更新日:2023.08.29
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仕入税額控除とは、課税事業者が課税売上にかかっている消費税から、仕入れにかかった消費税を差し引いて納税する事である。インボイス制度後は、課税事業者から交付される適格請求書の受取から帳簿入力、保存を行う事で、仕入税額控除が可能となる。
一方で免税事業者から受領する請求書については、2023年10月からの6年間については経過措置として一定割合を仕入税額とみなして控除できる事となっているが、経過措置終了後の2029年10月からは仕入税額控除を行うことができなくなる。
仕入税額控除の観点から見ると、全ての取引を課税事業者と行える事が企業にとっては望ましいが、現実は仕入先が多岐に渡る事が多く、免税事業者からの仕入れが発生する事も多くあるはずだ。そういった観点で考えると、少なくとも受領する請求書については課税事業者なのか、免税事業者なのかの分別を簡単につけられるようにしておきたい。
図1:インボイス制度後の仕入税額控除
では、インボイス制度後に受取請求書はどのように変わるのか、過去の税制改革による請求書の変化と共に考える。
請求書は税制度と共に変化しているといっても過言ではない。2019年10月1日の消費税率が引き上げられた時に「区分記載請求書等保存方式」が導入された。これにより消費税率が8%と10%の複数税率となり、下図真ん中のように請求書の記載項目に⑥「軽減税率の対象品目である旨」と⑦「税率ごとに区分された税込額」が追加された。
受領者は記載内容の確認の手間が増えただけでなく、中には消費税額が8%と10%で合算されているケースもあり、仕入税額控除の為に消費税額の分解作業を行うなどの手間が増加した。
インボイス制度開始後はこれまでの区分記載請求書から適格請求書に変わる事で(下図右)⑧「税率毎に区分した消費税額」と⑨「適格請求書発行事業者の登録番号」 が追加され、受取請求書の確認項目が増える事となる。
図2:インボイス制度で変わる請求書の変化
一つ目の要因は受取請求書の量が多い事にある。弊社が独自に調査したアンケート結果では、企業に1カ月あたりで届く受取請求書の量は平均約110枚となった。これは20営業日に換算すると1日あたりで平均5枚以上の請求書を受領している事となる。
当然だが従業員数が1,000名以上となる大手企業ともなれば、月間250枚以上も請求書を受け取っている事となる。100名未満の企業でも1ヵ月約40枚程度の請求書を受け取っている結果となり、経理の人員差を考慮すれば手間は従業員数を問わずあると言えそうだ。
図3:従業員数別に見た月間の受取請求書枚数
当然の事だが請求書は取引先毎に各々レイアウトが異なる。前項で述べたようにインボイス制度の下で仕入税額控除をするためには、まず受取請求書が課税事業者からの請求書であるか免税事業者からの請求書であるか分別が必要となり、課税事業者から発行された請求書が適格請求書の要件を満たしているかの確認が発生する。
要素①の結果から平均110枚の請求書を受領しているとなると最大で110社からの請求書を受領する事となり、請求書のレイアウトも110パターンとなる。こうなると、課税事業者や免税事業者の分別や適格請求書の要件確認に相当な手間がかかってします。
実際に多くの企業は事前準備として、取引先に適格請求書発行事業者登録番号の確認を行っている。しかしインボイス制度後の請求書レイアウトが全て公開されているわけでもなく、必ず適格請求書が発行される保証はない。
ここまで述べた、受取請求書のインボイス制度対応を苦しめる要素からも、課税事業者の分別だけではなく、異なったレイアウトで届く請求書が適格請求書の要件を満たしているかを1枚1枚確認する事が必須となる。そういった点からも、取引先へ登録番号のヒアリングを行うだけでは事前準備としては不十分と言えそうだ
ここまで、インボイス制度開始後の受取請求書について課題を解説してきた。
受取請求書は数が多く、取引先毎にレイアウトが異なり、さらに制度開始後でないとどんな請求書が届くのかわからない為、事前準備が困難である事が理解できた。制度開始後は請求書の確認作業が今より多くなる事から、経理業務の負荷が増大する事が予想される。
ここでは2つの対策をオススメしたい。
受取請求書の量を減らす事で、確認から保存までの経理業務が軽減される。
インボイスの一括請求サービス「Gi通信」「OneVoice公共」を利用すれば、"電話料金""水道光熱費"といった企業のインフラ周りの請求書をそれぞれ1枚で受け取れる為、利用者は、今届いている請求書の総量を34%減らして、インボイス制度対応ができるということになる。
図4:企業に届く請求書の割合
取引事業者毎に異なったレイアウトの請求書から適格請求書の要件を1件ずつ確認する事は非常に困難であるが、当社の一括請求サービスなら"電話料金"、"水道光熱費"の請求書に対してそれぞれ請求書を1枚に統合し、インボイス制度対応や請求書の処理業務が効率的に行えるようにレイアウトも整えて提供する。
インボイスの一括請求サービス「Gi通信」「OneVoice公共」を利用すれば、受取請求書のインボイス制度対応を34%減らしてそれぞれ1枚で受領でき、統一したレイアウトで"電話料金"、"水道光熱費"のインボイス制度対応が可能となる。
インフラの周りの請求書は毎月決まって届くので、通信費や水道光熱費のインボイス制度対応が軽減できれば、その他の請求書のインボイス制度対応に注力できる。
受取請求書のインボイス制度対応を楽にしたいと考えている方には是非オススメしたい。
本記事には記載できなかった、受取請求書のインボイス制度を苦しめる要素や、インボイス制度を楽にする具体的な内容について興味があれば以下の資料より詳細の確認が可能です。
文中で紹介したサービスのインボイス制度対応について
【Gi通信】 https://gi.invoice.ne.jp/invoice/
【OneVoice公共】 https://onevoice.invoice.ne.jp/invoice/