更新日:2024.12.28
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インボイス制度は基本的には日本国内での消費税のルールを定めたものであるため、海外企業との場面で英語のインボイス対応をする機会は多くありません。しかし、取引によっては英語でインボイスを作成しなければならない状況もあるため、作成方法を知っておいたほうがいざという時に対応できます。
本記事では、インボイス(invoice)の意味について、英語版作成のポイントとあわせて解説します。
インボイス制度で使われる「invoice(インボイス)」は英語で請求書を指す言葉であり、ほかにも以下のような意味があります。
また、「bill(ビル)」や「check(チェック)」などで表現される場合もあります。会話のニュアンスや会話をする地域によっても使用すべき単語が異なるため注意が必要です。
インボイス制度とは、2023年10月1日から導入された消費税にかかわる制度で、インボイス(適格請求書)での消費税の計算方法や保存方法などが定められています。このインボイスは、英語でも発行することが可能です。
ただし、日本のインボイス制度の対象は国内のため、国外の事業者との輸入取引などでインボイスを発行する際には、消費税の納付は不要です。
なお、インボイス制度におけるインボイスは「適格請求書」を指します。インボイスは請求書以外でも問題はなく、納品書や領収書などの請求に関する書類もインボイスとして扱えます。
英語でインボイスを書く場合、日本語の項目を英語にする他にもいくつか注意しなければならない点があります。英語版のインボイスのサンプルは、以下のとおりです。
ここでは、サンプルに記載されている①〜⑫の項目をそれぞれ解説します。
タイトルである請求書を表す「INVOICE」を、この書類の種類がひと目でわかるように、書類の上部に大きく、目立つように配置します。また、請求書のタイトルを大文字で記載するかどうかは取引先ごとに異なるため、作成する前に確認しておくようにしましょう。
請求書を発行した日付を載せます。日本語と英語では、年月日の順番が以下のように異なります。
日本語 |
2024年12月10日(年/月/日の順番) |
アメリカ英語 |
12/10/2024(月/日/年の順番) |
イギリス英語 |
10/12/2024(日/月/年の順番) |
また、言語ごとに日付の記載する順番が異なるため、作成の際には注意しましょう。
自社で管理がしやすいように、請求書番号を載せておきましょう。番号を振ることで、請求先から問い合わせがあった場合も対応がしやすいです。
また、Invoice Noは「Invoice#」と省略できます。フォーマットにあわせて表記を決めておくとよいでしょう。
請求先である買い手の事業者名を記載します。記載する際には相手から送信されたメールや相手の公式ページなどを確認して、間違いのないようにしましょう。
もし、商品の発送が必要であれば、送付先(Ship to)も載せておきましょう。
請求者の以下の情報を載せます。
買い手が請求書に関して問い合わせたいことがあった場合に、すぐに連絡できるように自社名の下に住所や担当者名の連絡先を記載しておくとよいでしょう。
また、英語で住所を記載する場合は、以下のように記載します。
さらに、会社の意味を持つ英語は複数存在します。ビジネスの場面で主に使われる英語は、以下のとおりです。
英語 |
意味 |
Corporation |
(大企業の)株式会社 |
Incorporated |
法人化されている会社 |
Company |
日本語の「会社」に近い一般的な会社 |
Limited |
(中小企業の)株式会社 |
自社の企業名がどれに当てはまるのか、確認してから記載するようにしましょう。
請求者の情報と一緒に、インボイス発行事業者に交付される登録番号を記載します。ただし、国外との取引などの、消費税の納付がない場合は不要です。
請求の明細には、以下の項目を入れます。
数量の項目は、商品の場合はQuantity(数量)、サービスの場合はHourly rate(時間単価)とします。
また、軽減税率の項目がある場合は、商品・サービスの名前の末尾に「*」をつけて軽減税率の対象品目である旨(「Items subject to reduced tax rate」など)を追記しましょう。ただし、消費税の納付がない取引の場合は、軽減税率の区別がないため、追記は不要です。
取引の対象となる商品・サービスの小計(Sub total)だけではなく、運賃(Freight cost/Shipping cost)などを含む合計金額(Grand total)を記載します。また、適格請求書で必要な適用税率ごとに合計した金額は、標準税率と軽減税率で区別して、それぞれの合計金額を税込または税抜で記載します。
ただし、消費税の納付がない場合は、区別は必要ありません。
消費税の納付がある取引の場合は、標準税率と軽減税率を区別して、それぞれの消費税額を載せましょう。例は以下のとおりです。
ただし、こちらも⑦や⑧と同じように、国外取引などの場合は不要です。
商品やサービスの代金の支払期限を載せます。支払期限は「Due date」として、請求書の発行日と同じ順番で記載しましょう。
振込先情報は、銀行振込の場合は、以下の項目を記載します。
また、相手に振込手数料を負担してもらう場合は「Note : Buyer must cover bank transfer fee.(振込手数料は貴社にてご負担ください。)」と振込先情報の下部に追記しましょう。
請求書を英語で作る際は、以下の文章を末尾に記載するのがおすすめです。
(ご利用いただきありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。)
相手に丁寧な印象を与えられるため、入れましょう。
日本語でインボイスを作成する場合と異なり、英語でインボイスを作成する際には注意すべきことがあります。取引先に失礼がなく、かつ迷惑をかけないために、作成時には注意しましょう。
ここでは、英語でインボイスを書く際におさえておきたいポイントについて、解説します。
インボイス制度では、押印やサインは必要ありません。ただし、これらはビジネスマナーでもあるため、事前に要望があれば対応するようにしましょう。
押印やサインに関しては、国内・国外にかかわらず、取引先との事前の打ち合わせで決めておくことで、実際の取引をスムーズに進められます。
テンプレートを準備しておくことで、作成にかかる時間を短縮したり、記入ミスを防いだりできます。また、多くの会計ソフトでは、英語版のインボイスのテンプレートを提供しています。
もし取引が継続的に発生するならば、顧客の情報もテンプレート化しておきましょう。顧客ごとにテンプレートを準備することで、請求書の作成や発行がより効率的にできます。
本記事では、インボイス(invoice)の意味について、英語版作成のポイントとあわせて解説しました。
基本的に、インボイス制度は日本国内の制度です。一方で、取引先の方が外国籍であった場合は、英語で取引をおこなう可能性もあります。
したがって、そのような状況の際にスムーズな対応ができるように、テンプレートの準備や社内ルールの共有などをしておきましょう。