更新日:2024.09.30
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請求書の作成は、取引先から代金を支払ってもらうためにも重要な書類です。しかし、フリーランスや個人事業主の方が初めて請求書を作る場合、必須項目や注意点が分からず困ることもあるでしょう。
本記事では、フリーランス・個人事業主の請求書の書き方や、請求書を送付する際の注意事項を詳しく解説します。
記事を最後まで読めば、フリーランス・個人事業主の請求書に必要な項目が分かり、スムーズに請求業務を進められるはずです。
フリーランス・個人事業主が請求書を作成する場合、以下の7項目が必要です。
①請求書発行者の氏名・名称
②取引年月日
③取引先の氏名・名称
④取引内容の内訳
⑤消費税額
⑥振込先
⑦支払期日
一つずつみていきましょう。
自身の名前や屋号を記載します。もし請求書の作成を外注していたとしても、フリーランスや個人事業主本人の名前が必要です。
請求書に記載する氏名は、戸籍上の氏名ではなく、ビジネスネームや屋号の記載でも問題ありません。
また、請求書への住所の記載は「誰がどこにいくらの代金を支払うのか」が分かる状態であれば問題ないため、省略可能です。
ただし、ビジネスマナーの観点から、住所を記載しない場合でも電話番号やメールアドレスなどの連絡先を記載しておくことをおすすめします。
取引年月日は、請求書を発行する年月日か、取引先が指定する締日を記載するのが一般的です。取引先によって指定日が異なるため、請求書の発行前に確認しておくとスムーズです。
取引先の氏名や社名、部署などを記載します。普段取引している方とは違う会社や氏名を指定される場合もあるため、こちらも事前に確認しておきましょう。
取引先が個人の場合は宛名に「様」を、会社の場合は「御中」を付けることが基本です。宛名や漢字の間違いがあると失礼にあたるため、正しく記載してください。
取引内容の内訳には、取引した製品やサービスの名称、個数、金額を記載してください。
項目が複数ある場合は、可能な限り詳しく記載し、取引の内容が一目で分かるようにしましょう。
記載例は以下のとおりです。
例)
△ 記事制作費
◯ WebサイトA 新規記事制作費(KW:請求書 取引内容)
合計の請求金額のうち、消費税がいくらかかっているのかを記載します。
軽減税率(8%)の対象項目がある場合、対象外の項目(10%)と小計を分けて記載してください。
振込先は、報酬を振込みで支払ってもらう場合に必要な項目です。以下の内容を明記しておきましょう。
振込先を記載する欄がない場合は、備考欄で問題ありません。
また、取引先に振込手数料を負担してもらう場合は、以下のように表記しておくと丁寧な印象を与えられるでしょう。
例)恐れ入りますが、振込手数料は貴社にてご負担くださいますようお願いいたします。
自身と取引先で定めた支払期日を記載します。「下請代金支払遅延等防止法」では、請求書の受領から60日以内に支払うと定められています。
"下請代金の支払期日は,親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず,親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して,60日の期間内において,かつ,できる限り短い期間内において,定められなければならない。"
2024年11月から施行される「フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)」でも、60日以内と義務付けられています。支払いが遅延するなどのトラブル防止のためにも、念のため記載するほうが良いでしょう。
フリーランスや個人事業主がインボイス制度に対応している場合、前項で紹介した項目に加え、以下3つの項目を記載する必要があります。
3つの項目を加えた請求書を「適格請求書」と呼びます。
インボイス制度に対応している事業者は、本章の内容を確認した上で請求書を作成しましょう。
登録番号とは「T」+数字13桁で構成された番号です。登録番号は、インボイス制度に登録申請した際に、納税地を所轄する税務署長から事業者に通知されます。
請求書に記載する取引内容(品目)が、8%と10%の異なる消費税率に対応している場合、各品目に、どちらの税率が適用されるかを明記する必要があります。
8%の税率が適用される品目は以下のとおりです。
【8%の対象品目】
また、税率ごとに区分した対価(商品の金額)を合算した記載が必要です。合計金額は税込・税抜のどちらでも良いですが、統一して記載しましょう。
8%または10%の税率ごとに規定の方法で計算する際、1円未満の端数が生じる場合があります。この端数は「切り捨て・切り上げ・四捨五入」など任意の方法で調整します。
また、端数調整には「割り戻し方式」と「積み上げ方式」という計算方法があります。どちらを選んでも良いですが、どちらが良いかは税理士などのプロに相談すると確実です。
インボイスにおける端数調整については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:請求書の端数調整の書き方は?インボイス制度における注意点を解説
フリーランス・個人事業主が請求書を作成するには、以下の3つの方法があります。
それぞれをみていきましょう。
WordやExcelを使えば、無料かつ自分で一から請求書を作成できます。カスタマイズ性が高く、一度作ってしまえばテンプレートとして使用できるのもメリットです。
Googleが提供しているドキュメントやスプレッドシートなどでも作成できます。もし自分で作成するのが難しいと感じる場合は、WordやExcelに対応した無料テンプレートをダウンロードして使用するのも良いでしょう。
Money Forwardやfreee、弥生などの会計ソフトでは、確定申告に必要な帳簿の作成だけでなく、請求書のテンプレートも提供していることが多いです。
会計ソフトによっては、請求書に記載した内容を帳簿に連携でき、スマートフォン用アプリで請求書を手軽に作成できるなどのメリットがあります。
白色申告や取引先数によっては無料で利用できるサービスもあるため、自身に合う会計ソフトを探してみても良いでしょう。
請求書のフォーマットなどに指定が無い場合は、市販の請求書を購入し、一枚ずつ手書きで作成することも可能です。直筆のため改ざんリスクも低く、機材のトラブルも心配ないですが、工数や時間がかかるデメリットがあります。
また、郵送やFAXの費用もかかるため、取引先の数が増えることを考えるとあまりおすすめできません。金額の計算間違いも起こりやすいため、できるだけWord・Excelや会計ソフトのテンプレートを使用しましょう。
フリーランスや個人事業主から個人・会社へ請求書を送付する際、注意事項が5つあります。
取引先とのトラブルを回避するためにも、上記5項目を把握しておきましょう。
業務内容によっては、請求書作成時に源泉徴収税額を記載するよう指定される場合があります。
個人と法人では、源泉徴収税の対象範囲が異なります。国税庁によると、フリーランスや個人事業主の場合は、以下のような業務が源泉徴収の対象です。
自身が源泉徴収税を請求書に計上する場合は、以下のような計算を行います。
報酬額 × 10.21% = 源泉徴収税
報酬額 × 20.42% = 源泉徴収税
請求書をスムーズに作成するためにも、源泉徴収税の記載が必要かどうか取引先へ事前に確認しておきましょう。
交通費などの、自身で立て替えた諸経費も取引先に請求可能です。しかし、双方の合意がなければ成立しないため、事前に請求して良いかを確認しておきましょう。
交通費を請求する際は、どこからどこまでの距離でかかった費用なのか、明細がわかるようにしてください。不明瞭な内容では、取引先が経費として認めてくれない可能性があります。
また、領収書の添付をしておくと、より信頼性も増すでしょう。交通費におけるガソリン代の請求書の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:インボイス対応のガソリン代の請求書の書き方|記入項目やレシートの取り扱いについて解説。
取引先が仕入税額控除をスムーズに受けられるよう、請求書には消費税を記載しましょう。
仕入税額控除とは、消費税の二重課税を防ぐための制度です。課税事業者の取引先は、消費税額等が記載された請求書がないと、仕入税額控除を受けられなくなってしまいます。
自分がインボイス制度に対応している・していないにかかわらず、請求書には消費税を記載するのが望ましいでしょう。
印鑑を請求書に押す際は、自身の名称や連絡先などの文字にかぶせるように行いましょう。何も書いていないところに押印すると、改ざんや複製リスクが上がってしまいます。
請求書への押印は義務ではないですが、押印することで法的効力が発揮されるメリットもあります。紙や電子にかかわらず、押印するかしないかで迷っている場合は、押印するようにしてください。
印鑑の法的効力については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:PDFの請求書に印鑑を押す方法は?電子印鑑の作り方とセキュリティについて解説
近年では、請求書のやり取りはデジタルが主流となってきていますが、誤送信によるトラブルも絶えません。本来の送り先とは異なるところに送信してしまうと、双方が情報漏えいとなってしまい、多大な損害となる可能性もあります。
フリーランスや個人事業主にとって、取引先からの信頼は非常に重要です。たった一度の誤送信で今後の取引がなくなってしまうこともあり得るため、送信先が正しいかは必ずチェックしましょう。
今回の記事では、フリーランスや個人事業主の請求書の書き方や注意点について解説しました。
請求書はインボイス制度に対応しているかどうかで書く項目が異なります。取引先の名称や取引内容を正しく記載することで円滑なやり取りが可能です。
請求書の項目を正しく記載し、取引先との信頼関係を築きましょう。