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請求書の発行に法律上の義務はなく、口頭での請求でもビジネスは成立します。請求書への押印も同じで、法律上で定められたルールではありません。
請求書に印鑑を押す理由は、請求書の信頼度を向上させるため、請求書の内容を改ざん・偽造するなどの不正を防ぐためです。
今回は、請求書に印鑑が必要な理由や、法人・個人で請求書を発行する際に使用する印鑑の種類について解説します。
請求書は、取引相手に金銭の支払い請求をする際に必要不可欠な書面です。請求書の発行は法律上で定められているものではありません。双方の合意さえあれば、口頭でもビジネスは成立します。
しかし、「言った」「言わない」のトラブルを回避するため、または税務調査が入ったときに証拠として提出するために、請求の際は請求書を発行することが一般的です。
請求書自体が法律上の義務ではないため、請求書の形式や記載事項に関しては、明確なルールが決められていません。
請求書の押印に関しても同様です。請求書に印鑑を押す必要はありません。万が一、請求書に印鑑を押すのを忘れたとしても、法律上は何の問題もありません。
● 請求書の信頼度を上げる
● 請求書の改ざんや偽造されるリスクを回避する
まず1つめは、印鑑を押すことで請求書の発行者を証明できる点です。企業のなかには、押印されていない請求書を受け付けないところもあります。請求書の信頼度を上げるためにも、請求書には印鑑を押すのが一般的です。
2つめは、請求書の改ざんや偽造を防ぐためです。印鑑が押された請求書は複製が難しいうえ、印鑑が押された請求書を偽造した場合、「有印私文書偽造」の罪で3ヵ月以上5年以下の懲役が科せられます。
押印のない請求書の改ざん・偽造よりも厳しく罰せられるため、押印された請求書での不正は行われにくい傾向があります。
印鑑には丸印(実印)、角印、銀行印など、さまざまな種類があり、それぞれ役割が異なります。請求書に使用する印鑑について、法人・個人それぞれ説明します。
角印は会社名が入った印鑑で、法務局への印鑑登録は必要ありません。角印の主な用途は、会社の書類の認印です。頻繁に使用するため、ゴム印など摩耗に強い素材で作られていることが多い印鑑です。
一方、丸印は、会社設立時に法務局で印鑑登録された実印を指します。契約書類など重要な書面に使用するため、代表印とも呼ばれています。通常、請求書に丸印を使用することはほぼありません。
銀行印は、手形や小切手の発行など、金融に関する重要なシーンで使用する印鑑です。丸印同様、請求書などの普段の認印として使用することは、ほぼありません。
印鑑は真上からしっかりと押印し、陰影がはっきり残るようにしましょう。一部が欠けたり薄くなったりしないように注意してください。
[注1]e-Gov法令検索:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC0000000149_20200107_430AC0000000080
印影を画像データに変換した電子印鑑は、スキャナと画像編集ソフトがあれば作成できます。画像に透過処理を施す必要があるため、うまくできない場合は透過処理専用のソフトなどを使用するとよいでしょう。
ハンコメーカーなどが有料で提供しているサービスの中には、電子印鑑に識別情報を含ませ、請求書の作成者や押印の履歴などを可視化できるものもあります。なりすましや不正使用を防げるため、セキュリティ面で安心です。
請求書をオンラインでやり取りする場合は、電子印鑑を使用しましょう。電子印鑑には、通常の認印と同等の効力があります。