更新日:2025.10.16
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経理の仕事は、会社のお金の流れを支える重要な役割を担っています。
毎日の請求書や振込、仕訳など、細かい作業が積み重なっているため、ちょっとしたミスでも帳簿や資金の管理に影響することがあります。
近年、経理業務のデジタル化は進んでいますが、実際には手作業とシステム処理が混ざっている企業も少なくありません。手作業が多いほど、確認の手間やミスのリスクも増えるため、担当者は慎重に業務を進めています。それでも、日々の作業の中ではミスが起きてしまうものです。
では、実際にどの業務でミスが発生しやすいのでしょうか?
今回は、株式会社インボイスが実施した「経理のミスが多い仕事ランキング調査」(対象:441人)をもとに、経理担当者が「絶対にミスしたくない」と感じる業務や、日常業務でのミスの実態を紹介します。手作業の多さも含め、経理部門の現状を数字で見ていきましょう。
過去1年間で最も多く発生した経理でよくあるミス第1位は「請求書の処理ミス(計上漏れ・仕訳間違い)」で149件に上りました。2位は「勘定科目の誤り」(132件)、3位は「振込先情報の誤入力」(87件)と続きます。
1位の「請求書の処理ミス(計上漏れ・仕訳間違い)」は、対応件数が多く入力や確認の場面が多いため、ちょっとした見落としが積み重なりやすい領域です。計上漏れは確認不足による単純な作業ミス、仕訳間違いは勘定科目の判断など知識や理解の不足によるミスといったように、性質の異なるミスが含まれていると考えられます。
また、2位の「勘定科目の誤り」も、担当者の知識や経験の差が出やすい業務です。同じ内容でも人によって処理が分かれてしまう場合もあることが特徴です。
3位の「振込先情報の誤入力」は、正確さが求められる注意が必要な業務です。振込先を間違えると、支払いの遅れや二重支払いといったトラブルにつながり、帳簿の内容も実際の取引とずれてしまいます。担当者は特に神経を使う業務ですが、日常的に発生する業務で件数も多いため、ミスの頻度が高くなりやすいと考えられます。
「請求書の二重支払い」(65件)や、「支払期限の見落とし」(53件)紙の請求書の紛失(51件)も一定数発生しており、やはり手作業の業務で特にリスクが高いことが分かりました。
経理担当者にとって「絶対にミスしたくない」と考える業務は、「請求書の処理ミス(計上漏れ・仕訳間違い)」が37.5%(101件)、「勘定科目の誤り」17.8%(48件)、「振込先情報の誤入力」16%(43件) となりました。他の項目の結果を見ても「ミスが多い業務ランキング」とほとんど重なる結果となっています。
経理業務は、ミスが生じると財務の信頼性や対外的な信用に直結するため、ミスが許されない環境です。特に、毎月発生する請求書や振込などの定型業務はミスが起こりやすく、担当者は「絶対にミスしたくない」と強く意識していることが伺えます。
手作業業務がどれだけ残っているかの調査では「ほぼすべてが手作業」と回答した企業が20.3%(83件)「半分以上が手作業」と回答した企業が 37.4%(153件)と、合わせて5割以上の企業が半分以上の業務を手作業で行っていることがわかりました。
一方で、「ほぼ全てシステム化済み」と答えた企業は9.5%(39件)にとどまり、多くの企業ではまだ手作業中心で業務が進められていることが見えてきます。
この結果から、経理部門ではアナログ作業が根強く残っていることが分かりました。手作業が多いと、確認作業の負担や心理的な緊張も増え、ミスのリスクも高まる恐れがあります。
今回の調査から、経理業務では請求書の処理や勘定科目の判断、振込先情報の確認といった、日常的に行われる業務でミスが起きやすいことが明らかになりました。こうした定型業務は対応件数が多いため、ミスの発生リスクも高まります。
また、5割以上の企業では、業務の半分以上を手作業で行っていることも明らかになりました。手作業が多い業務では、確認や判断の負担が増えやすく、ミスが増える恐れがあります。
今回の調査のように、どの業務でミスが発生しやすいかを可視化することは、改善に向けた第一歩です。まずは自社の現状を把握し、特に注意が必要な業務を優先的に改善することで、担当者の負担を減らすことができます。
さらに、ツールを活用してシステム化や自動化を進めれば、人的な確認作業を減らし、より効率的に業務を進めることが可能になります。
今回ご紹介した「経理のミスが多い仕事ランキング調査」では、
など、ミスを減らすための具体的なヒントとなるデータもご紹介しています。経理業務を効率的に進めミスを減らすために、ぜひダウンロードのうえご活用ください。