更新日:2025.11.28

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請求書を「1通」と呼ぶべきか「1枚」と呼ぶべきか、いざ書こうとすると手が止まってしまう、そんなご経験はありませんか。
基本は書類のまとまりを数えるときに「通」、紙の枚数を数えるときは「枚」、そして取引件数なら「件」という使い分けが必要になります。
紙/PDF・郵送/メール・口頭連絡など、実務で迷いやすい場面を取り上げ、相手に誤解なく伝わる表現を丁寧に整理いたします。読後すぐに自信を持って使い分けられるよう、一緒に確認していきましょう。
ビジネスシーンで日常的に扱う請求書ですが、その数え方にはいくつかの単位が存在します。最も基本となるのが「通(つう)」と「枚(まい)」です。
これらは似ているようで明確な違いがあり、状況に応じて正しく使い分けることがビジネスマナーとして求められます。まずは、この2つの単位の基本的な意味と使い方を理解しましょう。
請求書の単位として一般的に使われるのは「通」です。
これは、請求書が取引内容を証明する一つの独立した書類として扱われるためです。手紙を「1通、2通」と数えるのと同じように、内容が完結した書類のまとまりを指す単位として「通」が用いられます。たとえ請求書が1枚の紙で構成されていても、「請求書1通」と数えるのが正しい表現です。メールで送付する際や、口頭で確認する際にも「請求書を2通お送りしました」のように使います。
一方、「枚」は紙そのものの物理的な数を数える際に使用する単位です。
例えば、1つの請求内容が長くなり、請求書が2ページにわたって印刷された場合、それは「1通の請求書」であり、物理的には「2枚の紙」で構成されていることになります。このような場合に、「この請求書は2枚ありますので、ホチキスで留めてください」といった使い方をします。「通」が書類としての単位であるのに対し、「枚」は物質的な紙の枚数を指す単位であると覚えておきましょう。
請求書の数え方は、書類の形式や送付方法、伝えたい内容によって変わります。ビジネスシーンで誤解を招かないよう、状況に応じた正しい単位の使い分けをマスターしましょう。ここでは、具体的なシーン別に適切な数え方を解説します。
近年増加しているPDFファイルや電子請求書サービスを利用して送付する場合、書類の単位である「通(つう)」を用いるのが一般的です。電子データには物理的な紙が存在しないため、「枚」という単位は通常使いません。
取引先にメールで送付する際は、「請求書を1通お送りします」のように伝えるとスムーズです。ファイル数を伝えたい場合は「1ファイル」や「1点」と表現することもできますが、書類としては「通」が最も適切な数え方です。
紙の請求書を郵送する際は、封筒に入れる請求書の数や構成によって「通」と「枚」を使い分けます。相手に正確に内容を伝えるためのポイントを見ていきましょう。
1つの取引に関する請求書が1枚で完結しており、それを1通の封筒で送る場合は、「1通」または「1枚」のどちらを使っても問題ありません。書類のまとまりとしては「1通」、物理的な紙の数としては「1枚」と数えます。ビジネス文書のやり取りでは「通」がより一般的に使われます。
例文:
1通の封筒に複数の請求書を入れる場合は、状況に応じて単位を使い分ける必要があります。書類のまとまりを指すのか、紙の総数を指すのかを意識することが重要です。
例えば、A社向けの請求書とB社向けの請求書をまとめて担当者に送る場合は「請求書2通」、1つの請求内容が3ページにわたる場合は「請求書1通(計3枚)」のように表現します。これにより、相手は受け取る書類の構成を正確に把握できます。請求内容が複数にわたる場合の数え方「件」や「式」
「通」や「枚」が請求書という書類自体を数える単位であるのに対し、「件(けん)」や「式(しき)」は請求の対象となる取引や内容を数える際に使われる単位です。
「件」は、取引やプロジェクトの数を指すときに用います。「今月のご請求は3件です」のように、請求する取引の数を示す際に便利です。一方、「式」は、複数の項目や複雑な計算をまとめて一つとして示す際に使われます。「諸経費一式」のように、請求書の内訳項目でよく見られる表現です。これらは書類の枚数とは直接関係ないため、混同しないようにしましょう。
請求書以外にも、ビジネスシーンでは見積書や領収書など、さまざまな書類を取り扱います。それぞれの書類に適した数え方を知っておくことで、取引先とのコミュニケーションがよりスムーズになります。ここでは、代表的なビジネス書類の正しい数え方について解説します。
見積書は、提供する商品やサービスの内容・金額を提示する書類です。この見積書の数え方は、請求書と同様に「通(つう)」が最も一般的です。
例えば、「見積書を1通お送りします」のように使います。書類の物理的な枚数を指す場合は「枚(まい)」、複数枚で構成される提案書とセットになっている場合などは「部(ぶ)」という単位を使うこともあります。
領収書は、代金を受け取ったことを証明する書類です。一般的には1枚で完結することが多いため、「枚(まい)」で数えるのが基本です。
「領収書を1枚発行します」といった形で使用します。ただし、請求書と同様に郵送する書類として扱う文脈では「通(つう)」を用いることも間違いではありません。また、複写式の領収書綴りなど、冊子状になっているものを指す場合は「冊(さつ)」という単位が使われます。
納品書は、商品やサービスを納品した際に発行する書類です。この納品書も、請求書や見積書と同じく「通(つう)」で数えるのが一般的です。
紙の枚数を数える際には「枚(まい)」を使います。また、納品書と納品書控などがセットになっている場合は、一式を「部(ぶ)」や「組(くみ)」と数えることもあります。
請求書の数え方に関して、ビジネスシーンで特に疑問に思いやすい点を解説します。いざというときに迷わないよう、正しい知識を身につけておきましょう。
グローバルな取引が増える中、英語で請求書についてやり取りする機会もあるかもしれません。英語で請求書は「invoice」と呼びますが、日本語の「通」にあたる特定の助数詞はありません。基本的には、シンプルに数字で数えます。
例えば、「1通の請求書」は「one invoice」または「an invoice」、「3通の請求書」は「three invoices」と表現します。物理的な紙の枚数やページ数を伝えたい場合は、「sheet」や「page」といった単語を使って補足すると正確に伝わります。
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日本語の表現 |
英語での表現例 |
補足 |
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請求書1通 |
one invoice / an invoice |
最も一般的で、書類としての請求書を指します。 |
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請求書2通 |
two invoices |
複数形(invoices)になる点に注意が必要です。 |
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請求書の紙1枚 |
one sheet of the invoice |
物理的な紙の枚数を指す場合に用います。 |
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2ページの請求書 |
a two-page invoice |
請求内容が複数ページにわたる場合に使えます。 |
電話口など口頭で請求書の数を伝える際は、相手に丁寧な印象を与える「通(つう)」を使うのが最も適切です。取引先など社外の人と話す場合は、「通」を使うのがビジネスマナーとして無難でしょう。
例えば、「請求書を1通(いっつう)、郵送いたしました」のように伝えます。一方で、社内の同僚とのやり取りなど、よりカジュアルな場面では「この請求書、3枚あるから確認お願い」のように「枚」を使っても問題ありません。請求内容の数を指す場合は「件」も使われます。
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単位 |
読み方の例 |
使用シーンの例 |
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1通 |
いっつう |
取引先への電話で「請求書を1通、本日発送いたしました。」 |
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2通 |
につう |
取引先への確認で「先日の請求書2通の件でご連絡いたしました。」 |
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3枚 |
さんまい |
社内での会話で「経理に回す請求書が3枚あります。」 |
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5件 |
ごけん |
請求内容の数を伝える際に「今月のA社様へのご請求は5件です。」 |
どの単位を使うべきか迷った場合は、最も丁寧で汎用性の高い「通」を選ぶと間違いありません。
請求書は書類の単位=「通」、紙の数=「枚」、請求内容の数=「件」を基本として使い分ければ、社内外での伝達がぶれません。
電子データには「通」、ページ数を伝えたいときは「請求書1通(全3枚)」のように補足、口頭では丁寧さを優先して「通」を選ぶことを押さえるだけで、確認の手戻りが減り、やり取りがぐっと滑らかになります。見積書・領収書・納品書にも応用し、日々の文書コミュニケーションの精度を高めていきましょう。