更新日:2025.03.03
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請求書と領収書を一緒に発行する際は、請求書兼領収書にすることで対応が可能です。
ただし、請求書兼領収書を作成する場合は、請求書とは別でテンプレートを用意する必要があります。また、金額によっては請求書兼領収書でも収入印紙の発行が必要になるため、あわせて知識やルールを理解しておくと不要なミスを防げるでしょう。
本記事では、請求書と領収書を一緒に発行する方法やそれぞれの違いを解説します。
請求書兼領収書とは、請求書と領収書を同じタイミングで発行する際に作成できる書類です。企業間の取引で発行される機会は少ないものの、病院の支払い時によく使用されています。
形式としては、請求書の下半分に領収書が印刷されているものが多くなっています。なお、領収印が押されているケースもありますが、必須ではありません。
請求書と領収書は、発行のタイミングや役割が異なる書類です。書類の役割を理解しておかなければ、適切な用途で使用できず、取引が混乱する可能性があります。
ここでは、請求書と領収書の役割の違いを解説します。
請求書とは、商品やサービスを提供した際に取引先へ代金の支払いを促すために発行する書類です。発行に法的な義務はないものの、作成しておくことで取引の透明性を高められ、取引先と金額や商品・サービスの齟齬を防げます。
なお、インボイス制度では適格請求書発行事業者同士の取引で仕入税額控除を受けるために、記載事項を揃えた適格請求書という書類の発行が必要です。
領収書は、商品やサービスの代金を受け取った際に証明として発行される書類です。領収書の発行は取引先に求められた場合は必須ですが、とくに必要とされていない際は発行の義務はありません。
なお、領収書には代金を受けとった証明になることから、代金の過払いや二重請求、内部の不正取引を防ぐ効果もあります。
請求書兼領収書を発行する際は、注意点を理解しておかないとどちらの役割も果たせない書類になりかねません。発行前に注意点を理解しておき、役割を満たす書類を作成しましょう。
ここからは、請求書兼領収書を扱うときの注意点を解説します。
5万円以上の金額をやりとりする場合は、領収書に収入印紙の貼り付けが義務付けられています。領収書の役割をかねている請求書兼領収書も、取引の金額が5万円を超えているならば収入印紙が必要です。
貼り付ける収入印紙の金額は取引額によって異なるため、適したものを用意しましょう。なお、印刷せずに電子データで領収書を送付する場合は、収入印紙の貼り付けが不要です。
請求書と領収書はどちらも発行後の保存が義務付けられており、両方の役割を満たす請求書兼領収書も確定申告へ向けて保存が求められます。
保存期間は、法人と青色申告承認申請書を提出している個人事業主は7年間、未提出の個人事業主が5年間です。ただし、請求書兼領収書が適格請求書の要件を満たす場合はかならず7年間の保存が必要になります。
請求書兼領収書を発行する際は、書き方を理解しておくことで作成がスムーズになります。必要になったときにすぐ発行できるよう、事前にテンプレートを用意しておくと安心です。
ここでは、請求書兼領収書のテンプレートを紹介します。
請求書 取引先企業名 自社の企業名
ご請求金額 ¥〇,〇〇〇-(税込)
※印は軽減税率の対象 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 領収書 取引先企業名 ご請求金額 ¥〇,〇〇〇-(税込) (うち10%対象) 〇〇 自社の企業名 |
請求書と領収書は役割の異なる書類ですが、条件を満たせば請求書を領収書の代わりとして扱えます。領収書を発行されていないものの、金銭のやりとりがあったことを明らかにしたい場合は、以下の条件を満たすか確認しましょう。
なお、請求書を領収書の代わりにする際の詳しい条件が知りたい人は、下記の記事で解説しているため参考にしてください。
関連記事:請求書を領収書の代わりに使える条件を紹介|目的の違いについても解説
最後に、請求書と領収書を一緒に取り扱う際によくある質問について解説します。
請求書があるからといって、領収書が不要になるとはいえません。取引先から領収書の発行を求められた場合は、請求書を発行していても領収書を作成する必要があります。
普段は領収書を発行していない企業でも、取引先から求められた際はかならず発行しましょう。
取引において、領収書と請求書を両方とも発行する義務はありません。
ただし、取引先から領収書の発行を求められた場合、作成して渡しましょう。なお、領収書の発行を求められていない場合でも、請求書は取引の透明性を担保するために、領収書は料金をたしかに受け取った証明として、発行しておくと安心です。
インボイス制度においても、請求書と領収書の両方を発行する必要はありません。
適格請求書はひとつの取引で1回発行すれば問題なく、請求書と領収書のどちらかで要件を満たせばインボイスへの対応が可能です。なお、請求書兼領収書を発行した場合でも適格請求書の要件を満たせば、取引先へインボイスを交付できます。
本記事では、請求書と領収書を一緒に発行する方法やそれぞれの違いを解説しました。
請求書と領収書を一緒に扱う場合は、請求書兼領収書としても発行が可能です。しかし、請求書兼領収書の発行時は注意点を理解しておかないと、取引に必要な収入印紙の貼り付けや保存を忘れてしまい、トラブルになる可能性があります。
請求書と領収書を一緒に取り扱うことに疑問がある際は、本記事を参考に書類を作成しましょう。