更新日:2024.10.15
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請求書は、請け負った仕事の報酬を請求するため、非常に重要な書類です。しかし、請求書を書く経験が少ないと、本当に請求書を発行する必要があるのか疑問に思う人もいるでしょう。
そこで本記事では、業務委託でも請求書が必要なのか、品目には何を書けば良いのかを解説します。
業務委託とは、発注者の代わりに仕事を依頼されて業務を遂行し、報酬を受け取れる契約を結んでいる個人のことをいいます。会社員ではないものの、業務委託として仕事を請け負っている場合、請求書は必要なのでしょうか。
業務委託の請求書作成は、義務ではないが作成するのが望ましいとされています。ここでは、なぜ業務委託の請求書が必要とされているのかについて解説します。
結論からお伝えすると、業務委託の請求書は必要です。
請求書の作成は法的には義務ではないため、請求書なしでも報酬を受け取れます。しかし、受領した報酬額が誤っていた場合や報酬の支払いが遅延している場合、請求書がなければ報酬額を証明できません。
業務委託によって年間20万円以上の所得がある場合、所得税の申告が必要です。
所得税の申告(確定申告)は請求書がなくても可能ですが、万が一税務調査などが行われた際に、所得の取引内容が証明できません。
申告内容の証明ができないと、所得税の追微課税が発生する可能性や、場合によっては刑事罰を科される恐れもあります。請求書を作成していない場合のリスクが高いため、業務委託も請求書を作成すべきといえるでしょう。
また、請求書の作成自体は法的義務がないものの、作成することで法的効力を発揮するメリットがあります。
"債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。"
(引用:e-VOG 法令検索「第七章 第三節 債券等の消滅時効」)
つまり、請求書を作成することで、報酬を受け取れない状態が続いても5年間は債権の権利を行使できるのです。報酬未払いなどのトラブルを防ぎ、経理処理を正しく行うためにも、業務委託や個人にかかわらず、請求書はほぼ「必須」ともいえるでしょう。
インボイス制度は、2023年10月から施行された消費税に関する制度です。
課税事業者が消費税の二重課税を防ぐ「仕入税額控除」を受けるには、売り手である業務委託者から「適格請求書」と呼ばれる請求書を受領する必要があります。
よってインボイス制度の施行に伴い適格請求書発行事業者の登録を受けた場合は、必要項目を記載した適格請求書の発行が必須となります。
インボイス制度の概要や領収書の書き方については、以下のページで詳しく解説しているので、ぜひご参考ください。
関連記事:【徹底解説】インボイス制度の領収書の書き方!作成における4つのポイントも紹介
一般的な請求書と、インボイス制度に対応した適格請求書では、必要な項目が異なります。ここではそれぞれの必要項目や、品目の書き方についても解説しているので、ご参考ください。
業務委託の請求書に必要な項目は以下の7点です。
消費税額は、インボイス制度において取引先が仕入税額控除を受けるために必要な項目です。適用する税率ごとに記載する必要があります。
支払期日は、取引先から指示されることが多いため、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、取引先から源泉徴収税の記載を依頼される場合もあります。国税庁が定める、源泉徴収税が必要な報酬・料金等は以下のとおりです。
参照:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
上記のような報酬を受け取る予定がある場合は、源泉徴収税の金額を確認して請求書に記載しましょう。
自身がインボイス制度に対応している場合は、前項の7つにくわえ、以下3つの項目を記載しましょう。
登録番号とは、インボイス制度に申請した際に交付された「T」+13桁の番号です。登録番号はインボイス制度に対応した事業者に割り当てられます。
適用税率は、取引業務ごとに10%と8%のどちらを適用しているかを分かるように記載しておきましょう。
品目(取引内容)は、自身と取引先の双方が相違なく認識できるのであれば「業務委託費」や「原稿料」などの大まかな記載でも問題ありません。ただし、品目が多くなる場合は、以下のように何の請求なのかを分かるように記載する必要があります。
例)
業務委託費 → 営業代行サービス(TELアポ)
原稿料 → 雑誌「〇〇」9月号 △△特集 など
報酬が時給で支払われるタイプも同様で、分かりやすく記載しておきましょう。時給の場合は取引先から記入方法を指定されることもあるため、その場合は指定方法に従ってください。
交通費や取材費の諸経費を請求する場合は、何に使った金額なのか、どこからどこまでの移動費なのかを明確に記載しましょう。
また、大きな金額を諸経費として請求する際は、領収書などの証憑も添付することで信頼性が高まります。ただし、取引先から経費の請求許可をもらってから請求書に記載しないと、トラブルにつながる恐れもあるため、注意してください。
業務委託が請求書を作成する際、取引先に事前に確認すべき項目が5つあります。
上記をあらかじめ確認しておくと、請求業務を円滑に進められます。
請求関連のトラブルを回避し、取引先と良好な関係性を継続できるようにしましょう。
業務委託が請求書は、簡単に作成できるよう、Web上に無料のテンプレートが豊富に提供されています。しかし、種類が多いため、取引先に対して適切なテンプレートがどれなのか迷ってしまうこともあるでしょう。
ここでは、業務委託の請求書テンプレートを選ぶ4つのポイントについて解説します。
具体的にみていきましょう。
業務委託のテンプレートは、先述の「一般的に必要な項目」が最低限揃っているものを選びましょう。
取引先から再提出や修正を求められると、請求手続きがスムーズに進まないため、必須項目がすべて記載されたテンプレートを選んでください。
請求書テンプレートを選ぶときは、無料でどこまで利用できるかもチェックしておきましょう。
無料で永続的に使えるテンプレートもあれば、発行できる請求書の枚数が限られているテンプレートもあります。
できる限りコストをかけず請求書を作成したい場合は、完全無料で利用できるテンプレートを選びましょう。
また、頻繁にテンプレートを変えてしまうと、取引先を混乱させてしまう可能性があります。支払いミスやトラブルを避けるためにも、長期的に使用できるテンプレートを使用しましょう。
自分がインボイス制度に対応している場合は、適格請求書を作成する必要があります。テンプレートを利用する際は、登録番号や適用税率、税率ごとの消費税額の記載箇所があるかを確認しましょう。
業務内容によって適用税率が異なる場合は、8%と10%の両方の項目があるかもチェックしてください。軽減税率(8%)対象の項目がある際は、軽減税率の対象である旨の表記も必要です。
業務委託にかかわらず、個人やフリーランスの場合も、請求書はシンプルで見やすい形式が望ましいです。デザイン性が高いテンプレートもありますが、内容を理解しにくく、重要な情報や数値を見逃してしまう可能性があります。
数字の見間違いが発生すると、報酬の支払遅延や確認作業の増加などの問題にもつながります。必要な情報が一目で分かる形式のテンプレートを選びましょう。
本記事では、業務委託の請求書の必要性や、請求書の書き方についてまとめました。
請求書は、法的には義務ではないものの、作成することで債権の権利を5年間行使できます。支払いトラブルを防止するために必要な書類のため、必ず作成すべきです。
また、業務委託でも使える請求書の無料テンプレートを選ぶ際は、必要な項目がすべて揃っているかを確認しましょう。自身と取引先の双方が見やすく、処理しやすい形式を選ぶことを心がけてください。