更新日:2024.07.31
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取引先との金銭のやりとりに欠かせない請求書。請求書を送るタイミングはいつが正解なのでしょうか? 起業したて、独立したての人の中で、請求書を送るタイミングがわからないという方は多いのではないでしょうか。
適切なタイミングで発行しないと、支払いが遅れたり、取引先に不信感を与えかねません。
本記事では、請求書発行のベストタイミングや締め日を過ぎた時の対応方法、そしてインボイス制度への対応など、請求書に関するあらゆる疑問を解消します。
請求書の発行の流れから送付のタイミング、発行で気をつけるべきポイントについて幅広くご紹介します。
▼この記事の内容
起業・独立したての方や、これから独立したいと考えている方、経理初心者の方はぜひ最後までご覧ください。
請求書は、商品やサービスの納品の完了後、お客様に提出する重要な書類です。スムーズな取引のためには、正しい手順と内容を理解しておく必要があります。ここでは、請求書発行の基本的な流れを3つのステップに分けて解説します。
▼請求書の発行の流れ
それでは、それぞれの流れについて見ていきましょう。
まずは、取引内容の確認と請求金額の確認を行いましょう。
請求書には、商品名やサービス名、内容、数量、単価、消費税など書かなければならない項目が多くあります。それら全てに間違いがないかしっかり確認することが重要です。
取引先と事前に契約書を交わしていたり、見積書を発行していたりする場合は、それらの書類と照らし合わせて請求書に間違いが無いか確認することもおすすめです。請求金額についても取引先と認識の齟齬が無いように確認しておくようにしましょう。
また、インボイスに登録している場合は適格請求書発行事業者の登録番号を記載する必要がありますので、事前に番号を確認しておくことも必要です。
続いて、請求書の作成を行いましょう。請求金額が確定し、記載する項目が確認できたら請求書を作成します。
請求書には、必ず以下の項目を記載するようにしましょう。
項目 |
内容 |
請求書発行日 |
請求書を発行した日付を記載します。 |
請求書番号 |
請求書に記載する通し番号です。 |
顧客名 |
請求する相手方の氏名または名称と、その事業所(住所)を記載します。 |
請求金額 |
請求する金額を記載します。 |
消費税額等 |
請求する代金のうち、課税資産の譲渡等に係る部分の金額と、その金額に対する消費税額等を区分して記載します。 |
請求内訳 |
請求する代金の内訳を記載します。 |
支払期限 |
請求金額の支払期限を記載します。 |
振込先情報 |
請求金額の振込先情報を記載します。 |
その他必要な情報 |
例えば、工事内容、担当者名など、取引内容を明確にするために必要な情報を記載します。 |
事前に上記の項目を記載できる欄を備えたフォーマットを用意しておき、即座に請求書が作成できるように準備しておくことをおすすめします。
請求書が完成したら、先方に送付します。送付方法は、郵送、メール、FAXなど、お客様との間で事前に合意した方法で行います。メールで送付する場合は、PDFなどの形式で添付するのが一般的です。
近年では、ChatWorkやSlackなどのコミュニケーションツールで送る場合も増えてきているため、柔軟に対応できるよう準備しておきましょう。
発行の流れを確認したら、請求書の送るタイミングも合わせて確認しましょう。
ここからは、掛売り方式と都度方式の2つに分けて説明します。
まずは、掛売り方式についてです。毎月継続的に取引がある場合や支払いの信用がある取引先の場合は、月末締めで翌月末払いなど一定期間の取引をまとめて請求する「掛売り方式」が一般的です。この場合、請求書の送付は締め日から翌月の上旬までに行いましょう。
しかし、取引先によって経理に関するサイクルは異なります。翌月の上旬までで良い企業もあれば、月末に送らなければならない企業もあるため、必ず取引先に確認するようにしましょう。
続いて、都度方式についてです。
新規の取引先やスポット取引の場合、「都度方式」で取引が発生するたびに請求書を発行するのが一般的です。
請求書の送付は、商品やサービスの納品後、または納品と同時に行うことが多く、納品前に発行することはありません。
事前に用意しておき、送付自体は納品後か納品と同時に行うようにしましょう。
請求書を送るタイミングがわかっても、請求書の発行日をいつにするか悩むという方がいらっしゃるのではないでしょうか。
ここからは、掛売り方式と都度方式に分けて請求書の発行日について説明していきます。
先述した通り、毎月継続的に取引がある場合や支払いの信用がある取引先の場合は、月末締めで翌月末払いなど一定期間の取引をまとめて請求する「掛売り方式」を取ることが多くなっています。
掛売り方式の場合は、請求書の発行日は締め日にすることが一般的です。月末締めの場合は請求書の発行日を月末日に設定し、締め日が他に指定されている場合は顧客に合わせて発行日を指定するようにしましょう。
こちらも先述した通り、新規の取引先やスポット取引の場合、「都度方式」で取引が発生するたびに請求書を発行することが多くなっています。
都度方式の場合は、請求書の発行日は納品日にするのが一般的です。
前金や内金を受け取っている場合は、その受け取り日を発行日とすることもあるため状況に応じて対応するようにしましょう。
実際に請求書を発行する際に、気をつけるべきポイントを事前に押さえておきましょう。
ここからは、以下の4つのポイントについて解説します。
▼請求書の発行で気をつけるべきポイント
それでは、それぞれのポイントについて見ていきましょう。
請求書は、支払期限の1週間から10日前までに送付するのが理想的です。遅れると、お客様の支払いが遅れる原因になる可能性があります。
早めの請求書発行は、お客様への支払い意識を高める効果もあります。また、万が一、請求書に誤りがあった場合でも、修正する時間を確保することができます。
発行した請求書は、税務調査などの際に必要になるため、必ず保存しておきましょう。紙媒体で保存する場合は、ファイリングして整理しておくことが大切です。電子データで保存する場合は、バックアップを取っておくことをおすすめします。
請求書の保存期間は、法律で定められています。個人事業主の場合は7年間、法人の場合は10年間保存することが義務付けられています。
請求書には、法律で定められた必須項目があります。これらの項目が漏れていると、税務上問題になる可能性があるため、必ず確認しましょう。
必須項目は、請求書発行日、請求書番号、顧客名、請求金額、消費税額等、請求内訳です。これらの項目が全て記載されているか、発行前に必ず確認するようにしましょう。
2023年10月1日から開始されたインボイス制度に対応しているか確認しましょう。もし登録事業者の場合は、適格請求書発行事業者として登録し、インボイス(適格請求書)を発行する必要があります。
インボイス制度は、消費税の仕入税額控除に関する制度です。適格請求書を発行していない場合、お客様が消費税の仕入税額控除を受けられなくなる可能性があるため、注意が必要です。
請求書の締め日を過ぎてしまった場合、焦らず落ち着いて対処することが重要です。ここでは、締め日を過ぎてしまった際の対応方法を4つのステップに分けて解説します。
まずは、締め日を過ぎてしまった理由を特定します。請求書の発行忘れやシステムのトラブル、取引先との締め日の認識違いなど、様々な原因が考えられます。まずは、なぜ締め日を過ぎてしまったのか、その原因を特定することが重要です。
原因を特定することで、再発防止策を講じることができます。例えば、請求書発行のスケジュール管理を徹底したり、請求書発行システムを導入したりすることで、締め日を過ぎてしまうリスクを軽減することができます。
締め日を過ぎてしまったことを、取引先に速やかに連絡します。連絡方法は、電話やメールなど、状況に応じて適切な方法を選びましょう。連絡する際には、
といった内容を伝え、今後の対応について説明することが重要です。
取引先によっては、締め日を過ぎてしまったことに対して厳しい反応を示す場合もあるかもしれません。しかし、誠意を持って対応することで、信頼関係を維持することができます。
締め日を過ぎてしまった取引については、請求書を再発行するか、追加発行する必要があります。
元の請求書を破棄し、新しい請求書を発行します。
再発行する請求書には、新しい請求書番号と発行日を記載し、締め日以降の取引内容を含めないように注意しましょう。
締め日以降の取引内容を記載した請求書を作成します。
追加発行する請求書には、元の請求書とは異なる請求書番号と発行日を記載し、締め日以降の取引内容のみを記載するように注意しましょう。
再発行または追加発行した請求書には、新しい支払期限を設定します。
新しい支払期限は、取引先と相談の上、双方にとって無理のない期日を設定することが大切です。支払期限を過ぎたことによるペナルティが発生する場合には、その旨も合わせて取引先に伝えましょう。
支払期限の設定は、今後の取引にも影響を与える可能性があるため、慎重に行う必要があります。取引先との信頼関係を維持するためにも、誠実な対応を心がけましょう。
今回の記事では、請求書を送るタイミングや請求書の発行日、請求書の発行で気をつけるべきポイントをご説明しました。
請求書の送付日や発行日は掛売り方式か都度方式かによっても異なります。取引先の支払いサイクル次第でも変わる可能性があるため、必ず事前に取引先に確認するようにしましょう。
また、インボイス制度によって請求書の記載事項も変わってきています。ご自分が請求書に記載すべき項目もしっかり確認し、適切な請求書を発行できるようにしておきましょう。