更新日:2025.06.26
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2024年1月から電子取引のデータ保存が完全義務化され、Amazonなどのネットショッピングの領収書の扱いに戸惑う事業者も少なくありません。
ただし、「電子データで受け取った領収書を紙で保存している」や「保存要件がわからない」など電子帳簿保存法のルールを理解していない状態の場合、法令違反のリスクを抱えているおそれがあります。具体的には税務調査で指摘を受けるだけではなく、最悪の場合は青色申告の承認取り消しや重加算税の対象となるかもしれません。
本記事では、Amazonの領収書の電子帳簿保存法への対応方法について、具体的な保存手順と注意点もあわせて解説します。
Amazonの領収書は、電子帳簿保存法の「電子取引」の区分に該当し、電子データのまま保存しなければなりません。
電子メールやクラウドサービスなどによる取引情報の授受は、電子帳簿保存法の保存区分の1つである「電子取引」に該当します。インターネット上のサイトを通じて取引情報を授受する取引も含まれるため、Amazonを利用した際の領収書も「電子取引」の区分に分類されます。
2024年からの重要な変更点として、電子取引で授受した電子データはそのまま保存することが義務化されました。したがって、Amazonの領収書も電子データとして受け取った場合は、電子データでの保存が必須です。
Amazonの領収書を電子帳簿保存法にもとづいて保存する際には、以下の保存要件を満たす必要があります。
保存要件 |
対応方法 |
真実性の確保 |
以下のうち1つを選択して対応する |
可視性の確保 |
以下のすべてに対応する |
なお、Amazonのスマホアプリからは領収書の発行はできません。また、商品未発送の場合や一部の支払方法では領収書発行ができない点にも注意しましょう。
ここでは、Amazonの領収書を電子帳簿保存法に対応して保存する方法について解説します。
Amazonの領収書は、WebサイトからPDFをダウンロードして保存できます。AmazonのWebサイトから領収書をPDFとして保存する手順は、以下のとおりです。
PDFを保存する際は、検索要件を満たすために「日付」「取引先」「金額」がわかる形式で保存する必要があります。
Amazonの領収書はPDFで保存するほかにも、物品を購入した従業員のスマートフォンなどに表示される領収書データを、電子メールで送信してもらい自社システムに保存する方法もあります。
この場合は、スクリーンショットによる領収書の画像データでも問題ありません。ただし、鮮明な画像で取引内容が確認できることが前提で、保存する際は、PDFと同様に検索要件を満たすファイル名を付けて、適切に管理する必要があります。
Amazonなどで消耗品などを購入する場合は、「取引年月日」「金額」「取引先」などの取引情報が記載されている注文確認メールや請求書メールなどを保存しなければなりません。
楽天やその他ECサイトの場合も同様で、取引情報や金額の記載があれば注文確認メールや発送通知メールなども保存の対象です。一方で、金額記載のない発送完了の通知メールや単なるお知らせメール、マーケティングメールや商品レビュー依頼メールなどは保存不要です。
ここでは、電子帳簿保存法の対象のネットショッピング関連書類について解説します。
注文受付メールに注文書に記載される内容が記載されている場合は保存が必要です。
ただし、たとえば請求書や納品書と同一の内容を書類やPDFで受領している場合は、書類やPDFを保存すれば問題ありません。
メールに添付されたPDFのように、EDI取引やクラウドサービスなどを利用して納品書を授受した場合は、電子取引に該当します。
電子取引で受領した納品書のデータ保存は、電子取引の要件を満たした方法で保存しなければなりません。
なお、紙で受け取った納品書とは扱いが異なるため、注意が必要です。
以下のような形式で受け取る請求書は、すべて電子帳簿保存法の対象です。
これらの請求書も、真実性と可視性の要件を満たした形で保存する必要があります。
電子データで受け取った契約書やメール添付の見積書、Webサイト上での見積書なども保存の対象です。
取引に関連する書類は基本的にすべて保存対象と考えて、適切に管理しましょう。
領収書の保存作業を効率よくおこなうには、自動で検索要件を満たせる証憑収集・保管システムの利用がおすすめです。
システムの利用で、タイムスタンプの付与や検索要件の設定などが自動化できるだけではなく、以下のようなメリットもあります。
業務効率化のメリット |
・証憑の自動収集・分類 ・検索要件の自動設定 ・ファイル名の自動生成 |
コンプライアンス強化 |
・法要件の自動対応 ・改ざん防止機能 ・税務調査の際の迅速な対応 |
システムを選ぶ際には、自社の業種や規模などを考慮することが大切です。また、無料トライアルを設けているものも多いため、それらを利用しながらどのシステムが自社にあっているか検討しましょう。
最後に、Amazonの領収書保存に関するよくある質問について解説します。
Amazonでは、同時に購入した商品ごとにわけて領収書を発行できません。
一度に複数の商品を注文する際は、領収書1枚にまとめて記載されます。商品ごとに領収書が必要な場合は、別々に注文しましょう。
関連記事:amazonで請求書しか発行できない理由とは?領収書との違いも解説
領収書の保存期間は、白色申告の場合で5年間、青色申告・法人の場合で7年間の保存が必要です。
なお、Amazonビジネスでは領収書・購入明細書・請求書などの帳票類は10年間保存されます。必要に応じて再発行も可能ですが、自社での適切な保存管理は必須です。
本記事では、Amazonの領収書の電子帳簿保存法への対応方法について、具体的な保存手順と注意点もあわせて解説しました。
電子帳簿保存法は2024年1月から電子取引データの保存が義務化され、Amazonなどのネットショッピングで受け取る電子データはそのまま保存する必要があります。保存する際は、PDFまたはスクリーンショットで保存して、「日付_取引先_金額」などの検索要件を満たすファイル名を付けることが重要です。
適切な保存要件を満たして検索機能を確保することで、業務効率化とコンプライアンス遵守の両立が可能です。違反した際のリスクは大きいため早期の対応を心がけて、必要に応じてシステムの導入も検討しましょう。