更新日:2026.10.30

ー 目次 ー
請求書を受け取ったら、すぐに支払いへ回すのではなく、まず契約・発注・納品内容と請求金額を照合します。
その後、支払期日を管理し、必要に応じて取引先へ返信したうえで、社内承認、会計処理、支払い、請求書の保存まで進めます。
受領・内容確認・承認・支払いをそれぞれ記録しておけば、現在どこまで処理が進んでいるかを担当者間で共有でき、未払い・二重払い・承認漏れを防ぎやすくなります。
また、本則課税で仕入税額控除を行う場合は適格請求書の記載事項も確認します。2026年10月以降は、インボイス未登録事業者からの課税仕入れに関する経過措置も変更されているため、税務処理もあわせて確認しましょう。
この記事では、請求書を受け取った後の確認から支払い・保存までの手順、少額特例、返信メールの例文、未着・訂正・二重受領への対応まで解説します。
請求書を受け取ったら、まず見積書、契約書、発注書、納品・検収記録などと照合します。
継続契約では対象月・契約プラン・数量などを確認し、追加作業が請求されている場合は、その内容と金額が事前に承認されているかを発注担当者へ確認しましょう。
| 確認する情報 | 照合先・確認ポイント |
|---|---|
| 取引先名・請求先名 | 契約相手と請求元が一致しているか。自社の法人名・部署等が正しく記載されているか |
| 請求対象の業務・期間 | 発注内容、対象月、実際の納品・役務提供内容と一致しているか |
| 数量・単価・値引き | 最新の見積書・契約・追加発注等の合意内容が反映されているか |
| 消費税・請求総額 | 税率、税抜・税込、消費税額、端数処理などに不整合がないか |
| 過去の請求・支払い | 同じ取引をすでに計上・支払いしていないか |
定期請求でも毎回確認しましょう。契約変更、数量変更、休止、解約、追加作業などによって前月と請求額が異なることがあります。
請求書に記載された支払期日が、契約で合意している支払条件と一致しているか確認します。
自社の通常の支払サイクルと異なるからという理由だけで、請求書記載の期日を社内都合で変更しないようにしましょう。
支払方法についても、銀行振込、口座振替、クレジットカードなど、どの方法で決済する取引なのかを確認します。
すでに口座振替やクレジットカードで決済される取引に対して請求書が発行されるケースもあるため、銀行振込を手配する前に決済状況を確認してください。
請求書に記載された振込先が過去の登録口座と異なる場合は、取引先へ事実確認を行います。
このとき、口座変更を知らせるメールや請求書に記載された電話番号だけで確認するのではなく、すでに把握している担当者・登録済み電話番号など別の経路を利用すると、なりすましによる不正送金を防ぎやすくなります。
請求書番号、発行日、支払期日、振込先などは重要な実務情報ですが、すべてがインボイス制度上の法定記載事項というわけではありません。「支払いに必要な項目」と「適格請求書として必要な項目」を分けて確認しましょう。
本則課税で仕入税額控除を受ける場合は、原則として一定事項を記載した帳簿と適格請求書等を保存します。
一般的な適格請求書では、次の6項目を確認します。
発行者の氏名または名称・登録番号
取引年月日
取引内容(軽減税率対象品目である場合はその旨)
税率ごとに区分して合計した税込または税抜対価の額・適用税率
税率ごとに区分した消費税額等
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
登録番号については、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで登録状態を確認できます。
請求書に記載漏れがある場合は、発行者へ確認・訂正を依頼します。
受領側が登録番号などを独自に書き足し、発行者の確認なしで適格請求書として処理することは避けましょう。
なお、買手側で正しい事項を記載した仕入明細書等を作成し、売手の確認を受けることで仕入税額控除の要件を満たす方法もあります。
適格請求書発行事業者ではない事業者からの課税仕入れについては、経過措置があります。
| 期間 | 控除割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日~2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日~2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日~2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日~2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日以後 | 経過措置による控除なし |
どの控除割合を使うかは、原則として課税仕入れを行った時期によって判断します。
そのため、「2026年10月に請求書を受け取ったから70%」と一律に判断するのではなく、商品・サービスの取引時期を確認しましょう。
一定規模以下の事業者が行う税込1万円未満の国内課税仕入れについては、適格請求書を保存せず、一定事項を記載した帳簿のみで仕入税額控除を受けられる「少額特例」があります。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 買手の規模 | 基準期間の課税売上高が1億円以下、または特定期間の課税売上高が5,000万円以下 |
| 取引金額 | 1回の課税仕入れに係る支払対価が税込1万円未満 |
| 対象期間 | 2023年10月1日~2029年9月30日に行う課税仕入れ |
| 売手の登録状況 | インボイス登録済み・未登録を問わない |
特定期間の判定では、課税売上高を給与等の支払額へ置き換えて判定することはできません。
また、税込1万円未満かどうかは1商品ごとではなく、1回の取引単位で判定します。
5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入 → 合計12,000円なので対象外
5,000円の商品を別日に購入し、7,000円の商品を別の取引として購入 → それぞれ1万円未満なら対象となり得る
月額契約を日数で割って1万円未満かを判断することもできません。
なお、少額特例はあくまで消費税の仕入税額控除における請求書保存の特例です。法人税・所得税等に基づく書類保存義務までなくなるわけではありません。
請求書が届いたら、まず受付情報を管理表や請求書管理システムへ登録します。
受領日
取引先名・請求書番号
請求金額
支払期日
内容確認を行う担当者
担当者個人のメールボックスだけに請求書を置かず、経理担当者も確認できる共有フォルダや請求書管理サービス等へ集約すると、処理漏れを防ぎやすくなります。
紙で受け取った請求書についても、電子請求書と同じ管理表で受領状況を管理すると分かりやすくなります。
「請求書を受け取った」ことと「支払いが完了した」ことは別です。
次のようにステータスを分けて管理しましょう。
1|受領済み
2|内容確認中
3|承認済み
4|支払予約済み
5|支払済み
特に「振込予約済み」と「実際に振込完了済み」は分けて管理してください。
残高不足、口座情報の不備、銀行システム上のエラーなどにより、振込予約をしていても支払いが完了しない場合があります。
経理担当者だけでは、商品・サービスが実際に納品・提供されたか判断できないケースがあります。
発注部署や利用部署が納品・役務提供の実績を確認したうえで、社内規程に従って承認者へ回しましょう。
承認時には、契約番号、発注番号、費用負担部署、追加発注の合意内容なども合わせて示すと、確認しやすくなります。
承認者の休暇・出張によって支払いが止まらないよう、代理承認のルールも決めておくとよいでしょう。
承認後は、取引内容に応じた勘定科目・部門・税区分・計上日で会計処理を行います。
費用の計上時期は、請求書を受け取った日だけで決まるとは限りません。納品日、検収日、役務提供期間なども確認して処理しましょう。
銀行振込の場合は、承認済みの請求データから振込処理を行います。
振込後は、銀行の処理結果と請求書管理表を照合します。
支払日・支払額を記録し、未払い、過払い、二重払いがないことを確認してください。
請求書、承認記録、会計データ、支払記録を共通の管理番号等で関連付けておくと、後から取引内容を確認しやすくなります。
請求書を受け取った際に、必ず返信メールを送らなければならないという法律上のルールはありません。
一方、初回取引、重要な取引、受領確認を求められている場合などは、返信しておくと認識違いを防ぎやすくなります。
返信するときは、単に「受領しました」と伝える場合と、「内容確認・承認まで完了した」場合を区別しましょう。
件名:請求書を受領しました/請求書番号〇〇
株式会社〇〇
〇〇様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
請求書番号〇〇の請求書を受領しました。
ご送付いただきありがとうございます。
現在、担当部署で内容を確認しております。
確認事項がある場合は、〇月〇日までにご連絡いたします。
引き続きよろしくお願いいたします。
株式会社△△ □□/連絡先
この段階では、まだ内容確認や支払承認が終わっていないため、「〇日に必ず支払います」など確定したような表現を避けます。
件名:お支払予定日のご連絡/請求書番号〇〇
株式会社〇〇
〇〇様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
請求書番号〇〇について、社内確認が完了しました。
ご請求額〇〇円につきましては、事前に合意したお支払期日である〇年〇月〇日に、ご指定の口座へお振り込みする予定です。
よろしくお願いいたします。
株式会社△△ □□/連絡先
件名:請求内容の確認のお願い/請求書番号〇〇
株式会社〇〇
〇〇様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
お送りいただいた請求書について、次の点をご確認いただけますでしょうか。
対象明細:〇〇制作費
請求書の記載額:〇〇円
弊社の発注記録:△△円(発注番号〇〇)
追加発注等によって差額が生じている場合は、該当する作業内容と金額をご教示ください。
記載違いの場合は、訂正後の請求書をご送付いただけますと幸いです。
支払期日までに手続きを完了するため、〇月〇日までにご回答をお願いいたします。
株式会社△△ □□/連絡先
件名:請求書再送のお願い/〇月分〇〇費用
株式会社〇〇
〇〇様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
〇月分の請求書についてご連絡いただきありがとうございます。
添付ファイルを確認できなかったため、お手数ですが再送をお願いいたします。
対象:〇月分〇〇費用
送付先:〇〇
再送いただいた請求書は、当初のご請求分として管理いたします。
よろしくお願いいたします。
株式会社△△ □□/連絡先
メール添付PDF、Webサイトからのダウンロード、クラウドサービス等で電子的に受け取った請求書は、電子帳簿保存法上の電子取引データに該当します。
そのため、原則として元の電子データを電子のまま保存します。
紙へ印刷して社内確認用として利用することはできますが、電子データを削除して印刷物だけを保存する方法では電子取引データ保存に対応できません。
また、請求金額や取引条件などの保存すべき取引情報がメール本文にしか記載されていない場合は、そのメール本文も保存対象になります。
訂正・削除履歴が残るシステムや事務処理規程などにより改ざん防止措置をとる
必要なときに画面へ明瞭に表示し、書面へ出力できる環境を整える
原則として日付・金額・取引先で検索できるようにする
タイムスタンプは改ざん防止方法の一つであり、すべての電子請求書に必ず付与する必要があるわけではありません。
一定の事業者については検索要件の緩和もあり、保存要件を満たせないことについて相当の理由がある場合の猶予措置もあります。
紙で受け取った請求書は、紙のまま保存できます。
電子帳簿保存法があるからといって、すべての紙の請求書を電子化する義務があるわけではありません。
ペーパーレス化する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たして電子保存します。
単に社内回覧のためにPDF化しただけでは、税法上のスキャナ保存に移行したことにはなりません。
紙原本を廃棄する場合は、200dpi相当以上、カラー画像、入力期限、訂正削除管理、検索等、請求書に必要なスキャナ保存要件を満たしていることを確認しましょう。
請求書の保存期間は「電子帳簿保存法だから7年間」と一律に決まるわけではありません。
法人税、所得税、消費税など、対象となる税法ごとの保存義務を確認します。
| 主な区分 | 請求書等の保存期間の目安・注意点 |
|---|---|
| 法人 | 法人税上は原則7年。一定の欠損金等が生じた事業年度では10年となる場合がある |
| 個人事業者・所得税 | 青色・白色とも、通常の請求書・見積書等の「その他の書類」は原則5年。帳簿等とは保存期間が異なる |
| 消費税の仕入税額控除 | 帳簿・適格請求書等は原則7年。所得税上5年の書類でも消費税上の保存義務が重なる場合はそちらも満たす |
法人税では原則として確定申告書の提出期限の翌日から保存期間を数えます。
消費税では、原則として請求書等を受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日を基準に7年間保存します。
受領日から単純に「7年後」を自動削除日に設定しないようにしましょう。
契約上の請求予定日を過ぎても請求書が届かない場合は、まず社内を確認します。
迷惑メールフォルダへ入っていないか
担当者個人のメールアドレスへ届いていないか
別部署・拠点へ郵送されていないか
社内で確認できなければ、取引先へ発送日・送付方法を確認し、必要に応じて再送を依頼します。
再送後に当初の請求書が届く可能性もあるため、「再送依頼済み」であることを管理表へ記録し、二重処理を防ぎましょう。
フリーランス法の支払期日規制が適用される取引では、原則として給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内で定めた支払期日までに報酬を支払う必要があります。
役務提供の場合は、その役務の提供を受けた日が基準です。
請求書が提出されていないことだけを理由に、あらかじめ定めた支払期日を過ぎてよいわけではありません。請求書が未着の場合も、支払期限を管理しながら必要な情報を受託者へ確認しましょう。
訂正版の請求書を受け取った場合は、変更内容を確認し、旧版を支払対象から外します。
電子データを単純に上書きしてしまうと、どの情報が変更されたのか分からなくなることがあります。
請求書番号、訂正日、旧版・新版の関係などを記録し、どの請求書に基づいて最終的に支払ったのか確認できる状態にしておきましょう。
次回請求で差額調整する場合も、元の請求額と調整額の関係を確認できる資料を残します。
紙とメール、担当者宛てと経理宛てなど、同じ請求書が複数経路から届くことがあります。
次の情報を組み合わせて重複を確認します。
取引先
請求書番号
対象期間・取引内容
請求金額
番号が異なっていても同じ取引に対する請求という場合もあるため、発注・納品情報まで照合してください。
二重払いが発生した場合は、取引先へ連絡し、返金または次回支払いとの相殺方法について合意します。
次回の支払いから受領側だけの判断で差し引くのではなく、金額・処理時期を双方で確認しましょう。
請求書の件数が増えるほど、「どこへ届いたのか」「誰が承認しているのか」「支払い済みか」の管理が難しくなります。
次のようなルールを設けると、属人化を抑えやすくなります。
請求書の受領窓口を経理用メール・システム等へ集約する
請求書番号・金額・支払期日・担当者を一覧管理する
承認期限と代理承認者を決める
振込予約と支払完了を別ステータスにする
請求書・承認・会計・支払データを共通の管理番号で紐付ける
請求書件数が多い場合は、OCRによるデータ化、承認ワークフロー、重複検知、会計連携、振込データ作成、電子保存などをまとめて行える請求書受領サービスも選択肢になります。
法律上、すべての請求書について受領メールを返信する義務があるわけではありません。
ただし、初回取引、重要取引、取引先が受領確認を求めている場合、請求内容に確認事項がある場合などは、返信しておくと認識違いを防ぎやすくなります。
押印は、通常の適格請求書の法定記載事項には含まれていません。
押印がないという理由だけでインボイスとして無効になるわけではありません。
ただし、自社の社内規程や取引契約で押印を求めている場合は、そのルールに従ってください。
発行者の確認なく、自社だけで受領した適格請求書の登録番号等を書き換えて処理するのは避けましょう。
発行者へ訂正を依頼するか、買手が正しい事項を記載した仕入明細書等を作成し、売手の確認を受ける方法などを検討します。
原則として印刷した紙だけでは足りません。
メール、クラウド、Web等で電子的に受領した請求書は電子取引データに該当するため、元の電子データを保存します。
契約内容と適用される法令によります。
少なくともフリーランス法の支払期日規制が適用される取引では、請求書の提出がないことだけを理由に、あらかじめ定めた支払期日を過ぎることはできません。
請求書が未着の場合は受託者へ連絡し、金額・支払先等の必要な情報を確認しながら、支払期限内の処理を進めましょう。
請求書を受け取ったら、まず契約・発注・納品の内容と請求内容を照合します。
請求金額、税率、支払期日、支払方法、振込先などを確認し、本則課税で仕入税額控除を行う場合は適格請求書の記載事項と登録番号も確認しましょう。
2026年10月以降は、インボイス未登録事業者からの課税仕入れについて70%控除の経過措置が適用される期間です。また、一定規模以下の事業者による税込1万円未満の課税仕入れでは、少額特例を利用できる場合があります。
請求書の受領後は、発注部署による実績確認、社内承認、会計処理、支払い、支払結果の照合まで進めます。
受領メールを送る場合は、「受け取っただけ」なのか、「内容確認・承認まで完了した」のかを区別して文面を作成すると、取引先との認識違いを防ぎやすくなります。
保存については、紙で受け取った請求書と電子で受け取った請求書でルールが異なります。電子取引データは原則として電子データのまま保存し、紙の請求書を原本廃棄する場合はスキャナ保存要件を満たしましょう。
請求書の受領窓口と管理表を一本化し、「受領済み」「内容確認中」「承認済み」「支払予約済み」「支払済み」まで可視化しておけば、担当者が替わっても業務を引き継ぎやすくなります。