更新日:2024.07.05
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「弥生会計」は、弥生株式会社の主力製品で、国内の代表的な会計ソフトのひとつです。名前の由来は、日本には3月締めの企業が多く、会計ソフトが最も活躍するのが3月(弥生)であったことから来ています。
数ある会計ソフトの中でも「弥生会計」は、特に小規模企業や個人事業主に人気の製品です。知名度の高いソフトの中では比較的安価なため浸透していったという背景もあります。また、操作が簡単で、税理士にも愛用者が多いと言われています。
製品のラインアップが豊富なこともあり、これから会計ソフトを使い始めようという方は、どれを選べばよいのか分からないかもしれません。弥生会計シリーズは製品によって機能が異なるため、自社のニーズに合ったソフトを選ぶ必要があります。
そこで本記事では弥生会計シリーズの特徴や初心者におすすめの使い方、選び方について解説します。
弥生シリーズは1987年発売の「青色申告会計 弥生」に始まった歴史ある会計ソフトシリーズです。特徴としては、初心者にも扱いやすいナビ機能や仕訳機能が挙げられるでしょう。操作画面もよく使う項目やボタンが分かりやすい場所に配置されています。
また、小規模企業やスモールビジネスを中心としたユーザー層でよく利用されています。同社のメッセージも「独立を、夢見る。お店の成長を、夢見る」「スモールビジネスのあらゆるステップを支え続けます」といったように、特に起業家を意識しています。
公式HPにはマニュアル動画もあり、会計ソフトに初めて触れるといった方でもすぐに使い方を調べられます。基本的な操作方法を覚えれば、あとは随時マニュアルを参照すればよいでしょう。
さらに、体験セミナーなども開催され、実際に操作しながら不明点を教えてもらえるのでおすすめです。こうした点から、弥生会計は初心者に使いやすいソフトであると言えます。
弥生会計はもともとPCにインストールするパッケージ型(デスクトップアプリ)で伸びた製品ですが、近年の潮流に沿って、クラウド型(クラウドアプリ)にも力を入れています。
デスクトップの弥生会計は、小規模企業・個人事業主向けの「スタンダード」、中小規模企業向けの「プロフェッショナル」、端末3台以上のネットワーク環境で使える中小規模企業向け「ネットワーク」があります。
クラウド型は「弥生会計 オンライン」で、特に5人以下の小規模企業や起業・開業したての方をターゲットにしています。以下に一覧をまとめました。
クラウド型 |
パッケージ型 |
パッケージ型 |
パッケージ型 |
|
製品 |
「弥生会計 オンライン」 |
「弥生会計22スタンダード」 |
「弥生会計22プロフェッショナル」 |
「弥生会計22プロフェッショナル 2ユーザー」 |
ベーシックプラン(標準のサポート付属)の料金 |
30,000円/年 操作サポートなしの「セルフプラン」は26,000円/年 |
44,000円 |
80,000円 |
105,000円 |
トータルプラン(詳細サポート付属)の料金 |
なし |
66,000円 |
110,000円 |
145,000円 |
対象 |
小規模企業・個人事業主 |
小規模企業・個人事業主 |
中小規模企業 |
中小規模企業 |
特徴 |
1ユーザー |
1ユーザー |
1ユーザー 資金繰り管理 経営分析 |
2ユーザー 資金繰り管理 経営分析 |
※金額はいずれも税抜き
料金はサポートの程度で変わります。また、キャンペーン価格で1年目が無料になることもよくあるので、しっかり確認することをおすすめします。
他にも弥生シリーズには、パッケージ版とクラウド版のそれぞれに「青色申告」「給与計算」「弥生販売」などの製品も用意されており、目的に応じて選べます。
ここから弥生会計の中の製品をどのように選べばよいかを解説していきます。以下が選ぶポイントになります。
クラウド型かパッケージ型かで特徴があり、価格も変わってきます。
クラウド型の特徴は、初期費用がかからず、付属のアプリを使うことで、PCなしでスマートフォンからも利用できることです。また、クラウドなので、データの保存と共有ができます。
一方、パッケージ型は、入力方法が複数あり、設定や画面のカスタマイズが可能で、ネット環境が整っていなくても利用できるのがメリットです。
弥生会計は他社のソフトに比べて初期費用が安いのですが、パッケージ版でも毎年有料でアップデートする必要があるため、1回買っただけでは済まず、ランニングコストがかかることも考えておく必要があります。
企業か個人事業主かで、適する会計ソフトが異なります。例えば、個人事業主だと、複数のユーザーで使う機会はまずありません。逆に、会計担当者が複数いる企業となら1ユーザーだけでは不便なことがあるでしょう。
また、経営分析や資金繰り管理は、比較的大きな企業では重要ですが、個人事業主では会計ソフトに統合された機能までは必要ないでしょう。実際、事業を始めたばかり、規模が小さい個人事業主は、弥生会計よりも、同シリーズの「やよいの青色申告オンライン」で済んでいるという方も多いようです。
プランの価格差は、主にサポートの充実度です。マニュアルさえあれば自身で問題なく使えたり、周囲に詳しいユーザーがいたりする方は、サポートなしの「セルフプラン」が安く使えます。
ただし、実際に操作する従業員のIT習熟度が十分でなく、手厚いサポートがあったほうがよいと考えるなら、「トータルプラン」を選ぶほうが安心でしょう。
弥生会計を使い始めるまでの手順は以下のとおりです。
弥生会計には以下のような機能があります。
非常に高度な機能というより、基本機能を使いやすくまとめた製品と言えます。初心者でも導入しやすいところが、弥生会計の強みでしょう。
特にクラウド版は、基本のパッケージ版から、出納帳、伝票入力を省略した仕様で「シンプル機能のエントリー会計ソフト」という位置づけです。
ここからは初心者が弥生会計を使う3つの主なメリットを紹介します。
アイコンやガイドによって、会計ソフトを使ったことのない方にも分かりやすい画面となっています。また「かんたん取引」という機能で、記帳が簡単にでき、収入・支出・振替の項目の空きを埋めてゆくだけで作業が完結します。
そのため、簿記や会計の知識がなくても直観的に操作できます。
弥生会計は税理士事務所とパートナープログラムを組んでおり、多くの税理士に利用されています。また、弥生会計は歴史が長く、使い慣れている税理士が多いと言われています。
さらに、税理士とデータを共有して作業を効率化できます。操作で不明点やトラブルが起きた際に、なじみの税理士に相談できることも安心材料です。
オプションの「スマート取引取込」機能は、取り込んだ銀行通帳データや領収書を自動で仕訳するAI機能です。ユーザーは結果をチェックするだけで済むので、業務時間を短縮できます。
なお、スマート取引取込の利用には、有償の「あんしん保守サポート」に加入していることなどの条件があります。
次に、初心者が弥生会計を使う際のデメリットについて説明します。
会計ソフトでは、会計や税制改正に対応したバージョンアップがあり、弥生会計では毎年の更新が必要になります。クラウド版はサーバーサイドで更新されますが、PCのパッケージ版はユーザーが対応しなければなりません。
また、弥生会計はアップデートの無償提供は行っておらず、更新が有料です。ただし、有償の年間サポート「あんしん保守サポート」に加入すれば、その間は最新のアップデートが迅速に提供されます。
帳簿の種類が限定されているため、カスタマイズができません。そのため、数字を見やすくしたり、独自の資料を作成したりするには弥生会計は向いていません。自社の運用方法に合わせて、柔軟に帳簿を使いやすくしたい場合には、この点がデメリットに感じられるかもしれません。
弥生会計は、長い歴史と、会計初心者でも使いやすい操作性を特徴とする会計ソフトです。パッケージ版とクラウド版がありますが、価格差は小さめで、パッケージ版の場合も有償のサポートに加入することで、最新アップデートや便利な機能が使えます。
ユーザー層としては、特に小規模企業や個人事業主に人気で、税理士にも愛用者が多いと言われています。中心の弥生会計のほかに、「青色申告」「給与計算」「弥生販売」など、用途別のソフトウェア製品が弥生シリーズとして展開されています。
良い点は、使いやすくユーザーが多いところで、自信のある方は有償サポートを受けずに利用すれば費用を節約できるかもしれません。ただし、ソフトウェアの更新があった場合の更新データは無償提供されないので、使い続けるにはサポートを利用するほうが無難です。また、帳簿の種類が限定されているため、カスタマイズには向いていない点も注意が要りそうです。
使いやすさや費用、メリット・デメリットも考慮しながら導入を検討しましょう。