100均でそろう！手書き請求書の書き方ガイド【見本付き】

急に請求書を発行しなければならなくなり、「どうしよう...」と困った経験はありませんか？実は、ダイソーやセリアといった100円ショップのアイテムだけで、きちんとした請求書を手書きで作成することができます。
この記事では、100均でそろう請求書用紙や文房具の紹介から、インボイス制度に対応した書き方のコツ、そして見本付きの記入例までをわかりやすく解説します。書き間違えたときの訂正方法や収入印紙の扱い方もご紹介しますので、個人事業主やフリーランスの方でも安心して使える内容です。

請求書は100均で手に入る？ダイソーやセリアを調査

結論からいうと、請求書用紙はダイソーやセリア、キャンドゥといった主要な100均で購入できます。店舗の規模や品揃えによって異なりますが、文房具コーナーで簡単に見つけることが可能です。ここでは100均で買える請求書用紙の種類などについて解説していきます。

100均で買える請求書用紙の種類と特徴

100均で販売されている請求書用紙には、主に「複写式」と「単票式」の2種類があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の事業スタイルや用途に合わせて選びましょう。

複写式の請求書は、ノーカーボン紙が使われており、1枚目に記入すると2枚目の控えに内容が複写される仕組みです。これにより、請求書の控えを別途作成する手間が省け、記入ミスや控えの紛失を防ぐことができます。多くの商品には、下に敷いて使うための厚紙が付属しています。

一方、単票式は1枚ずつ独立したシンプルな請求書用紙です。複写式に比べて1冊あたりの枚数が多く、コストパフォーマンスに優れているのが特徴です。控えが必要な場合は、別途コピーを取るか、スマートフォンで撮影してデータとして保管するなどの対応が必要になります。

また、最近では2023年10月から始まったインボイス制度（適格請求書等保存方式）に対応したフォーマットの請求書も販売されています。購入の際は、パッケージに「インボイス制度対応」といった記載があるかを確認すると、より安心して使用できます。

請求書作成に必要なアイテムもすべて100均でそろう！

100均の魅力は、請求書用紙だけでなく、作成から郵送、保管までに必要な関連アイテムも一度にそろえられる点にあります。わざわざ文房具専門店に行かなくても、ワンストップで準備が完了します。

アイテム名	主な用途・ポイント
ボールペン（黒）	公的な書類であるため、消えない黒のボールペンを使用するのが基本です。
下敷き	特に複写式の請求書で、下の用紙に筆圧が写り込むのを防ぐために使用します。
定規	備考欄などに線を引く際に使用すると、きれいで見やすい請求書に仕上がります。
封筒（長形3号など）	A4サイズの請求書を三つ折りにして送付するのに適したサイズの封筒です。
クリアファイル	発行した請求書の控えや、受け取った領収書などを整理・保管するのに役立ちます。
印鑑・スタンプ	角印（社判）や担当者印など、ビジネスシーンで使える印鑑やスタンプも販売されています。

手書き請求書を作成するメリットとデメリットとは？

100均のアイテムで手軽に作成できる手書きの請求書ですが、パソコンで作成する場合と比較して、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。あえて手書きを選ぶ際の利点と注意点を理解しておきましょう。

手書きのメリットは手軽さとコスト

手書き請求書の最大のメリットは、その手軽さとコストの低さにあります。具体的な利点をみていきましょう。

パソコンや専門知識が不要

パソコンの操作が苦手な方や、請求書作成ソフトを持っていない方でも、紙とペンさえあればすぐに作成できます。出先で急に請求書が必要になった場合でも、100均で用紙や筆記用具を調達すれば対応できる点は大きな魅力です。

導入コストを抑えられる

請求書作成ソフトの導入費用や月額利用料、プリンター本体やインク代といったコストがかかりません。100均で販売されている複写式の請求書や文房具を使えば、ごくわずかな費用で請求書発行を始められます。特に、事業を始めたばかりの個人事業主やフリーランスの方にとって、初期費用を抑えられるのは嬉しいポイントです。

手書きのデメリットと注意点

手書き請求書は手軽に見えて、作業効率や正確性の面でいくつかの注意点があります。

宛名や金額を毎回書き写す手間がかかるうえ、計算ミスや書き損じも起こりやすく、修正にも時間がかかります。さらに、紙の請求書は保管や検索がしづらく、郵送やスキャンといった共有にも手間がかかります。また、企業によっては手書きの書類を「形式が整っていない」と見なすこともあるため、信頼性の面でも注意が必要です。

こうした点を踏まえると、手書きでの作成は取引件数が少ない場合には便利ですが、取引が増える見込みがあるなら、早めにデジタル化を検討するのがおすすめです。

手書き請求書の基本的な書き方【見本付き】

この章では見本と各項目の書き方を解説しますので、ポイントを押さえて正確な請求書を作成しましょう。

まず確認！手書き請求書の見本サンプル

請求書
発行日：2025年10月17日
請求書番号：No.20251017-01

株式会社〇〇〇〇 御中
〒123-4567 東京都〇〇区〇〇町1-2-3
担当：経理ご担当者様

拝啓　平素よりお世話になっております。
下記の通りご請求申し上げます。

【請求内容】

・Webサイトデザイン制作費　一式　¥100,000
・バナー作成費　3点分　¥15,000

小計　¥115,000
消費税（10％）　¥11,500
合計金額　¥126,500

【お振込先】
〇〇銀行　〇〇支店
普通　1234567
口座名義：〇〇〇〇

支払期限：2025年10月31日

備考：
ご確認のうえ、期日までにお振込みをお願いいたします。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

署名：〇〇〇〇（屋号：〇〇デザイン）
電話番号：000-0000-0000
メール：info@example.com

手書き請求書に必ず記載すべき基本項目とは？

請求書には、取引内容を明確にするために法律で定められた記載事項があります。以下の項目は、どのような請求書でも必ず記載が必要な基本的な内容です。漏れがないように一つひとつ確認しながら記入しましょう。

項目名	記載内容・書き方のポイント
①宛名（取引先の名称）	取引先の正式名称を記載します。「株式会社」を「(株)」と省略せず、部署名や担当者名が分かっていればそれも併記します。個人事業主の場合は屋号と氏名を記載し、最後に「御中」または「様」をつけます。
②請求書の発行日	請求書を作成した日付を記載します。一般的には、取引先の締め日に合わせるか、発行作業を行った日付を記入します。
③請求書番号	必須ではありませんが、請求書を管理しやすくするために設定することをおすすめします。取引先に問い合わせる際にも、この番号があるとスムーズです。
④発行者（自社）の情報	自社の氏名または名称、住所、電話番号などを記載します。会社の角印や担当者印を押印するスペースがある場合は、名称と重なるように押しましょう。
⑤請求金額	取引金額の合計を税込で記載します。改ざん防止のために、金額の先頭に「¥」や「金」、末尾に「-」や「也」を付けるのが一般的です。
⑥取引内容（明細）	提供した商品名やサービス内容、数量、単価、金額などを具体的に記載します。「品名」「数量」「単価」「金額」の欄にそれぞれ記入し、小計、消費税額、合計金額を計算して明記します。
⑦支払期限	取引先と事前に取り決めた支払期日を記載します。「202X年X月末日」のように、分かりやすく明記しましょう。
⑧振込先情報	請求金額を振り込んでもらうための口座情報を記載します。「金融機関名」「支店名」「口座種別（普通・当座）」「口座番号」「口座名義（カタカナ）」を正確に記入してください。

備考欄の書き方と活用法

備考欄は、請求書の必須項目ではありませんが、取引を円滑に進めるための補足情報を記載できる便利なスペースです。特に手書きの場合は、感謝の気持ちを伝える一文を添えることで、取引先に良い印象を与えることもできます。以下に主な活用例を紹介します。

• 振込手数料の負担に関するお願い
  振込手数料をどちらが負担するかを明記しておくと、入金額のズレを防ぐことができます。
  （例：「恐れ入りますが、振込手数料は貴社にてご負担いただけますようお願い申し上げます。」）
• 支払いに関する補足事項
  支払いが遅れた場合の遅延損害金や、分割払いに関する条件などを記載する場合に使用します。
• その他連絡事項
  次回の納品スケジュールや、夏季休業などのお知らせを記載する際にも活用できます。
• 感謝のメッセージ
  手書きならではの温かみを伝えるために、感謝の言葉を添えるのも良いでしょう。
  （例：「いつもお世話になっております。今後ともよろしくお願いいたします。」）

これだけ押さえれば安心！インボイス対応の手書き請求書のポイント

2023年10月1日からインボイス制度（適格請求書等保存方式）が開始されました。取引先からインボイス（適格請求書）の発行を求められた場合、手書きの請求書でも要件を満たす必要があります。

100均の請求書用紙を使用する場合でも、これから紹介する2つのポイントを押さえて追記すれば、問題なくインボイスとして認められます。

適格請求書発行事業者の登録番号を忘れずに

インボイスを発行するためには、まず税務署に申請し「適格請求書発行事業者」になる必要があります。事業者として登録されると、アルファベットの「T」から始まる13桁の登録番号が発行されます。

この登録番号は、インボイスの必須記載事項です。100均の請求書用紙には登録番号を記載する欄が設けられていないことがほとんどなので、発行者情報（ご自身の氏名や会社名、住所など）の近くの空いているスペースに、忘れずに手書きで記載しましょう。

記載例：登録番号 T1234567890123

税率ごとの消費税額を明記する

インボイス制度では、適用される消費税率（標準税率10%・軽減税率8%）ごとに合計した金額と、それぞれの消費税額を明確に記載する必要があります。

もし取引内容に10%と8%の品目が混在している場合は、それぞれを分けて計算し、請求書に記載してください。100均の請求書用紙の品目欄や備考欄を活用して、以下の項目を正確に書き加えましょう。

記載が必要な項目	記載内容の例
税率ごとの合計金額	10%対象 10,000円 8%対象 5,000円
税率ごとの消費税額	消費税額(10%) 1,000円 消費税額(8%) 400円

取引がすべて同じ税率（例えば10%のみ）の場合でも、「10%対象合計金額」と「消費税額」を明記することが求められます。合計金額の内訳が分かるように、正確な記載を心がけましょう。

Q&A｜請求書を手書きで作成する際によくある質問

100均の用紙を使って手書きで請求書を作成する際、多くの方が疑問に思う点をQ&A形式でまとめました。いざという時に慌てないよう、基本的なルールを確認しておきましょう。

請求書を書き間違えた時の訂正方法は？

正しい訂正方法は、間違えた箇所に二重線を引き、その上から訂正印（個人の場合は認印、法人の場合は代表者印）を押印し、近くの余白に正しい内容を記載します。

手書きの請求書で金額や項目を書き間違えてしまった場合、修正液や修正テープの使用は避けるのがビジネスマナーです。経理書類の信頼性を損ない、改ざんを疑われる可能性があるためです。

ただし、訂正箇所が多い場合や、金額などの重要な項目を間違えた場合は、相手方に与える印象も考慮し、新しい用紙に書き直すのが最も丁寧で確実な対応です。

収入印紙は必要になる？

請求書そのものには、収入印紙を貼る必要はありません。

収入印紙が必要になるのは、請求書が「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」、つまり領収書を兼ねる場合です。例えば、請求書に「代済」「相殺」「了」といった文言を記載し、金銭の受領事実を証明する書類となった場合に課税対象となります。

その場合でも、記載された受取金額が5万円未満であれば非課税となり、収入印紙は不要です。5万円以上の場合に必要な印紙税額は以下の通りです。

記載された受取金額	印紙税額
5万円未満	非課税
5万円以上100万円以下	200円
100万円を超え200万円以下	400円
200万円を超え300万円以下	600円
300万円を超え500万円以下	1,000円

なお、消費税額が明記されている場合は、税抜きの金額で判断します。

控えの保管義務はある？

はい、発行した請求書の控えには法律で定められた保管義務があります。

税務調査などで提示を求められることがあるため、必ず保管しておきましょう。100均で販売されている複写式の請求書用紙を使えば、作成と同時に控えが残るので便利です。

保管期間は、法人か個人事業主かによって異なります。

事業者	保管期間
法人	原則7年間
個人事業主（青色申告）	原則7年間
個人事業主（白色申告）	原則5年間

この保管期間は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から数えます。例えば、2023年12月31日が決算日の法人の場合、2024年3月1日から7年間となります。

まとめ

ダイソーやセリアでは、請求書用紙からボールペン・封筒まで必要なものがすべてそろうため、急な発行にもすぐ対応できます。手書き請求書はコストを抑えつつ、相手への丁寧な印象も与えられる便利な方法です。ただし、インボイス制度に対応させるためには、登録番号の記載や税率ごとの消費税額などを忘れずに記入することが大切です。この記事を参考に、正確で信頼感のある請求書を作成してみてください。