更新日:2024.12.27
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区分記載請求書という言葉を聞いたことがありますか?
区分記載請求書とは、2023年9月30日まで適用されていた「区分記載請求書等保存方式」に則り、特定の商品を対象とする軽減税率(8%)と標準税率(10%)を区別して記載する請求書のことを指します。
2023年よりインボイス制度が開始されたことから、現在は「区分記載請求書等保存方式」は撤廃され、使用されていません。
今回の記事では、区分記載請求書と適格請求書の違いや、従来使用されていた区分記載請求書の書き方をご紹介します。
▼今回の記事の内容
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インボイス登録をした企業の経理担当の方や、個人事業主の方はぜひ最後までご覧ください。
区分記載請求書とは、2019年10月から2023年9月まで適用されていた「区分記載請求書等保存方式」に基づき、消費税の軽減税率(8%)と標準税率(10%)を区別して記載する請求書のことでした。
しかし、2023年10月1日よりインボイス制度が導入されたことに伴い、区分記載請求書等保存方式は廃止され、現在は使用できません。
現在は、インボイス制度に対応した「適格請求書(インボイス)」が使用されています。適格請求書には、区分記載請求書の記載事項に加えて、適格請求書発行事業者の登録番号や税率ごとの消費税額など、より詳細な情報を記載する必要があります。
適格請求書は、インボイス制度に対応するために適格請求書発行事業者が発行する請求書のことを指します。
適格請求書にはインボイス発行事業者の登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等などの項目が揃っていることが条件となりますので注意しましょう。
一方、区分記載請求書は、軽減税率制度に対応するために税率ごとに区分した合計金額を記載する請求書で、2019年10月から導入されたものです。
適格請求書は、インボイス制度の下で仕入税額控除を受けるために必要な請求書であり、消費税の円滑な納税を目的としています。一方、区分記載請求書は、軽減税率制度の導入に伴い、2019年10月から2023年9月までの間の経過措置として使用された請求書です。
項目 |
適格請求書(インボイス) |
区分記載請求書 |
制度開始時期 |
2023年10月 |
2019年10月 |
制度終了時期 |
継続 |
2023年9月 |
目的 |
消費税の仕入税額控除の適正化、複数税率への対応 |
軽減税率制度の導入に伴う複数税率への対応 |
適格請求書は、適格請求書発行事業者として登録された事業者のみが発行できます。一方、区分記載請求書は、課税事業者であれば発行できました。
項目 |
適格請求書(インボイス) |
区分記載請求書 |
発行できる事業者 |
適格請求書発行事業者として登録された事業者 |
課税事業者(免税事業者は発行できない) |
しかし、区分記載請求書は、2023年9月30日をもって制度が終了しており、現在は使用できなくなっていますので注意しましょう。
適格請求書は、区分記載請求書の記載事項に加えて、登録番号や税率ごとの消費税額など、より詳細な情報を記載する必要があります。
区分記載請求書 |
適格請求書 |
①発行者の氏名または名称 ②取引年月日 ③取引内容 ④取引金額 ⑤交付を受ける者の氏名または名称 ⑥軽減税率の対象品目である旨 ⑦税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込) |
①発行者の氏名または名称 ②取引年月日 ③取引内容 ④取引金額 ⑤交付を受ける者の氏名または名称 ⑥軽減税率の対象品目である旨 ⑦税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率 ⑧適格請求書発行事業者の登録番号 ⑨税率ごとに区分した消費税額 |
区分記載請求書は、2023年9月30日まで適用されていた「区分記載請求書等保存方式」に基づき、軽減税率(8%)と標準税率(10%)を区別して記載する請求書でした。現在はインボイス制度に移行し使用されていませんが、過去の取引記録を理解する上で、その書き方を知っておくことは重要です。
区画記載請求書には、以下の項目を記載する必要があります。
ここからは、それぞれの記載項目について解説していきます。
1つ目の記載項目は取引年月日です。
まずは、取引が行われた年月日を記載しましょう。取引年月日は、請求書を発行する日付とは限りません。
必ず取引が行われた年月日を記録しておき、請求書に記載するよう気をつけましょう。
2つ目の記載項目は、請求先の情報です。
請求先の氏名または名称、住所を記載しましょう。省略はせず、正式な名称や屋号を記載しないと受理されないことがあるので注意が必要です。
3つ目の記載項目は、請求元の情報です。
請求元の氏名または名称、住所を記載しましょう。
こちらも請求先の情報と同様に、省略せず正式な名称や屋号を記載しないと受理されないことがあるので注意が必要です。
4つ目の記載事項は、取引内容です。
商品名、数量、単価など取引内容を具体的に記載し、税率ごとに区分しましょう。
軽減税率の対象品目である場合は、「軽減税率対象」と明記する必要があるので注意が必要です。
5つ目の記載事項は適用税率と税率ごとの税込金額です。
適用される税率(10%または8%)と、それぞれの税率に対応する税込金額を記載しましょう。
軽減税率対象品目は8%、それ以外は10%となるため、計算を間違えないよう注意が必要です。
6つ目の記載事項は、合計金額です。
税率ごとの税込金額を合計し、請求書の合計金額を記載しましょう。
合計金額を算出する前に、必ず価格が間違っていないか、税率が間違っていないか再確認することが重要です。確認を怠らないよう気をつけましょう。
今回の記事では、区分記載請求書と適格請求書の違いや、従来使用されていた区分記載請求書の書き方をご紹介しました。
区分記載請求書とは、軽減税率制度に対応するために税率ごとに区分した合計金額を記載する請求書のことを指します。
しかし、現在はインボイス制度の開始によって区分記載請求書は使用できなくなっています。インボイス登録をされた方は、必ず適格請求書の様式を確認し、記載項目に漏れがないよう確認してくださいね。