の方法でもインボイス制度に対応できます。
PDFは人が閲覧する文書として使われることが多いのに対し、Peppolでは標準化された構造化データをネットワーク上でやり取りします。そのため、システムによる自動処理や異なるサービス間の連携に向いています。
必ずしもそうではありません。Peppolはデータを送受信するための枠組みであり、法定保存まで自動的に保証するものではありません。利用サービスの保存機能が電子帳簿保存法の要件を満たすか確認してください。
送信先の識別にはPeppol IDが使われますが、具体的な検索・指定方法はサービスによって異なります。サービス側のディレクトリ検索等で送信先を特定できる場合もあるため、必ずしも毎回メール等でIDを交換する運用になるとは限りません。
いいえ。Peppolネットワーク上の相互運用性は共通でも、会計連携、請求書保存、ワークフロー、料金、サポートなど各サービスの機能は異なります。自社の請求業務全体を基準に比較しましょう。
Peppolは、デジタルインボイスなどを標準化されたデータとして異なるシステム間でやり取りするための国際的なネットワーク・ルールです。日本ではデジタル庁がJapan Peppol AuthorityとしてJP PINTを管理しており、2026年6月にはVer.1.1.3が公表されています。
Peppolの利用はインボイス制度への対応で必須ではありませんが、請求データの手入力削減、異なるサービス間の連携、請求業務の自動化を進めるうえで有力な選択肢です。
導入時は、取引先の対応状況だけでなく、既存システムとの連携、電子帳簿保存法に沿った保存機能、料金体系まで確認し、自社の請求業務全体を効率化できるサービスを選びましょう。