更新日:2024.10.04
ー 目次 ー
インボイスには、取引当事者の情報、商品の詳細、価格、数量、原産地など、様々な情報を正確に記載する必要があります。もし、インボイスに不備や誤りがあると、通関手続きが遅延したり、貨物が没収される可能性もあるため、細心の注意が必要です。
特に、輸出入に関する規制や手続きは国や地域によって異なるため、事前に必要な情報を収集し、それぞれのルールに合わせたインボイスを作成することが重要です。
この記事では、輸出入に必要なインボイスの種類、記載事項、書き方、注意点などを詳しく解説します。税関をスムーズに通過し、取引を成功させるために必要な知識を習得することができます。
インボイスとは、海外への輸出入や商取引を行う際に作成・発行する送り状のことです。
商品の品名や種類、数量、価格などが記載されており、添付されたインボイスを確認すれば、荷物の内容や発着地などの情報を一目で確認することができます。
インボイスが必要になるシーンは大きく分けて「商取引」と「通関」の2パターンがありますが、今回は通関業務に必要となるインボイスについて説明します。
海外から商品を輸入、または海外に向けて商品を輸出する場合には、税関にて品名や数量、価格などの情報を記載した仕入書(インボイス)を提出し、輸出入の許可を得る必要があります。
[注1][注2]これを「通関」といいます。
通関業務は輸入・輸出の両方で行われますが、特に輸入の場合はインボイスをもとに関税などの税金を算出・納税しないと荷物を受け取ることができないので注意が必要です。
[注1]税関|輸入申告の際に必要な書類 (カスタムスアンサー)
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1107_jr.htm
[注2]税関|輸出申告の際に必要な書類(カスタムスアンサー)
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/extsukan/5009_jr.htm
インボイスは「送り状」ですので、商取引・通関ともに「荷物を送る側」が作成・発行するのが原則です。
商取引では受注者や販売者、通関では輸出者がそれぞれインボイスを作成し、商品と共に買い手や輸入者に送付することになります。
インボイスには、取引の段階や目的によって、いくつかの種類があります。主な種類は以下の通りです。
それぞれのインボイスの特徴や用途を理解し、適切な種類のものを作成する必要があります。
プロフォーマ・インボイスとは、見積書や注文書のような役割を果たすインボイスです。取引の初期段階で、価格や数量、取引条件などを相手に提示するために使用されます。
正式な取引ではないため、法的拘束力はなく、価格や条件などが変更になる可能性があります。
コマーシャル・インボイスは、輸出入の際に最も一般的に使用されるインボイスです。商品の価格、数量、原産地、輸送条件など、取引に関する詳細な情報を記載します。
税関で貨物の通関手続きを行う際に必要となるため、正確な情報が記載されていることが重要です。
シッピング・インボイスは、輸出者が運送業者に発行するインボイスです。貨物の輸送に必要な情報を記載し、運送業者が貨物を適切に輸送するために使用されます。
コマーシャル・インボイスと同様に、税関で貨物の通関手続きを行う際にも使用されることがあります。
カスタムズ・インボイスは、特定の国や地域で輸入通関手続きに必要となるインボイスです。その国や地域の税関が定めた書式や言語で作成する必要があります。
国や地域によって、必要な情報や書式が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
インボイスは、輸出入を行う上で欠かせない書類です。それぞれのインボイスの特徴を理解し、正確な情報で作成することで、スムーズな取引を行うことができます。
インボイスには正式なフォーマットはなく、必要事項さえ記載されていれば、パソコンなどで自作して提出することも可能です。ただ、インボイスに記載する項目には一定のルールがあり、記載事項に不備があると税関での手続きがストップしてしまいます。税関の手続きが滞ると、スムーズに商品を輸出できなくなり、買い手(輸入者)にも迷惑がかかってしまいますので、インボイスに記載すべき項目をあらかじめチェックしておきましょう。
ここでは、インボイスに記載すべき項目と、それぞれの書き方のポイントについて解説します。
インボイスを作成した年月日と、作成地を記載します。
たとえば2021年12月1日に日本でインボイスを作成した場合は、作成日に「Dec 1, 2021」、作成地には「Japan」と記載します。
荷物を送る側(インボイス作成者)の氏名・住所・連絡先を記載します。
たとえば、東京に住むヤマダタロウさんが差出人の場合は以下のようになります。
●Name(氏名):Taro Yamada
●Address(住所):◯-△(番地), mukaihara 1-choume Itabashi-ku,Tokyo 173-0036
●Country(国):Japan
●Tel 03-xxxx-xxxx
●Fax 03-xxxx-xxxx
住所は日本国内とは表記が逆で、番地から最初に記入します。
荷物を受け取る人の氏名と住所、電話番号を記載します。
書き方は差出人の場合と同じですが、海外の住所になりますので、記載ミスや記載漏れに注意しましょう。
小包のラベルまたはEMSラベルに記載された番号を記入します。
荷物を送る手段を記載します。
たとえば国際小包なら「Parcel Post」、EMSなら「EMS」と記入します。
それ以外の場合は「International Mail」と記載すればOKです。
支払いがある場合に記載します。
たとえば電信送金なら「T/T Remittance」、信用状なら「Irrevocable Letter of Credit」です。
支払いがない場合は空欄でOKです。
その他、記載事項があれば記入します。
たとえば、運賃の負担先を記入する場合、元払いの場合は「Freight : Prepaid」、着払いの場合は「Freight : Collect」」と記載します。また、荷物の保障について記載する場合、有償なら「Commercial value」、無償なら「No Commercial value」と記入します。
一般的に、売買が生じる販売品の場合は「有償」、贈り物や商品サンプルなどの場合は「無償」となります。
荷物の品名をひとつずつ記載します。
商品名ではなく、誰が見てもわかるような一般的な名詞を使いましょう。
品目ごとの正味重量を記載します。
単位はkgでかまいません。
品目ごとの数量を明記します。
品目が多岐に亘る場合や、複数のものを送る場合は、記載ミスに注意しましょう。
品目ごとの単価を記載します。
欄外には「JPY」と記載し、日本円で表記していることがわかるようにしましょう。
数量×単価で算出した合計額を品目ごとに記載します。
品目ごとの合計額を合算した額を記載します。
インボイス作成者の名前を自筆で記入します。押印は不要です。
※出典元:インボイスについて|日本郵便
https://www.post.japanpost.jp/int/use/writing/invoice.html
インボイスを作成するにあたり、注意しておきたい点を2つご紹介します。
「インボイスの記載事項と書き方」を見ればおわかりかと思いますが、インボイスは海外に送る品物に添付する書類ですので、原則として送り先で通用する外国語を用いて作成します。送り先の言語がわからない場合は、公用語である英語で作成するのが無難です。
英語に自信のない方は、配送業者などがネット上で無料配布しているテンプレートを使用して作成することをおすすめします。
プレゼントや商品サンプルを送る場合、受取人は支払いを行う必要はなく、インボイスにも「No Commercial value(支払不要)」と記載します。
しかし、送った商品の課税価格の合計額が1万円を超える場合、たとえプレゼントや商品サンプルであっても、関税および消費税などが課税されます。[注3]
そのため、受取人に支払いが生じない商品を輸出する場合でも、インボイスには必ず品名と数量、価格を明記する必要があります。
なお、課税価格の合計額が1万円以下のものに関しては、関税および消費税等は免税されます。
[注3]東京税関|よくあるご質問とその回答
https://www.customs.go.jp/tokyo/yuubin/postal_q.a.html
海外に商品を送るときは、商取引か否かに関わらず、必ずインボイスを作成する必要があります。
インボイスは輸出入の許可を得るために必要となるほか、関税を納める際にも使用する重要な書類ですので、海外にものを送るときはあらかじめインボイスを作成しておきましょう。インボイスには決まったフォーマットはありませんが、記載事項に不備があると手続きが止まってしまい、スムーズに輸出入ができなくなりますので、作成する際は書き漏れや記載ミスがないかどうかしっかりチェックすることをおすすめします。