【2025年最新】電子帳簿保存法とは？何をすればいいかわかりやすく解説

更新日：2025.01.30

ー目次ー

電子データの保存や管理が進む現在、電子帳簿保存法はすべての事業者にとって重要な存在となっています。しかし、具体的に「何を」「いつまでに」「どのように」対応すれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、電子帳簿保存法の基本的な仕組みや2025年基準で求められるポイント、実際に必要な対応策を専門的かつわかりやすく解説します。法人・個人事業主問わず、法律遵守のために必要なステップを網羅していますので、これを読めば最新の動向や対応方法を正確に理解し、トラブルを未然に防ぐことができます。大切な会計データを適切に保存し、税務調査時のリスク回避を目指しましょう。

電子帳簿保存法とは何か

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法は、正式には「電子計算機を使用して作成する帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といわれるもので、1998年に制定されました。この法律の目的は、企業や個人事業主がデジタル形式で帳簿や書類を保存する際のルールを定め、その保存方法の合法性を確保することにあります。

従来、企業は帳簿やレシート、請求書などを紙で保存する必要がありました。しかし、電子帳簿保存法はこれをデジタルデータとして保存することを認め、業務の効率化やペーパーレス化を推進する重要な役割を果たしています。この法律には、電子データの保存要件や法的な取り扱い方法が詳細に定められています。

参考：国税庁「【国税庁の取組紹介】電子帳簿保存」

参照：電子帳簿保存法の概要｜国税庁

最低限やることリスト

電子帳簿保存法に対応するためには、以下の点を最低限押さえておく必要があります。

項目	内容
電子帳簿やデジタル化された領収書の保存	スキャナ保存やPCでの帳簿作成の場合、データを一定の要件に基づいて保存する必要があります。
真実性の確保	データ改ざんの防止策（タイムスタンプ付与など）を組み込む必要があります。
検索機能の確保	税務調査に備え、保存データを迅速に検索・閲覧できるシステムを導入しましょう。
税務署への事前届出	電子帳簿保存を始める際には、税務署への届け出を行う規定がある場合があります。

電子帳簿保存法が適用される対象

法人や事業者の対象範囲

電子帳簿保存法は、日本国内で事業を営んでいる法人や個人事業主が対象となります。この法律の主な目的は、不正な会計処理を防ぎ、税務申告における透明性を高めることです。そのため、下記に該当する全ての事業者が法的に適用対象となります。

法人格を持つ全ての会社（例：株式会社、合同会社など）
個人事業主として事業を営んでいる者
公益法人や一般社団法人など、特別法人に該当する団体

具体的には、売上や仕入にかかる領収書や請求書を電子データで保存している事業者が広く対象とされています。さらに、適用対象者は取引書類の保存方法に関して、法令に則った運用が求められます。

対象となる電子帳簿や書類の種類

電子帳簿保存法において対象となる資料は主に、税務関連で必要となる帳簿や書類です。これらは電子データとして保存が行われる場合において、各要件をクリアする必要があります。

書類・帳簿の種類	主な例
会計帳簿	総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳
決算関係書類	決算報告書、貸借対照表、損益計算書
取引関係書類	請求書、領収書、発注書、契約書
電子取引データ	インターネット取引による購入明細や受領書

これらのデータは、電子形式のままでも、適切な運用方法に則って保存できれば問題ありません。しかし、紙媒体の場合と比較して管理が複雑になるため、専用のシステムや管理方法が推奨されます。

保存対象となる期間

電子帳簿保存法では、税務関連書類や取引書類の保存期間についても定められています。原則的には、以下の期間を遵守する必要があります。

法人の場合：決算期終了後7年間
個人事業主の場合：確定申告の期間終了後7年間
中小企業等の特例が適用される場合：最短5年間

最長7年の保存期間中、法令による要件を満たした形で電子データの信頼性を維持し続けることが求められます。また、保存しているデータが決められた基準を満たしていない場合や、保存期間中にデータが失われたり改ざんされたりした場合は、税務調査の際に重大な問題を引き起こすこともあります。

保存期間について更なる詳細を知りたい場合は、以下の国税庁公式ページの説明も参考にしてください。

No.5930 帳簿書類等の保存期間｜国税庁

電子帳簿保存法に対応するために必要なこと

電子帳簿保存法導入の具体的なステップ

電子帳簿保存法に対応するためには、まず具体的なステップを明確にすることが重要です。以下は一般的な流れです。

ステップ番号	具体的な内容
1	自社が電子帳簿保存法の適用対象であるか確認する。
2	保存対象となる帳簿や書類をリストアップする。
3	適用要件を満たしているか、現状の業務フローを精査する。
4	信頼性の高い電子保存ソフトウェアやシステムを選定し導入する。
5	スタッフに対して法対応に関する教育・訓練を実施する。
6	実運用を開始し、保存データやシステムの監査を行う。

これらのステップを踏むことで、法的リスクを最小限に抑えることができます。

電子データ保存における主なルール

電子帳簿保存法では、電子データ保存に関する以下の主なルールが定められています。

保存データの改ざんが防止できるよう、真実性の確保が求められる。
電子帳簿は、いつでも迅速に閲覧できるよう検索性を備える必要がある。
法令で定められた保存期間（通常7年間）を遵守しなければならない。
データ保存には、タイムスタンプやシステムの記録機能の活用が推奨される。

これらのルールを守ることで、電子データの法的証拠性が担保されます。

電子帳簿の真実性の確保方法

電子帳簿保存法において、データの真実性が確保されていることを証明するのは非常に重要です。以下はその方法の一例です。

タイムスタンプの付与: データ作成日時を証明するタイムスタンプを付与します。
データの訂正・削除記録の保存: データに何らかの変更が生じた場合、その履歴を記録します。
適切なアクセス権限の設定: データへのアクセスを、権限を持つ者に限定することで、不正操作を防ぎます。
第三者認証: 客観的な団体やシステムに認証してもらう仕組みを導入します。

これらの方法を組み合わせることで、電子帳簿の信頼性を高めることが可能になります。

検索機能の要件

電子帳簿保存法では、保存データが容易かつ迅速に検索できることが要件として定められています。下記は具体的な要件例です。

データ検索時に、【取引日】【取引金額】【取引先】の3つのキー項目でフィルタリングできること。
検索結果を一覧で表示できること。
一覧表示されたデータを画面もしくは印刷で出力できること。

これらを実現するためには、専用の電子帳簿保存システムの導入が有効です。市場にはさまざまなツールがあり、例えばNTT Comのe-Trustサービスなどが選択肢として挙げられます。

電子帳簿保存法に対応する際の注意点

要件を満たさない場合のリスク

電子帳簿保存法において定められた保存要件を満たしていない場合、罰則として調査における不利な判断が下される可能性があります。例えば、電子帳簿の真実性が認められない場合、税務調査において経費や控除が否認されることがあります。この結果、余分な税金が課されることになるため、事前の十分な準備が欠かせません。

また、保存要件を軽視し、適切な対応を行っていない場合は、企業の信頼性にも影響を与える可能性があります。コンプライアンス意識の不足と見なされ、取引先や顧客からの評価を損ねるリスクも考えられます。

税務調査の際に求められることリスト

税務調査では、電子帳簿保存法に基づき、次のような書類やデータを求められることがあります。

求められる項目	具体的な内容
保存された電子データ	取引に関する電子帳簿、請求書、領収書など
検索機能の証明	保存されたデータを必要な条件で迅速に検索できること
運用規則の記録	規則に基づいた保管・管理が行われたことの記録
操作ログ	電子データの操作履歴（改ざん防止の観点から必要）

これらのデータや証拠を適切に提出できなければ、法令違反と見なされる可能性があります。そのため、事前に慎重な準備を行い、税務調査に対応できる体制を整えることが求められます。

税務調査で実際に求められた事例

実際の税務調査において、企業が以下のような内容を求められた事例があります。

ある企業では、請求書データの保存において改ざん防止機能が不足していたため、原本性を証明できず、税務調査において過去5年間分の帳簿を紙で再提出するよう求められました。その結果、多大な労力やコストを要することになりました。

また、別の中小企業では、会計ソフトの検索機能を十分に活用していなかったため、税務調査官が必要とする取引データを即座に提示できませんでした。このケースでは、さらなる調査が行われ、業務へ多大な影響を及ぼしました。

このような事例からも、電子帳簿保存法の求める基準を満たす準備が重要性を増していることが分かります。

適用除外の例外条件

電子帳簿保存法には、一部の条件下で適用を免除される例外があります。それらの主な例を以下に挙げます。

小規模な事業者で国税庁長官の許可を得た場合
天災などの避けられない理由により電磁的保存ができない場合
過渡的な運用状況にある際に一定の書面保存が認められる場合

これらの例外を活用するには、税務署への事前の申請や説明が必要です。ただし、これらはあくまで特例措置であり、原則的には法令基準を順守することが求められる点に注意しましょう。

電子帳簿保存法における2025年の最新動向

2025年現在の基準のポイント

電子帳簿保存法は、企業や事業者が帳簿や書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律です。2025年には、これまでの改正内容が安定して運用される段階に入り、焦点は法の定着と実効性にシフトしています。特に以下のポイントが重要とされています。

現在の基準	概要
電子帳簿の保存要件	真実性と可視性を確保するため、タイムスタンプや改ざん防止措置の運用が強調されています。
検索機能の要件	検索性向上を目的に、日付、金額、取引先名などの指定検索が迅速にできるシステムが求められます。
スマートフォンやクラウド保存の活用	従来の専用ソフトウェアだけでなく、クラウドストレージやモバイルシステムの利用が可能になっています。

このように、現在の基準はデータの一元化や検索性の向上に重点が置かれており、企業の業務効率化を推進しています。

自治体や企業の対応事例

2025年現在、電子帳簿保存法への対応事例が各地で見られます。特に自治体や企業が以下のような取り組みを進めています。

地方自治体は住民税に関する電子申請や保存を促進し、納税者のペーパーレス負担を軽減。
大手企業では、会計ソフトやERP（統合業務パッケージ）を活用し、保存と検索の自動化を図っている。
中小企業では、無料もしくは廉価なクラウド型帳簿管理ツールを採用し、新しい基準への早期対応を優先している。

これらの事例を参考に、自社の体制に適した対応が求められます。特に自治体主導の支援策を活用することでスムーズな対応が可能になります。

導入しない場合の罰則

電子帳簿保存法への対応を行わない場合、様々なリスクと罰則が伴います。以下に主なリスクと具体的な罰則内容を示します。

リスク	具体例
税務調査時の対応負担	適正な帳簿の管理ができていない場合、余計な調査の延長や追徴課税のリスクが生じます。
ペナルティの増加	保存要件に従わない場合、帳簿不備として税金加算などの罰則が課される場合があります。
ビジネスチャンスの喪失	取引先の信頼が失われ、取引契約が優先順位から外れる可能性があります。

法的な罰則だけでなく、企業の信用や効率性にも影響を与える可能性があるため、早急な対応が求められます。

まとめ

電子帳簿保存法は、業務効率化やペーパーレス化を進める上で重要な法律ですが、遵守しない場合のリスクも大きいことがわかります。そのため、正確な保存方法や真実性の確保、税務調査に対応できる体制を整えることが必要不可欠です。また、2025年の最新改正点を踏まえ、自社が適切な対応を行っているかを再確認することが推奨されます。制度変更に対応するために政府や税務署から発信される情報にも注視し、必要に応じて専門家の助言を受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。電子帳簿保存法は単なる義務ではなく、適切に活用することで生産性向上やコスト削減につながる可能性も秘めています。