更新日:2025.12.26

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請求書を郵送するとき、「封筒に『請求書在中』と書くべきなのか?」「手書きでも失礼にならないのか?」と悩む人もいるでしょう。とくに、初めて郵送対応をする個人事業主や経理・事務担当者にとって、封筒の書き方は迷いやすいポイントです。
ビジネスマナーとして正しく記載しながら、誤送や開封遅れを防ぐための注意点も押さえる必要があります。
本記事では、「請求書在中」を手書きで書いても問題ないのか、どの位置・文字の色で書くべきかといった基本から、郵送トラブルを避けるための実務的なポイントまでわかりやすく解説します。
封筒に「請求書在中」と手書きで記載することは、ビジネスマナー上問題ありません。適切な位置に、読みやすい字で記載すれば、受取側への丁寧な配慮として十分に通用します。
「請求書在中」は封筒の中身を郵便物担当者がすぐに判別できるようにするための「外脇付け」と呼ばれる表記で、手書き・スタンプ・印刷のいずれも正式な方法です。法的なルールも存在しないため、社内の運用や郵送量に合わせて使い分けるとよいでしょう。
なお、当該記載はあくまで慣習であり、法律で強制されるものではありません。請求書在中について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:「請求書在中」の正しい書き方!位置や相手に失礼のない封筒マナー解説

封筒に「請求書在中」と記載するのは単なる形式ではなく、受取側の業務を円滑にするための重要な配慮です。「請求書在中」を手書きで記載する主な目的を2つ紹介します。
「請求書在中」を記載する目的のひとつは、受取企業の郵便物担当者が開封前に中身を識別し、経理部などの担当部署へ素早く届けられるようにする点にあります。
企業に届く郵便物は、請求書のような重要書類から、カタログやDMまでさまざまです。郵便担当者はこれらを短時間で仕分ける必要があり、封筒の外側にわかりやすい表示があることで仕分け作業が効率化されるでしょう。
また、日本のビジネス文化では相手の業務フローへの配慮が重視されます。「請求書在中」という添え字はその配慮を具体的に示すものであり、手書きでも黒や濃い青のインクで丁寧に書き、枠を付けることで視認性が高まり、取引先の負担を軽減することが可能です。結果として、自社の入金処理がスムーズに進むことにもつながります。
請求書は支払期限があるため、到着後すぐに確認・処理されるべき書類です。一方、営業資料やカタログなどの郵便物は緊急性が低いですが、一見しただけでは請求書のような重要書類と区別がつかない場合もあるでしょう。そこで「請求書在中」という表記をすることで、他の郵便物に埋もれるのを防げます。
この一言が封筒表面に書かれているだけで、受取側は「優先して処理すべき書類である」と判断できます。わずかな手間ですが、取引先での処理優先度を高め、請求書を期限内に確実に処理してもらえるようになるでしょう。
「請求書在中」を手書きで記載する際は、単に文字を書くのではなく、受取側が読み取りやすく処理しやすい形に仕上げることが大切です。「請求書在中」の正しい書き方を詳しく説明します。
手書きで「請求書在中」を書くときは、封筒の向きに応じて適切な位置に配置することが重要です。縦書き封筒なら左下、横書き封筒なら右下に記載するのが一般的なマナーです。また、宛名や切手と重ならず、自然に視線が流れる位置に添え字を置くことで見分けやすくなるでしょう。
たとえば長形3号の縦書き封筒なら、宛名を中央に縦書きで配置し、左下の余白に添えるのが見やすいレイアウトです。横書き封筒では差出人が左上、宛名が中央に来るため、右下に「請求書在中」と記載するのが適切な位置となります。
宛名や郵便番号と重なると配達トラブルを招く恐れがあるため、まずは宛名を書いて全体のバランスを確認し、十分な余白のある位置を選んで記載しましょう。
文字色は「濃い青色」が推奨されます。黒色でも問題ありませんが、宛名と同じ色になるため目立ちにくく、注意喚起としての効果が弱くなりがちです。一方で濃い青色は見やすく、封筒上で宛名と明確に区別できるため実務面でも優れています。また誠実さや信頼性の印象を与える色としてビジネスシーンに適しています。
赤色の使用は基本的には避けましょう。金銭に関わる書類で赤い色を使うと赤字を連想させるうえ、攻撃的な印象を与えることもあり、取引先に失礼と受け取られる可能性があります。手書きする際は、濃い青色の油性ボールペン(1.0mm以上)や油性マーカーの細字が最適です。
「請求書在中」の文字を四角い枠で囲むと、見やすくなるうえに丁寧な印象を与えられます。
手書きで「請求書在中」を記載する場合は、定規を使って枠を引きましょう。フリーハンドの枠は歪みが目立ち、全体の印象を損ねてしまう場合があります。また、枠を書く際は、文字の周囲に3〜5mmほどの余白を取り、バランスよく囲むと見た目が整います。
手書きはコストがかからない一方で、実務上いくつかのデメリットもあります。とくに郵送数が多い企業ほど影響が大きく、注意しないと業務効率の低下や封筒の無駄につながる可能性があるでしょう。 「請求書在中」と手書きするデメリットと対策をわかりやすく解説します。
手書きで「請求書在中」を書く場合、書き損じによって封筒を無駄にしてしまうことがあります。ミスが発生すると修正ができないため、封筒ごと書き直す必要があるためです。
文字のかすれやインクの滲み、位置のズレなどは、丁寧に書いていても起こりやすく、ビジネス文書として不備のある封筒は使用できません。その結果、宛名も含めて最初から書き直す手間とコストが生じます。
対策としては、薄く下書きをしてから清書する方法や、送付数が多い場合はスタンプを導入する方法がおすすめです。
手書きは仕上がりに個人差が出やすく、字の癖や筆圧、体調、使用するペンの状態などによって見栄えが変わります。 字が小さすぎたり薄かったりすると、「請求書在中」が視認されにくく、郵便物の仕分け担当者が見落とす可能性もあります。 バラつきを減らすには、スタンプや印刷にするのがおすすめです。
手書きで「請求書在中」と書くのは手間がかかり、送付数が増えるほど業務効率を圧迫します。 月10通程度なら手書きでも問題ありませんが、それ以上になる場合はスタンプや印刷済み封筒を導入するのがおすすめです。手書き作業がほかの業務を圧迫していることに気づくことが大切です。
スタンプ・印刷・シールを使えば作業時間を大幅に短縮でき、仕上がりの品質も安定します。手書きの「請求書在中」表記でも問題はありませんが、取引先が増えた場合や見栄えを整えたい場合は、これらの方法を選ぶほうが効率的です。
「請求書在中」を効率よく、きれいに記載したい場合は専用スタンプが便利です。価格も500円前後と手頃で、手間をかけずに均一な仕上がりにできます。 とくに浸透印タイプならインク台が不要で、片手で素早く作業できる点もメリットです。青色のインクを使えば、宛名などとの見分けがつきやすいでしょう。
封筒に「請求書在中」をあらかじめ印刷しておく方法は、月50〜100通以上の大量送付や、企業ブランディングを重視したい場合に適しています。社名・ロゴ・住所などもまとめて印刷できるため統一感が出せるうえ、手書きやスタンプと違って印字品質が均一で、よりプロフェッショナルな印象を与えられるでしょう。記載作業そのものが不要になるため、大量郵送でも作業効率が圧倒的によくなります。
「請求書在中」シールは、封筒に貼るだけで済む手軽な方法です。文字を書く必要がないため見た目が安定し、急ぎの発送にもすぐ対応できます。デザインや色の種類も多く、目立たせたいときやシンプルにしたいときなど用途に合わせて選べる点も魅力です。
また、どのような封筒にも貼れるため在庫の封筒をそのまま使えるのもメリットです。月に数通〜数十通程度の送付がある事業者なら、コストを抑えつつ効率よく作業できるでしょう。手軽さと見栄えを両立したい場面におすすめの方法です。
「請求書在中」の書き方自体を悩まないようにするには、紙の郵送から電子請求書へ移行するのが有効です。電子化すれば封筒準備や郵送作業が不要になり、請求スピードが大幅に向上します。法令対応やテレワークとの相性もよく、働き方改革の面でもメリットがあります。
電子請求書のメリットは、紙の請求書を郵送するための作業とコストを軽減できることです。 封筒の購入・印刷・封入・宛名書き・切手貼付・投函など、紙の請求書には多くの工程が必要です。コスト面でも一通当たりおよそ100円前後の郵送料となります。電子請求書なら、こうした時間・費用を削減でき、業務効率を高められるでしょう。
ただし、取引先の同意が必要となるため、電子対応が可能な取引先には電子送付、従来の郵送を希望する取引先には紙で郵送するなど、併用して運用するのが現実的といえます。
電子請求書は、作成後すぐにメール送信やシステム通知ができるため、紙の郵送に比べて圧倒的に早く相手に届きます。郵送では印刷・封入・投函の工程に加え、配達までに1〜3日かかるのが一般的で、月末締めの請求では支払い処理が遅れる要因にもなります。
電子請求書は、その日のうちに確認が進むので入金までの流れが早くなり、結果としてキャッシュフロー改善にもつながるでしょう。

電子請求書をクラウド型の請求書発行システムで管理すると、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応・発行履歴の保管・入金管理を一元化できます。各種請求書発行システムでは、インボイス対応のテンプレートが標準搭載されており、適格請求書の必要事項を自動で記載可能です。
さらに、電子帳簿保存法により電子取引で受け取った見積書や請求書のデータについてはデータの保存することが義務化されており、クラウドサービスはこの要件を満たす形でデータを保存してくれます。これにより、紙のファイリングや台帳管理の手間がなくなります。
発行した請求書と入金状況を紐づけて管理できるため、未入金の把握や督促の効率化にもつながるでしょう。多くのサービスが無料プランやトライアルを提供しているため、小規模な試験導入から始めるのがおすすめです。
電子請求書は、請求書の作成・送付を場所に縛られずおこなえるため、テレワークと相性のよい仕組みです。
紙の請求書のように印刷・封入・郵送のために出社する必要がなく、PCとネット環境があれば自宅や出先でも業務が完結します。これにより、育児・介護との両立や地方在住の社員の働きやすさが向上し、組織全体の柔軟な働き方にもつながるでしょう。
さらに、請求業務を電子化することは、単なる効率化にとどまらず、紙中心の業務フローをデジタル化し、プロセスの自動化やデータ活用を進める重要な一歩です。電子データの一元管理や他システムとの連携も容易になり、企業のDX推進を実質的に前進させる取り組みといえます。
請求書を郵送する際の「請求書在中」の記載は、受取側の業務負担を減らし、自社の請求処理をスムーズに進めるための大切な配慮です。
基本的に「請求書在中」の記載は手書きでも問題ありません。そのうえで、位置・文字色・枠の付け方といった点を意識すると、相手にとって読みやすく丁寧な印象を与えられます。一方で、書き損じや作業時間といった手書き特有のデメリットも存在するため、送付数が増える場合はスタンプや印刷済み封筒への切り替えが効果的です。
さらに業務全体を見直すなら、電子請求書への移行も検討しましょう。郵送作業の負担をなくし、請求の迅速化や法令対応、テレワーク推進にもつながります。請求書仕訳業務の課題について詳しく知りたい人は、以下の資料もぜひ参考にしてください。