更新日:2026.10.30

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インボイス(適格請求書)に記載する消費税額等は、まず取引金額を税率ごとに合計し、その合計額を基に計算します。
税抜金額から計算する場合は10%または8%、税込金額から計算する場合は10/110または8/108を掛けます。
1円未満の端数が生じた場合は、1つの適格請求書につき、税率ごとに1回端数処理を行うのが基本です。
一方、消費税の確定申告で使う「積上げ計算」「割戻し計算」は、課税期間全体の売上税額・仕入税額を算出するための方法です。請求書を作成するときの端数計算とは分けて理解する必要があります。
また、2026年10月1日からは、インボイス未登録事業者等からの課税仕入れに係る経過措置が80%から70%へ変更されています。
この記事では、インボイスに記載する消費税額の計算、端数処理、請求書と納品書を組み合わせる場合の考え方、申告時の積上げ・割戻し計算、2026年10月からの70%控除まで例を使って解説します。
2026年10月現在、消費税等の税率は標準税率10%と軽減税率8%です。
いずれも国税である消費税と地方消費税を合わせた税率です。
| 区分 | 国税 | 地方消費税 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 標準税率 | 7.8% | 2.2% | 10% |
| 軽減税率 | 6.24% | 1.76% | 8% |
軽減税率8%の対象は、主に次の取引です。
酒類・外食を除く飲食料品の譲渡
定期購読契約に基づき週2回以上発行される新聞の譲渡
同じ請求書に10%対象と8%対象の取引が含まれる場合は、それぞれを分けて集計します。
非課税取引や不課税取引は、軽減税率8%の取引とは異なるため、一緒に集計しないようにしましょう。
2026年10月30日時点では、飲食料品の税率を2027年4月1日から2年間1%へ引き下げる政府法案が国会で審議されていますが、まだ成立していません。現時点の請求書では現行税率の10%・8%で計算します。今後法案が成立した場合は、適用開始日以降の飲食料品について計算・システム設定の変更が必要になります。
| 計算の基礎 | 10%対象の消費税額等 | 8%対象の消費税額等 |
|---|---|---|
| 税抜金額 | 税抜合計 × 10/100 | 税抜合計 × 8/100 |
| 税込金額 | 税込合計 × 10/110 | 税込合計 × 8/108 |
10%対象・税込11,000円の場合
11,000円 × 10/110 = 1,000円
税込11,000円にそのまま10%を掛けると1,100円となってしまいます。
税込金額から内税を求める場合は「10/110」「8/108」を使う点に注意しましょう。
次は、標準税率10%の商品と軽減税率8%の商品が混在する架空の例です。
| 明細 | 税抜金額 | 適用税率 |
|---|---|---|
| 事務用品A | 12,000円 | 10% |
| 事務用品B | 8,000円 | 10% |
| 食品C | 5,000円 | 8% |
| 食品D | 2,500円 | 8% |
10%対象の税抜合計は20,000円、8%対象は7,500円です。
| 区分 | 税抜合計 | 消費税額等 | 税込合計 |
|---|---|---|---|
| 10%対象 | 20,000円 | 2,000円 | 22,000円 |
| 8%対象 | 7,500円 | 600円 | 8,100円 |
| 全体 | 27,500円 | 2,600円 | 30,100円 |
税込金額を基にする場合も、22,000円×10/110=2,000円、8,100円×8/108=600円です。
全体の税込合計30,100円へ一律に10/110を掛けることはできません。異なる税率が混在する場合は、必ず税率ごとに区分して計算しましょう。
適格請求書に記載する税率ごとの消費税額等について1円未満の端数が生じた場合は、1つの適格請求書につき税率ごとに1回、端数処理を行います。
端数処理の方法は、次のいずれでも構いません。
切捨て
切上げ
四捨五入
請求書発行システムの設定や社内ルールを統一し、担当者によって丸め方が変わらないようにしましょう。
10%対象と8%対象の両方がある場合は、10%分について1回、8%分について1回、それぞれ端数処理を行います。
適格請求書の法定記載事項として記載する消費税額等について、各商品ごとに1円未満を丸め、その金額を合計する方法は認められていません。
次の例を見ると違いが分かります。
| 計算の順序 | 税抜335円の商品を3個・10%・切捨ての場合 |
|---|---|
| 税率別合計後に計算 | 335円×3個=1,005円 → 1,005円×10%=100.5円 → 100円 |
| 商品ごとに丸めてから合計 | 335円×10%=33.5円 → 33円×3個=99円 |
このケースで適格請求書に記載する税額は、税率別の合計を基に処理した100円です。
請求書テンプレートやExcelを作る場合は、端数が生じる数値でもテストし、明細行ごとではなく税率別合計欄で丸められているか確認しましょう。
適格請求書の必要事項は、必ず1枚の書類だけにすべて記載する必要はありません。
請求書と納品書など、複数の書類について相互の関連が明確であり、全体として対象となる取引内容を正確に確認できる場合は、複数書類を合わせて適格請求書の記載事項を満たすことができます。
たとえば、月次請求書に納品書番号を記載し、取引年月日・商品明細は納品書、登録番号・税率別消費税額等は請求書という構成も可能です。
1か月分の納品をまとめて月次請求書で税額計算する場合は、月間の取引金額を税率ごとに合計し、その月次請求書で端数処理を行います。
例|税抜335円の商品を3回に分けて納品・10%・切捨て
月間税抜合計:335円×3回=1,005円
消費税額:1,005円×10%=100.5円
端数切捨て → 100円
納品書にも参考税額を表示する場合は、月次請求書で確定する税額との違いが分かるようにし、両方の税額を重複して会計処理しないようにしましょう。
納品書ごとに税率別の消費税額等を記載し、各納品書と請求書を合わせて適格請求書の要件を満たす方法もあります。
この方式では、適格請求書を構成する納品書ごとに端数処理を行います。
同じ取引を納品書ごとに計算する場合
335円×10%=33.5円
切捨て → 1回33円
33円×3回=99円
月次請求書で100円に計算し直す方式と、納品書ごとの99円を採用する方式を混在させないことが重要です。
「どの書類で消費税額等を確定するか」を先に決めましょう。請求書単位・納品書単位で端数処理の回数が変わるため、同じ取引でも1円程度の差が生じることがあります。
請求書上の端数処理と、確定申告時の消費税計算は別のルールです。
適格請求書に記載する「消費税額等」は国税の消費税と地方消費税を合わせた金額ですが、申告ではまず国税部分の消費税額を計算し、その後に地方消費税を計算します。
売上税額の積上げ計算は、交付した適格請求書等に記載した消費税額等を積み上げ、その合計額に78/100を掛けて国税の消費税額を計算する方法です。
売上税額について積上げ計算を利用できるのは、適格請求書発行事業者です。
割戻し計算では、課税期間の税率別の税込売上金額から課税標準額を算出し、標準税率対象は7.8%、軽減税率対象は6.24%を掛けて国税部分の売上税額を計算します。
仕入税額についても、適格請求書等に記載された消費税額等を基礎とする積上げ計算や、課税期間の税率別支払対価の合計から算出する割戻し計算があります。
また、課税仕入れの都度、税込支払額に10/110または8/108を掛けて求めた消費税額等を帳簿へ計上し、その合計額を基礎とする「帳簿積上げ計算」が認められる場合もあります。
| 売上税額の計算方法 | 仕入税額で選べる方法 |
|---|---|
| 割戻し計算 | 積上げ計算 または 割戻し計算 |
| 積上げ計算 | 積上げ計算のみ |
| 売上で積上げ・割戻しを併用 | 積上げ計算のみ |
端数による納税額の差だけを見て、取引ごとに自由に有利な方法へ切り替えるものではありません。
自社の会計処理・システム設定と合わせ、継続的に正しく計算できる方法を選びましょう。
適格請求書発行事業者以外の免税事業者等から行う課税仕入れは、原則として適格請求書による全額の仕入税額控除を受けられません。
ただし、一定の帳簿・請求書等を保存することを条件に、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります。
| 課税仕入れを行った期間 | 控除割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日~2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日~2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日~2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日~2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日以後 | この経過措置による控除なし |
80%と70%のどちらを適用するかは、原則として課税仕入れを行った時期によって判断します。
商品の仕入れであれば原則として商品の引渡しを受けた日、役務提供であれば約束した役務の全部の提供を受けた日などを確認します。
2026年9月30日に商品の引渡しを受け、10月に支払い → 80%
2026年9月に代金を前払いし、10月1日に商品の引渡しを受ける → 70%
請求書の発行日・受領日・支払日だけを見て判断しないようにしましょう。
インボイス未登録事業者から、10%対象の商品を税込110,000円で仕入れ、2026年10月に引渡しを受けたとします。
ここでは、仕入税額の積上げ計算を採用し、1円未満を切り捨てる例です。
国税の消費税部分
110,000円 × 7.8/110 × 70%
= 5,460円
国税と地方消費税を合わせた「消費税等相当額」のイメージで見ると、次の計算になります。
110,000円 × 10/110 × 70%
= 7,000円相当
5,460円と7,000円は同じ種類の税額ではありません。5,460円は仕入税額控除の計算で用いる国税部分、7,000円は国税+地方消費税を合わせた税額相当額のイメージです。
軽減税率8%対象の商品を税込10,800円で仕入れた場合、国税部分は次のように計算します。
10,800円 × 6.24/108 × 70%
= 436.8円
積上げ計算では、この金額の1円未満について切捨てまたは四捨五入が認められています。
| 端数処理 | 仕入税額 |
|---|---|
| 切捨て | 436円 |
| 四捨五入 | 437円 |
なお、割戻し計算や帳簿積上げ計算では、計算の順序・端数処理を行う単位が異なります。
請求書上の端数処理と、申告時の仕入税額計算の端数処理を混同しないようにしましょう。
2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、1つの適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れの税込合計額が、その年または事業年度で1億円を超える場合、超えた部分について70%・50%・30%の経過措置を利用できません。
大口の外注・仕入れがある企業では、控除割合だけでなく取引先別の年間仕入額も確認しましょう。
名称に割合が出てくる制度が複数あるため、混同しやすいポイントです。
| 制度 | 誰のための計算? | 内容 |
|---|---|---|
| 70%経過措置 | 未登録事業者から仕入れた買手側 | 一定の要件の下、仕入税額相当額の70%を仕入税額として控除する |
| 2割特例 | 一定のインボイス登録事業者自身 | 一定の要件を満たす場合、自らの納付税額を売上税額の2割とする |
| 3割特例 | 一定の個人のインボイス登録事業者自身 | 2027年・2028年分について、一定の要件の下で納付税額を売上税額の3割とする |
「未登録者から仕入れたので70%を掛け、さらに2割特例だから20%を掛ける」といった計算はしません。経過措置は買手側の仕入税額控除、2割・3割特例は登録事業者自身の納付税額を計算する制度です。
Excelや請求書発行ソフトを使う場合は、制度を理解していても設定ミスによって税額がずれることがあります。
最低限、次の設定を確認しましょう。
税込入力か税抜入力か
各明細に設定した税率
端数処理が商品ごとではなく税率別合計後になっているか
切捨て・切上げ・四捨五入の設定
請求書と納品書のどちらで税額を確定する設定か
会計ソフト側では、さらに自社が採用する本則課税・簡易課税等の区分、売上税額・仕入税額の計算方法、取引先のインボイス登録状況、取引日、経過措置の控除割合などを確認します。
Excelで請求書を作る場合、各明細行で税額を丸め、その値をSUM関数で合計する設計になっていないか確認しましょう。
適格請求書の法定記載税額を計算する場合は、原則として税率ごとの対象金額を合計した後、その合計に税率を掛けて端数処理します。
端数が出ない簡単なテストデータだけでは設定ミスを発見できないため、335円など端数が生じる金額でも検算するのがおすすめです。
参考情報として商品ごとの税額を表示することはできますが、適格請求書の法定記載事項となる税率ごとの消費税額等について、商品ごとに端数処理した金額を合計する方法は認められていません。
1つの適格請求書につき、税率ごとの合計額を基に1回端数処理します。
全体を一括して計算することはできません。
10%対象と8%対象をそれぞれ集計し、税率ごとに消費税額等を計算します。
適格請求書へ記載する消費税額等については、いずれの方法も認められています。
自社のルール・システム設定を統一し、同じ請求処理の中で担当者ごとに方法が変わらないようにしましょう。
必ず少なくなるわけではありません。
取引件数や端数の発生状況等によって結果は異なります。
また、売上税額の計算方法によって仕入税額で選択できる計算方法に制限があるため、単純に税額だけを比較して選ぶものではありません。
いいえ。
70%経過措置とは、買手側が仕入税額相当額の70%を仕入税額として控除できる制度です。
未登録事業者への契約金額や支払額を自動的に30%減額する制度ではありません。
2026年10月30日時点では、2027年4月1日から2年間、飲食料品の消費税率を1%に引き下げる政府法案が国会で審議されています。
現時点ではまだ成立していないため、現在は飲食料品について軽減税率8%で計算します。
今後法案が成立した場合は、対象となる飲食料品の税率、インボイスの税率表示、会計・請求書システムの設定等を変更する必要があります。
インボイスに記載する消費税額等は、まず税込・税抜を確認し、標準税率10%・軽減税率8%の対象取引を分けて計算します。
1円未満の端数が生じた場合は、1つの適格請求書につき税率ごとに1回だけ端数処理を行います。
商品ごとに税額を丸め、その合計額を適格請求書の法定記載税額とする方法は認められていません。
請求書と納品書など複数の書類を組み合わせて適格請求書の要件を満たす場合は、どの書類で消費税額等を確定するのかを明確にします。請求書単位と納品書単位では端数処理の回数が変わるため、方式を混在させないことが重要です。
一方、確定申告で使用する積上げ計算・割戻し計算は、課税期間の売上税額・仕入税額を計算するためのルールです。請求書上の端数計算とは区別して理解しましょう。
2026年10月からは、インボイス未登録事業者等からの課税仕入れについて、仕入税額相当額の70%を控除できる経過措置へ変更されています。
70%経過措置、2割特例、3割特例はそれぞれ対象者・計算目的が異なる制度です。同じ取引へ重ねて割合を掛けるものではありません。
Excel・請求書発行ソフト・会計システムを利用する場合も、税率、税込・税抜、端数処理単位、申告時の税額計算方法を確認し、端数が生じるサンプル取引で検算しておくと計算ミスを防ぎやすくなります。