更新日:2022.08.17
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2023年10月1日より開始される「インボイス制度」は、課税事業者はもちろん、免税事業者にも大きな影響を与える制度です。特に建設業で働く人や一人親方として働く人は、インボイス制度についての知識がないと、事業自体が成り立たなくなる危険性もあります。そこで今回は、インボイス制度とは何かをご説明するとともに、インボイス制度が建設業に与える影響と対策について解説します。
インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除を受ける際に「適格請求書」の保存が必要となる制度です。
このインボイス制度を理解するためには、消費税の仕組みや軽減税率制度といった前提知識が必要となります。
ここでは最初に消費税の仕組みを解説した上で、インボイス制度の概要をご紹介します。
このように「課税仕入れ等に係る消費税額」を差し引くことを「仕入税額控除」といいます。
ところが、消費税は2019年10月の増税と軽減税率の導入に伴い「軽減税率(8%)」と「標準税率(10%)」の2つから成る「複数税率」になりました。商品によって税率が異なるため、課税仕入れにかかった消費税額が分かりにくくなってしまったのです。そのような状況下で、正確な適用税率や消費税額を把握する手段が求められるようになり、生まれたのが「インボイス制度」です。[注1]
[注1]国税庁:適格請求書等保存方式の概要―インボイス制度の理解のために―[PDF]
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf
しかし、インボイスでは区分記載請求書の記載事項に加え、以下の内容が追加されます。
● 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
● 税率ごとに区分して合計した税込対価の額および適用税率
● 税率ごとに区分した消費税額等
この記載事項からも分かるとおり、インボイスを発行するには「適格請求書発行事業者」に登録して、登録番号をもらう必要があります。[注1]
[注1]国税庁:適格請求書等保存方式の概要―インボイス制度の理解のために―[PDF]
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf
そのため、適格請求書を発行できない免税事業者との取引では、
● 2023年10月~2026年9月:支払った消費税の8割を控除可能
● 2026年10月~2029年9月:支払った消費税の5割を控除可能
● 2029年10月以降~:完全に廃止
と段階的に仕入税額控除が廃止されることとなっています。[注1][注2]
[注1]国税庁:適格請求書等保存方式の概要―インボイス制度の理解のために―[PDF]
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0020006-027.pdf
[注2]一人親方団体 労災センター共済会:インボイス制度とは?一人親方にも大きく影響する制度の仕組みを解説!https://hitorioyakata.or.jp/blog/49
[注3]日本商工会議所:「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」結果[PDF]
https://www.jcci.or.jp/190805kekka.pdf