更新日:2024.12.27
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ビジネスをするうえで取引先の未入金が発生した際、適切な対応をとらないとトラブルに発展する可能性があります。しかし、適切な対応方法や法律上のルールなどを知らないと、迅速に対応できません。
このようなことから、未入金の原因や対応、また防止策を理解することは企業にとって大切なことといえます。
本記事では、未入金の対応方法について、原因や防止策、注意点を解説します。
未入金の原因によっては、相手に対する対応方法が異なる可能性があります。そのため、原因を特定しない状態で、請求書の再発行をいきなりおこなうのは避けるべきでしょう。
たとえば、相手はすでに支払い対応をおこなっており、金融機関のシステム上のミスで入金が反映されていないケースがあります。このようなケースの場合に、請求書再発行をしてしまうと、取引先との関係性に亀裂が生じかねません。
請求した金額が未入金であることが判明した際には、まずどのような原因で未入金なのかを自社内から確認しましょう。
請求書の再発行以外に、未入金時に対応できる方法はいくつか存在します。ただ、対応方法のなかには、相手への法的措置も含まれているため、然るべきタイミングを間違わないように対応することが大切です。
ここでは、未入金への対応について、5つ解説します。
未入金の原因は必ずしも取引相手が原因のわけではありません。たとえば以下のように、自社の手違いによって、相手が入金できない状態の可能性があります。
いきなり相手へ連絡して迷惑をかけないためにも、まずは自社内の問題から確認しておくことが相手への誠実な対応につながります。
自社側に原因がない場合、次に考えられるのは相手に原因があるケースです。取引相手に連絡し、入金が済んでいないことを伝えておきましょう。その際に、取引相手と自社でのコミュニケーションに相違がないかを確認しておくと、今後の取引で同様のトラブルが発生しづらくなるためおすすめです。
連絡はメールやチャットだけでなく、一緒に電話にて直接担当者に伝えておくと効果的です。
催促状とは、取引相手に対して支払いを促すための送付状です。ただし、催促状に法的効力はないため、送付したからといって必ずしも入金されるわけではありません。あくまで、未入金の旨を相手に伝えて、支払いを催促させるだけのものです。
催促をするためのものではありますが、取引相手への配慮を踏まえて厳しい表現は控えましょう。
督促状は、催促状と同様に入金して欲しい旨を相手に伝える送付状ですが、以下の点が異なります。
催促状 |
「支払いが遅れていること」を伝える通知 |
督促状 |
「これ以上支払いが遅れると最終手段に移ること」を伝える通知 |
督促状には、以下の項目を記載します。
なお、可能であれば督促状は内容証明郵便で送りましょう。内容証明郵便であれば「こちらが督促状を送った事実」や「相手が受け取った事実」が記録として残り、法的措置の際の証拠になります。
長期間にわたって入金対応がない場合には、以下のような法的措置を視野に入れましょう。
ただし、法的措置は取引相手との関係性が変化したり、債権回収に費用や時間がかかったりなどのリスクがともなうことから、できる限り最終的な手段として考えてください。
トラブルには理由や原因がつきものですが、未入金の場合も同じです。
取引相手は何らかの理由や原因があって未入金の状態になっており、理由や原因なく未入金になるケースはほとんどありません。
そのため、未入金が発生する原因を理解し、状況の把握に努めましょう。
請求書の送付し忘れや請求書の送り先の間違いなどの未入金の原因が自社にあるケースです。この場合、取引相手は来るはずの請求書を待っているので、こちらの非を謝罪してただちに対応しましょう。
なお、送付が遅れた分だけ支払期限を延ばす、といった柔軟な対応があると印象を下げずに済みます。
取引相手の過失には、以下のようなケースが挙げられます。
対策としては、取引相手に連絡するのがベストです。
また、こちらにも支払期限を伸ばしたり、請求書の送付手段を見直したりするなどの対応を求められるケースがあります。確実に入金してもらうためにも、これらの対応を忘れずに行いましょう。
相手が故意に支払わない理由は、「資金不足により支払いができない状態にあるから」などの支払能力の欠如によるものが多いです。
相手と連絡が取れるのであれば、資金が確保できた際に入金してもらうことで問題解決します。しかし、相手との連絡が取れない場合、催促状や督促状を送るなどの対応をしなければいけません。
請求書の未入金は完全に防げるものではない一方で、未入金のリスクを事前に低くしておくことは可能です。スムーズな請求対応の実現や取引相手との良好な関係性を重視したい場合には、防止策の実行を積極的におこないましょう。
ここでは、未入金を発生させないための防止策について、解説します。
未入金の原因が社内にある場合、現在の業務フローのままでは再発するリスクが否めません。根本的な原因を明確にするためにも、社内の請求書関連の業務フローを再確認しましょう。
具体的な確認方法としては、以下の2つが挙げられます。
企業のなかには、請求書における入金業務に慣れていない相手も一定数存在します。そのような相手に対して、以下のように自社側からサポートをすることで、未入金のリスクを減らせるでしょう。
取引をする際「相手に支払能力がない」とわかれば、事前に相手を変えることが可能です。取引をおこなう前に「相手に支払能力があるのか」を見極める与信管理を実行するのも選択肢の1つでしょう。
なお、与信管理の方法は以下のように複数あるため、自社にあった方法を選ぶことが重要です。
いざ請求書を再発行することになっても、通常の請求書と同様の方法で再発行してはいけません。再発行の際で対応しないとならない点を踏まえて、対応を進めましょう。
ここでは、請求書の再発行や未入金に関する注意点を2つ紹介します。
たとえば、請求書の紛失が原因で再発行をおこなった場合、初回の請求書と再発行の請求書で見分けをつけておく必要があります。再発行した請求書には再発行であることがわかる記載をすることが重要です。
二重に支払われることを防ぐこととしても意味があるため、必ず実行するようにしましょう。
請求書の発行側は、請求書を発行した時点で請求する権利(債権)を有します。この権利には有効期限があり、期限を過ぎてしまうと請求を主張できなくなります。基本的には以下のように設定されるため、この点は理解しておきましょう。
本記事では、未入金の対応方法について、原因や防止策、注意点を解説しました。
未入金が発生した際には、焦って行動を起こさずに「取引相手への配慮」と「然るべきタイミングにおける対応方法」を理解しておくことが大切です。また、請求書の再発行をおこなう場合にも、通常の請求書発行とは異なる点には注意しておきましょう。
スムーズな請求対応を実現するためにも、請求ルールをしっかりと理解してくことが大切です。