更新日:2026.08.31

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消費税簡易課税制度選択届出書は、様式を見ると難しそうに感じますが、実際に書く欄は8つだけです。上から順に埋めていけば完成します。
迷いやすいのは基準期間の課税売上高を税込で書くか税抜で書くか、そして提出要件の確認欄をどうチェックするかの2点です。この記事では、その2点を含めて記入欄を1つずつ解説します。
あわせて、提出期限に例外が設けられているケースについても触れます。事前届出が原則ですが、条件によっては申告期限まで待てることがあります。
書き方に入る前に、いつまでに出せばよいかを確認しておきましょう。ここを間違えると、記入が正しくても適用を受けられません。
通常は、簡易課税を適用したい課税期間が始まる前日までに提出します。個人事業主が令和9年1月1日から適用したい場合は、令和8年12月31日までの提出が必要です。
期限を過ぎると、その課税期間には適用されず、翌課税期間からの適用になります。
免税事業者が登録経過措置を使って適格請求書発行事業者になった場合は、その課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できます。事前届出でなくても間に合います。
2割特例を適用していた事業者が、その終了後に簡易課税へ移る場合も特例があります。特例を適用していた課税期間の翌課税期間については、その申告期限までに提出すれば適用できます。
つまり、実際の数字を見てから本則課税と簡易課税のどちらが有利かを判断できます。事前に決め打ちする必要はありません。
| あなたの状況 | 提出期限 |
|---|---|
| 通常のケース | 適用したい課税期間の初日の前日まで |
| 登録経過措置で登録し、同じ課税期間から適用したい | その課税期間の末日まで |
| 2割特例・3割特例の翌課税期間から適用したい | その課税期間の申告期限まで |
国税庁のウェブサイトからPDF形式でダウンロードできます。税務署の窓口でも入手可能です。
正式名称は「消費税簡易課税制度選択届出書」です。似た名称の「消費税課税事業者選択届出書」とは別の書類なので、取り違えないよう確認してください。
e-Taxを利用する場合は、届出書の作成から送信まで画面上で完結します。
ここからは、様式の上から順に記入方法を説明します。
用紙の右上に提出日を、左上に提出先の税務署名を記入します。提出先は納税地を所轄する税務署です。
納税地がどの税務署の管轄かわからない場合は、国税庁のサイトで郵便番号から検索できます。
| 欄 | 記入内容 |
|---|---|
| 納税地 | 個人は住所または事業所の所在地、法人は本店所在地。郵便番号と電話番号も記入 |
| 住所又は所在地 | 納税地と異なる場合のみ記入。同じなら空欄で構いません |
| 氏名又は名称 | 個人は氏名、法人は登記上の商号。法人は代表者氏名も記入 |
| 法人番号 | 法人のみ13桁を記入。個人事業主は記入不要 |
簡易課税を適用したい課税期間の初日と末日を記入します。
| 区分 | 記入例 |
|---|---|
| 個人事業主 | 自 令和9年1月1日 / 至 令和9年12月31日 |
| 法人(3月決算) | 自 令和9年4月1日 / 至 令和10年3月31日 |
個人事業主の課税期間は暦年なので、1月1日から12月31日で固定です。法人は自社の事業年度をそのまま記入します。
①で記入した課税期間の2年前の課税期間を記入します。個人事業主なら前々年、法人なら前々事業年度です。
たとえば①が令和9年1月1日〜12月31日なら、②は令和7年1月1日〜12月31日となります。
設立から間もない法人など、基準期間そのものが存在しない場合は記入不要です。
②で記入した基準期間の課税売上高を記入します。ここが最もつまずきやすい欄です。
| 基準期間の立場 | 記入する金額 |
|---|---|
| 免税事業者だった | 税込金額で記入する |
| 課税事業者だった | 税抜金額で記入する |
免税事業者は消費税を納めていないため、受け取った金額そのもの(税込)が課税売上高になります。一方、課税事業者は消費税を預かっている扱いなので、そこを差し引いた税抜金額を記入します。
この違いを知らずに全額を税抜にしてしまうと、5,000万円の判定に影響することがあります。基準期間に自社がどちらの立場だったかを先に確認してください。
事業の内容と、簡易課税での事業区分を記入します。
| 事業区分 | 主な業種 | みなし仕入率 |
|---|---|---|
| 第1種事業 | 卸売業(購入した商品を、性質・形状を変えずに事業者へ販売) | 90% |
| 第2種事業 | 小売業(同上で消費者へ販売)、農業・林業・漁業のうち飲食料品の譲渡 | 80% |
| 第3種事業 | 農業・林業・漁業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・水道業 | 70% |
| 第4種事業 | 飲食店業、および他のいずれにも該当しない事業 | 60% |
| 第5種事業 | 運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業を除く) | 50% |
| 第6種事業 | 不動産業 | 40% |
「事業の内容」欄には具体的な業務内容を書きます。「サービス業」ではなく「経営コンサルティング業」「Webサイト制作」のように、判断できる粒度で記入してください。そのうえで「事業区分」欄に該当する種別を記入します。
間違えやすいのが第4種と第5種の区別です。宿泊業や理容・美容業は第5種のサービス業に該当します。第4種は飲食店業などです。
複数の事業を営んでいる場合は、主たる事業を記入したうえで、実際の申告時に売上を区分して計算します。
用紙の下部に、簡易課税を適用できない条件に該当していないかを確認する欄があります。「はい」「いいえ」のチェック形式です。
主に確認されるのは、次のような資産を取得していないかです。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 調整対象固定資産 | 課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になった日から一定期間内に、100万円以上の固定資産を取得していないか |
| 新設法人等の特例 | 新設法人・特定新規設立法人の特例が適用される課税期間中に、調整対象固定資産を取得していないか |
| 高額特定資産 | 1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産を取得していないか |
これらに該当しなければ「いいえ」にチェックします。多くの小規模事業者は該当しないため、いずれも「いいえ」になります。
該当する場合は一定期間、簡易課税を選択できません。心当たりがある場合は、提出前に税理士または税務署に確認してください。
免税事業者が登録経過措置を使って適格請求書発行事業者になり、同じ課税期間から簡易課税を適用したい場合は、該当するチェックボックスにチェックを入れます。
このチェックを入れることで、事前届出でなくてもその課税期間から適用を受けられます。インボイス登録と同時に簡易課税を選ぶ方は、忘れずに確認してください。
なお、届出書の様式は改正により変更されることがあります。記入の際は必ず国税庁サイトから最新版をダウンロードし、欄の並びをご確認ください。
| 方法 | 手順 | 注意点 |
|---|---|---|
| e-Tax | 利用者識別番号と電子証明書を用意し、届出書等作成・送信メニューから作成・送信する | 受信通知を保存しておく |
| 窓口へ持参 | 届出書を2部持参し、1部に収受日付印を押してもらって控えとする | 開庁時間内に行く必要がある |
| 郵送 | 届出書2部と返信用封筒(切手貼付)を同封し、記録の残る方法で送付する | 到着・返送に日数がかかる |
どの方法でも、提出した証拠を残しておくことが重要です。後年になって「届出書を出したはずなのに適用されていない」というトラブルが起きた際、控えが唯一の証明になります。
なお、郵送の場合は消印の日付が提出日として扱われます。期限当日でも、その日の消印であれば間に合います。
簡易課税を選択すると、原則として2年間は継続して適用しなければなりません。大きな設備投資を予定している場合、本則課税なら受けられたはずの控除を取り逃すことになります。
やめる場合は「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を、適用をやめたい課税期間の初日の前日までに提出します。
届出書を提出していても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた課税期間は簡易課税を適用できません。この場合は本則課税で計算します。
届出書の効力自体は残るため、再び5,000万円以下になれば自動的に簡易課税に戻ります。改めて届出書を出す必要はありません。
税務関係書類の押印義務は令和3年4月以降、原則として廃止されています。現行の様式に押印欄はありません。押印が必要と説明している情報は古いものです。
設立初年度など基準期間が存在しない場合は、②と③の欄は記入不要です。空欄のまま提出できます。
国税庁のサイトに事業区分の判定フローが掲載されています。判断に迷う場合は、所轄の税務署に事業内容を伝えて確認するのが確実です。誤った区分で申告すると、修正が必要になります。
その課税期間には適用されず、翌課税期間からの適用となります。原則として遡っての適用は認められません。
なりません。自社が簡易課税かどうかは、取引先の仕入税額控除に一切影響しません。取引先が控除できるかどうかは、自社が適格請求書発行事業者としてインボイスを交付できるかで決まります。簡易課税の適用は、自社の納税額の計算方法の違いにすぎません。
消費税簡易課税制度選択届出書の記入欄は8つです。上から順に埋めれば完成します。
特に注意したいのが基準期間の課税売上高です。基準期間に免税事業者だったなら税込、課税事業者だったなら税抜で記入します。ここを取り違えると5,000万円の判定に影響します。
提出期限は原則として適用したい課税期間の初日の前日までですが、インボイス登録と同時に適用する場合や、2割特例の翌課税期間については例外があります。ご自身がどのケースに当てはまるかを確認してから記入を始めてください。