更新日:2025.07.18
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経理部門は、入力作業、請求書の発行、銀行振込、入金消込、領収書の保管、小口現金の管理などさまざまな業務を行っています。経理担当者が少人数で作業を行っている企業も多く業務効率化の課題のケースが多いです。
本記事では、企業の経理業務が抱える課題や、その解決策としての業務効率化のアイデア、経理業務の効率化に役立つITツールについて解説していきます。
企業における経理業務の多くは、日々のルーティンワークによって成り立っています。さらに、簿記や税務に関する専門知識が求められるため、少人数体制で業務を回している企業も少なくありません。
しかし、こうした経理部門では、長年にわたって「効率化が進まない」「改善が難しい」といった課題を抱え続けているのが実情です。なぜ経理部門は変革が進みにくいのでしょうか。その主な理由として、以下の3点が挙げられます。
経理部門は、営業などのように直接的な売上に関わる部署ではないため、十分な人員が割かれにくい傾向があります。限られた人数で多くの業務を抱えているケースが一般的です。
さらに、経理業務には簿記などの専門知識が不可欠なため、他部署のスタッフが簡単に代替できないという課題もあります。その結果、日々の入金消込や請求処理、経費精算などの対応に手一杯となり、業務の効率化にまで手が回らない状態に陥りがちです。
多くの企業では、依然として経理業務の大部分をExcelなどによる手作業で行っています。たとえば、数値の入力・転記、小口現金の精算、帳簿との突き合わせといった作業は、すべて担当者の手と目に頼る必要があります。
このような作業環境では、人的ミスによって誤請求や二重請求といったトラブルが発生しやすくなります。たとえ1円の誤差であっても、大きな問題に発展しかねないのが経理業務の難しさです。こうした背景から、手作業の見直しと業務の自動化が急務となっています。
経理部門で特に深刻なのが「業務の属人化」です。担当者しか業務内容を把握しておらず、業務がブラックボックス化してしまう状態を指します。属人化が進むと、担当者の休職や退職がそのまま業務停滞やミスの発生につながるリスクがあります。
専門性が高く、一定の経験や知識を要する経理部門では、特にこの問題が起こりやすいとされています。業務の標準化やマニュアル化を進め、誰が担当しても対応できる体制づくりが求められます。
経理業務の属人化の問題点や対策方法については、【経理業務の属人化とは?原因と対策方法を解説!】でも解説しています。
経理部門の課題を対策するには、経理業務の効率化が必要です。経理業務を効率化する方法は大きく分けて3つあります。
経理業務のペーパーレス化やキャッシュレス化を推進し、紙ベースの請求書管理や小口現金を用いた経費精算から脱却しましょう。
ペーパーレス化とは、紙ベースで管理している情報を電子化し紙の帳票類の使用頻度を減らすことです。経理部門の場合、領収書や請求書、見積書などの帳票をペーパーレス化することが可能です。
ペーパーレス化を推進すれば、請求書などをデータで受領し、まとめて管理できるようになります。2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、電子データで受け取った領収書や請求書、見積書は電子データのまま保存することが義務付けられたため(※1、一部条件下では紙保管の継続が認められている)、早急にペーパーレス化に取り組むむようにしましょう。(※2)
請求業務を効率化する方法ついては、【請求業務を効率化する方法!業務の課題点に合わせて解決策を解説】でも解説しています。
※1参考:財務省.「電子取引データの出力書面等による保存措置の廃止(令和3年度税制改正)に関する宥恕措置について」
請求書のペーパーレス化と同時に、小口現金の廃止を進めることが大切です。従来の経理業務では、経費精算などを小口現金で管理し、出入金のたびに現金残高と帳簿残高を突き合わせる作業を行っていました。小口現金は残高のミスが生じやすいだけでなく、複数人でチェックを行う必要があるため非常に手間がかかります。
経理業務の効率化を目指す場合は、経費精算などのキャッシュレス化を推進しましょう。経費の支払いをクレジットカードなどでの支払いに切り替えることで、経費をまとめて管理できるようになります。また従業員の立替経費精算を現金ではなく、銀行振込にする方法も業務効率化につながります。
経理部門の人手不足を解消することが難しい場合は、経理業務のアウトソーシングも検討しましょう。伝票の管理や請求処理、入金消込、税務申告などの定型業務を外部パートナーに委託すれば、よりコアな業務に人材を集中させることができます。
アウトソーシングの費用はかかりますが、経理業務のミスをなくし、業務品質の向上が期待できるでしょう。
経理業務を効率化するメリットは以下の2つです。
誤請求や二重請求を防止できるだけでなく、経理担当者の負担を軽減することで従業員の満足度が上がる可能性も考えられます。
経理業務は手作業が多いため、入力ミスや記入漏れなどのヒューマンエラーが避けられません。会計ミスが発覚すると、その都度目視でのチェックを行う必要があるため、経理担当者の業務負担が増加します。
経理業務を効率化すれば、数字の誤差を減らし、誤請求や二重請求などの会計ミスを未然に防止することが可能です。重大な会計ミスが発生すると、会社の損失や取引の停止などのリスクもあるため、企業の信用を守ることにもつながります。
経理業務は膨大なルーティンワークをこなす必要がある一方で、1円のミスも許されない仕事です。決算の時期は残業も多く、あまり労働条件がよくない企業もみられます。経理業務の効率化によって、経理担当者の業務負担が軽減されるため、従業員満足度の改善も見込めるでしょう。
また、近年の転職者の動向をみると、賃金以外の労働条件を重視する人が増えてきました。厚生労働省の令和2年転職者動向調査によると、自己都合による離職の理由として、28.2%の人が「労働条件(賃金以外)がよくなかったから」と答えています。(※)
経理担当者の離職を防ぐ上でも、経理業務の効率化に取り組むことが大切です。
経理業務の効率化に役立つITツールは3つあります。
特にリモートワークの導入を検討している企業や、経理部門の人手不足に悩んでいる企業は、経理業務のIT化に注力することをおすすめします。
ビジネスチャットツールは、従業員がチャットでやりとりするためのツールです。従来のメールなどのコミュニケーション手段と違い、リアルタイムでの意思の疎通が可能な点が特徴です。
ビジネスチャットツールの中には、インターネットでファイルを共有したり、タスクやスケジュールを管理したりする機能を持つものもあります。ビジネスチャットツールを導入すれば、経理部門の横のつながりを強化し、情報共有や意思の疎通をスピードアップすることが可能です。
会計システムには、会計データをパソコンに保存するインストール型と、会計データをインターネット上で管理するクラウド型の2種類があります。クラウド会計システムを導入すれば、インターネットを通じて会計データをスムーズにやりとりできるため、経理業務の効率化に役立ちます。
また、テレワークやリモートワークに対応できるのも、クラウド会計システムのメリットです。
請求書の電子化サービスとは、これまで紙で受領していた請求書を一つにまとめ、電子データで受け取るサービスです。請求書の電子化サービスを利用することで、請求書のペーパーレス化や一元管理を実現できます。請求書のフォーマットが統一されるため、請求処理の工数削減も可能です。
経理業務が抱える課題を克服したい場合は、ビジネスチャットツールやクラウド会計システム、請求書の電子化サービスなどのITツールを活用しましょう。
企業の経理部門は、人手不足や業務の属人化、会計ミスの発生などさまざまな課題を抱えています。経理業務の効率化に取り組むことで、こうした課題を解消することが可能です。経理業務を効率化したい場合は、ビジネスチャットツール、クラウド会計システム、請求書の電子化サービスなど企業に適したITツールの導入を検討しましょう。
特に請求書の電子化サービスは、経理業務の中でも負担が大きい請求業務の効率化や、請求書のペーパーレス化を実現できます。
請求書のペーパーレス化なら、株式会社インボイスの一括請求サービスの利用がおすすめです。電気、水道、ガスなどの公共料金の請求書や、通信系の業界の会社から届く請求書を一括でデータ化し、請求書のペーパーレス化を実現できます。請求書のフォーマットも統一されるため、煩雑な請求業務の負担を軽減することが可能です。経理業務が抱えるさまざまな課題を把握し、業務効率化を実現しましょう。