更新日:2026.09.30

ー 目次 ー
インボイス制度で適格請求書発行事業者の登録を受けると、事業者ごとに「登録番号」が通知されます。
登録番号は、請求書を適格請求書(インボイス)として交付するために欠かせない記載事項であり、取引先が仕入税額控除を受ける際にも重要な情報です。
ただし、登録番号を書けば自動的にインボイスになるわけではありません。また、登録日より前の取引や、番号を書き間違えた場合など、実務上注意したい場面もあります。
この記事では、登録番号の構成、どの書類に書く必要があるのか、請求書への書き方と記載例、登録日前後の取引の扱い、番号を間違えたときや未登録の場合の対応、自社・取引先の登録番号を確認する方法まで解説します。
インボイスの登録番号について、先に要点をまとめます。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 登録番号とは | 適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者に通知される番号。「T」+13桁の数字で構成される |
| 請求書に書く必要があるか | 請求書を適格請求書として交付するなら必須。登録番号を含む6つの記載事項を満たす必要がある |
| どこに書くか | 法律上の位置指定はない。発行者の氏名・名称の近くに記載するのが一般的 |
| 納品書・見積書にも必要か | 適格請求書として扱う書類に必要。請求書だけで要件を満たすなら、納品書や見積書への記載義務はない |
| 登録していない場合は | 登録番号はない。適格請求書と誤認されるおそれのある偽の番号等を記載して交付すると罰則の対象になる |
登録番号は、ローマ字の大文字「T」と13桁の数字で構成されます。
| 事業者の区分 | 登録番号の構成 | 例 |
|---|---|---|
| 法人番号を持つ法人 | T+法人番号13桁 | 法人番号が1234567890123なら T1234567890123 |
| 個人事業主 | T+新たに割り振られる13桁 | T9876543210987など |
| 法人番号を持たない人格のない社団等 | T+新たに割り振られる13桁 | 法人番号・マイナンバーとは異なる番号 |
個人事業主の登録番号にマイナンバーは使用されません。請求書へマイナンバーを書くこともありませんので、登録番号と混同しないようにしてください。
法人の場合、登録を受けたときの番号は「T+法人番号」になります。ただし、法人番号が分かっただけでは、その法人が適格請求書発行事業者として登録済みかどうかまでは分かりません。
最終的な登録状況は、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確認してください。
登録番号をすべての取引書類に記載する必要はありません。
どの書類を適格請求書として交付するのかを決め、その書類全体で必要な記載事項を満たせばよい仕組みです。
| 書類 | 登録番号 | 補足 |
|---|---|---|
| 請求書 (インボイスとして交付する場合) |
必要 | 登録番号のほか、取引年月日や消費税額等などの記載事項を満たす必要がある |
| 納品書 | 請求書だけで要件を満たすなら不要 | 納品書をインボイスとして扱う場合は必要。請求書と納品書を組み合わせて記載事項を満たすこともできる |
| 領収書・レシート | インボイスとして交付するなら必要 | 一定の事業者は適格簡易請求書として交付できる |
| 見積書・発注書 | 原則不要 | 任意で記載して、取引先が登録済みであることを事前確認しやすくすることは可能 |
| 契約書 | 通常は任意 | 口座振替など請求書が毎回発行されない継続取引では、契約書に登録番号等を記載して通帳等と組み合わせる方法がある |
| 仕入明細書・支払通知書 | 売手の登録番号が必要 | 買手が作成して売手の確認を受けることで、仕入税額控除のための請求書等として利用できる |
請求書へ登録番号を書いただけでは、適格請求書にはなりません。
通常の適格請求書では、次の6つの事項を満たす必要があります。
| 記載事項 | 記載例 | ポイント |
|---|---|---|
| ①発行者の氏名または名称・登録番号 | 株式会社サンプル商事 登録番号 T1234567890123 |
登録番号を正確に記載する |
| ②取引年月日 | 2026年10月15日 または2026年10月1日〜31日 |
一定期間分をまとめる場合は対象期間でも可 |
| ③取引内容 (軽減税率対象の場合はその旨) |
商品A ※ | ※は軽減税率対象などと注記する |
| ④税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率 | 10%対象 110,000円 8%対象 54,000円 |
税込・税抜どちらでも可 |
| ⑤税率ごとに区分した消費税額等 | 10%対象 消費税 10,000円 8%対象 消費税 4,000円 |
端数処理は税率ごとに1回 |
| ⑥書類の交付を受ける事業者の氏名または名称 | 〇〇株式会社 御中 | 適格簡易請求書では省略可能 |
登録番号を請求書のどこへ書くかについて、法律上の位置指定はありません。
取引先が見つけやすいように、社名・住所・電話番号などを記載する発行者欄の近くへ配置するのが一般的です。
請求書
請求書番号:2026-1015-001
発行日:2026年10月31日
〇〇株式会社 御中
件名:10月分 商品代金
取引年月日:2026年10月1日〜10月31日
商品A ※ 50,000円
商品B 100,000円
8%対象 54,000円(税込) うち消費税4,000円
10%対象 110,000円(税込) うち消費税10,000円
合計 164,000円
お支払期限:2026年11月30日
振込先:〇〇銀行 〇〇支店 普通 1234567
カ)サンプルショウジ
発行者:株式会社サンプル商事
登録番号:T1234567890123
東京都〇〇区〇〇1-2-3 TEL 03-0000-0000
※は軽減税率(8%)対象品目
請求書発行システムを使っている場合は、事業者情報の設定画面へ登録番号を登録しておけば、請求書へ自動表示できるものが一般的です。
Excelなどのテンプレートを使う場合は、発行者情報の近くに「登録番号:T1234567890123」の欄を設けておきましょう。
小売業、飲食店業、タクシー業、駐車場業など、不特定多数の者に対して販売等を行う一定の事業者は、領収書やレシートを適格簡易請求書として交付できます。
適格簡易請求書では、通常の適格請求書と比べて次のように記載事項を簡略化できます。
宛名(交付を受ける事業者の氏名・名称)を省略できる
「税率ごとに区分した消費税額等」または「適用税率」のいずれか一方でよい
登録番号は適格簡易請求書でも必要
適格請求書では、消費税額等の1円未満の端数処理は、1枚の適格請求書につき税率ごとに1回行います。
明細行ごとに消費税額を計算・端数処理し、それらを積み上げて適格請求書の消費税額とすることは認められていません。
切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれを採用するかは事業者が選択できます。
適格請求書発行事業者の登録は、税務署から通知が届いた日ではなく「登録日」から効力が生じます。
そのため、登録日以後に行った課税取引について適格請求書を交付できます。一方、登録日より前に行った取引は、その後登録番号が通知されても、適格請求書の対象にはなりません。
| 取引日 | 登録日が10月15日の場合 | 扱い |
|---|---|---|
| 10月1日〜14日の取引 | 登録日前 | 適格請求書の対象外 |
| 10月15日以後の取引 | 登録日以後 | 適格請求書を交付できる |
1か月分をまとめて請求しており、その途中に登録日がある場合は、登録日前と登録日以後の取引を区分して、取引先がどの部分について仕入税額控除できるのか分かるようにしておきましょう。
登録の効力は登録日から生じるため、登録日から登録通知を受け取るまでの間にも適格請求書の交付義務は生じます。
ただし、通知前は登録番号を把握できていないため、通常の請求書を先に交付するケースがあります。
その場合は、登録通知を受けた後に次のいずれかの方法で対応できます。
登録番号などの必要事項を記載した適格請求書を改めて交付する
先に交付した請求書との関連性を明確にしたうえで、不足していた登録番号等を別途書面・メールなどで通知する
交付した適格請求書の登録番号に誤りがあった場合、発行側は修正した適格請求書を交付します。
修正方法は主に2つあります。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 請求書全体を再交付 | 正しい登録番号を含め、適格請求書のすべての記載事項を改めて記載した書類を交付する |
| 修正事項だけを通知 | 元の請求書との関連性を明確にし、「登録番号を〇〇へ修正する」など修正事項を明示した書類を交付する |
買手側が受け取った請求書へ、自分で正しい登録番号を書き足すことはできません。登録番号の誤りを見つけた場合は、発行者へ修正を依頼してください。
適格請求書発行事業者ではない事業者が、適格請求書や適格簡易請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類を交付することは禁止されています。
たとえば、他人の登録番号を記載したり、「T+13桁」の形式に似せた架空の番号を記載して適格請求書であるかのように交付したりする行為が問題になります。
違反した場合は、消費税法57条の5・65条により、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となります。
適格請求書発行事業者として登録していない事業者には、インボイス登録番号がありません。
ただし、未登録であっても通常の請求書や領収書を発行することはできます。また、消費税相当額を価格へ上乗せしたり、請求書へ消費税相当額を記載したりすることも禁止されていません。
書いてはいけないのは、登録番号や、適格請求書であると誤認されるおそれのある表示です。
自社の登録番号は、税務署から通知される「適格請求書発行事業者の登録通知書」で確認できます。
登録通知書は原則として再発行されないため、通知を受け取ったら大切に保存してください。
| 確認方法 | 内容 |
|---|---|
| 登録通知書(書面) | 書面で通知を受けた場合は登録番号を確認できる。原則再発行されないため、スキャン等でバックアップしておくと安心 |
| e-Taxの電子通知 | e-Taxで電子通知を希望した場合は、通知書等一覧などから登録通知データを確認・保存できる |
| 法人番号から確認 (法人) |
登録を受けた法人の番号は「T+法人番号」。法人番号公表サイトで法人番号を確認し、公表サイトで登録済みかを確認する |
| 適格請求書発行事業者公表サイト | 登録番号が分かっている場合、登録年月日や取消・失効年月日などの公表情報を確認できる |
個人事業主の場合は法人番号から登録番号を導けないため、登録通知書やe-Taxの通知データを必ず保存しておきましょう。
登録番号が分からなくなった場合は、所轄税務署や各国税局のインボイス登録センターへ確認します。
買手側で請求書を受け取ったら、記載された登録番号が取引時点で有効だったかを確認します。
国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」では、登録番号を入力することで、登録事業者の氏名・名称、登録年月日、登録取消年月日・失効年月日などを確認できます。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 公表サイトは登録番号から検索する | 検索画面では「T」を除く13桁の数字を入力する。会社名・氏名をキーに直接検索する機能ではない |
| 法人は法人番号から候補を確認できる | 法人番号公表サイトで社名から法人番号を調べ、「T+法人番号」を公表サイトへ入力し、実際にインボイス登録済みか確認する |
| 個人事業主は本人から番号を確認するのが基本 | 公表サイトでは氏名から番号を逆引きできない。請求書・契約書等で登録番号を確認し、その番号を公表サイトで照合する |
| 登録年月日を確認する | 取引日が登録年月日より前なら、その取引を適格請求書による仕入税額控除の対象にはできない |
| 取消・失効年月日も確認する | 過去に登録済みでも、取引時点で登録が取り消されている・失効している場合がある |
取引先が数社程度であれば、公表サイトで1件ずつ確認する方法で対応できます。
一方、数十社・数百社の登録番号を継続的に確認する場合は、国税庁が提供する全件データやWeb-APIを利用すると効率的です。
| 確認方法 | 向いている件数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 公表サイト | 少数の取引先 | ブラウザですぐ確認できる。複数番号もまとめて検索可能 |
| 全件データ | 数十〜数百社程度 | CSV・XML・JSON形式等で取得し、自社の取引先マスタと照合できる |
| Web-API | 大量・継続的な照合 | 自社システム等から登録情報を取得し、取消・失効確認などを自動化しやすい |
法律上の位置指定はありません。
取引先が確認しやすいように、請求書の発行者名・住所・電話番号の近くへ「登録番号:T1234567890123」のように記載するのが一般的です。
登録日以後の取引であれば、登録通知を受け取った後に不足していた登録番号等を取引先へ通知することで対応できます。
すでに請求書を交付している場合は、登録番号等を記載した適格請求書を改めて交付する方法のほか、元の請求書との関連性が分かる状態で不足事項だけをメールや書面で通知する方法もあります。
一方、登録日より前の取引は、登録通知後であっても適格請求書の対象にはなりません。
必要です。
適格請求書の記載要件は、紙か電子データかによって変わりません。電子請求書でも登録番号を含む必要事項を満たします。
電子データとして交付・受領した請求書については、電子帳簿保存法の電子取引データ保存にも対応してください。
関係ありません。
個人事業主のインボイス登録番号には、マイナンバーや法人番号と重複しない13桁の数字が新たに割り振られます。
マイナンバーはインボイスの登録番号ではなく、請求書へ記載する番号でもありません。
いいえ。
法人が適格請求書発行事業者として登録した場合の登録番号は「T+法人番号」ですが、法人番号を持っていることと、インボイス登録を受けていることは別です。
法人番号を確認した後、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトへ入力し、登録年月日や取消・失効の有無まで確認してください。
インボイスの登録番号は「T+13桁」で構成されます。法人番号を持つ法人はT+法人番号、個人事業主などにはマイナンバーや法人番号と重複しない13桁の数字が割り振られます。
請求書を適格請求書として交付する場合は、登録番号だけでなく、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額等、書類の交付を受ける事業者の氏名・名称などの要件も満たす必要があります。
また、適格請求書を交付できるのは登録日以後の取引です。登録通知が届く前に交付した請求書については、登録日以後の取引であれば、通知後に登録番号等を追加で伝えることで対応できます。
番号を間違えた場合は発行者が修正インボイスを交付し、買手側で勝手に修正しないようにしてください。未登録事業者が適格請求書と誤認されるような番号等を記載することも禁止されています。
自社の登録番号は登録通知書やe-Taxで確認し、取引先から提示された登録番号については国税庁の公表サイトで登録年月日・取消・失効まで確認する運用を整えておきましょう。