更新日:2024.12.27
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手元に届くタイミングを過ぎても請求書の交付がない場合、請求書発行の依頼メールを送るケースがあります。しかし、依頼メールに取引先へ失礼な内容を送付してしまうと、関係性が悪化するリスクがあります。
このような事態を避けるために、経理担当者それぞれが適切な依頼メールの項目や例文を知っておくことが大切です。
本記事では、請求書発行の依頼メールの書き方について、依頼する理由や依頼方法を交えて解説します。
請求書は取引が完成した際の対価の支払いを求める大切な書類です。ほかにも商慣習上で作成を依頼する理由があり、経理担当者としては知っておきたい常識となります。
ここでは、請求書発行の依頼をする3つの理由を紹介します。
請求書には取引に関するあらゆる情報が記されています。実際、経理業務や確定申告、決算処理の際は、請求書の情報をもとに手続きをおこなうことも多いです。
そのため、請求書がない場合、取引の証拠を残せず、各種業務や手続きが難しくなります。また後日、取引内容を再確認する際にも使用することもあります。
請求書は取引の支払いや入金状況などの経理関係の確認・対応をする際に必要です。しかし、請求書がない場合、どのような取引に対して、どのくらいの金額を支払う・受け取れば良いのかもわからず、経理業務に支障をきたします。
自社や取引先の経理業務がスムーズに進めるためにも、請求書は大切な書類といえるでしょう。
取引において、入金は請求書の情報をもとにおこなわなければいけません。したがって、請求書を速やかに発行してもらうことで、早いタイミングでの入金ができ、取引をスムーズに終了させられます。
請求書がない場合、取引や金額の確認もできないため、入金までの対応も遅くなってしまいます。
請求書発行の依頼方法は、取引の当事者間で決めても問題ありません。一般的には、メール・電話・書面で対応しますが、それぞれで特徴や注意すべき点があります。
ここでは、請求書発行の依頼をする方法を紹介します。
もっともスムーズ、かつ確実に請求書の依頼ができる方法がメールです。
メールでは送付した文面が電子データとして残るため、お互いの伝達ミスを大幅に下げられます。また、請求書が発行されていない場合のリマインドも簡単におこなえ、経理担当者の負担も大きくありません。
なお、メールの文章については「【3パターンに対応】メールで請求書依頼を送るときの例文」の章で解説しています。
請求書の依頼において、電話ではメールや書面を作成する手間が省ける点でよく利用される方法です。
電話であれば、相手へ直接的に依頼できるため、スピード感のある対応ができます。しかし、伝達ミスやお互いの認識が相違しやすい方法でもあることから、メモや録音などの対策が必要です。
請求書は郵送やFAXなどの書面による依頼も可能です。依頼文が書類として残ることから、取引先へ届いていれば、依頼した根拠としても残せます。
しかし、郵送やFAXで送ると、郵送コストや印刷コストがかかるうえ、誰が受け取るのかわかりません。伝えたい人に書面が届かない恐れがあるので注意しましょう。
請求書発行の依頼メールで記載ミスや失礼があった場合にトラブルに発展しかねません。そのため、基本的なビジネスマナーとして、どのような項目が必要で、どのような文章が良いのかを知っておく必要があります。
ここでは、請求書発行の依頼メールに書くべき項目と記載内容を紹介します。
件名は送付したメールがどのような内容のメールであるのかを簡潔に伝える役割があります。そのため、件名はシンプルにまとめることが重要です。
たとえば、以下のような件名に設定することで、取引先が見てもすぐに内容が理解できます。
所属と名前が明記されていないと、誰に当てたメールなのかわかりません。そのため、本文の頭には相手の所属と名前を記載しましょう。
所属は、最低でも会社名、可能であれば部署名も記載してください。担当者の氏名は、敬称をつけるのを忘れないようにしましょう。
取引を長期間続けている相手ほど、請求書をやり取りする回数は多くなります。また、同時進行で複数の取引をおこなうこともあるかもしれません。複数の取引があった場合、取引先が別の取引の請求と勘違いをする可能性もあります。
このような事態を避けるため、メールの文面には取引の日付や対象となる取引を明記してください。
請求書の発行が遅れた場合、入金するタイミングも遅れる可能性が高くなります。そのため、「発行が遅れた場合には、入金も遅れる」旨を伝えておくことで、トラブルを未然に防げます。
仮に、入金のタイミングが期限内に済む見込みでも、万が一のときのために入金が遅れることを伝えておくと安心です。
メールは送信してから相手が確認するまで、数分から数日の差が生じる可能性があります。この間に相手が請求書を発行してしまうと、依頼メールと請求書が行き違いになり、混乱の原因になります。取引相手によっては、不快な思いをするかもしれません。
このような問題を発生させないためにも、事前に行き違いの可能性があることを必ず伝えておきましょう。
請求書発行の依頼メールは、取引先との大切な連絡であることから、最低限のビジネスマナーを心得ておく必要があります。経理のことであっても、あくまでも取引先は「お客さま」であることを忘れてはなりません。
ここでは、請求書の依頼メールの書き方・ポイントを解説します。
受領の報告をすることで、請求書が正確に送付されたことを伝えられるだけでなく、良識があるという印象を与えられます。
受領の報告は長文である必要はなく、請求書を受け取ったことを取引先が理解できる内容で十分です。
短い文章は伝えたいことをシンプルに伝えられるため、相手にとって読みやすい印象を与えます。一方で、長文では要点が相手に伝わりづらく、混乱を招きかねません。
そのため、文章を作成した場合、読み直して不必要な情報や重複している情報がないか確認しましょう。上長や同僚に確認してもらうのも1つの方法です。
依頼メールに挑発的な内容や恐喝的な内容を記載すると、取引先からの信用を失ってしまいます。相手もあくまでも「人間」であることを理解し、配慮ある柔らかい言葉遣いで本文を記載するようにしましょう。
最後に、メールで請求書依頼を送るときの例文を紹介します。必要に応じて、コピーして利用してください。
初めて請求書の発行依頼をするときは、悪い印象を与えないように、できるだけ丁寧な文章を心がけるようにしましょう。
たとえば、以下のような文面だと相手に対して丁寧な印象を与えられます。
件名:【発行依頼】4月分請求書 |
株式会社◯◯◯◯◯ 商品開発部 部長 △△△さま お世話になっております。 ◯◯◯◯◯株式会社の△△△です。 この度は、弊社とお取引いただき、誠にありがとうございました。 本件について、1点確認させていただきたい点がございます。 4月14日におこなわれた取引の請求書の到着が確認できておりません。 お手数ですが、貴社で一度確認していただきたく存じます。 また、弊社の事務処理の関係で恐れ入りますが、請求書の交付日によっては入金が遅れる可能性がございますのでご了承ください。 なお、本メールと請求書に行き違いがございましたら、ご容赦いただけますと幸いです。 今後とも◯◯◯◯◯株式会社をよろしくお願い申し上げます。 ◯◯◯◯◯株式会社 △△△ |
請求書を再発行してもらうときは、「なぜ再発行してもらいたいのか」という理由を明記することが重要です。
たとえば、最初の請求書に記載ミスがあった場合、以下のような文章が適しています。
件名:10月分の請求書について 再発行のお願い |
◯◯◯◯◯株式会社 経理部 △△△さま お世話になっております。 株式会社◯◯◯◯◯の△△△です。 この度、貴社より発行していただいた請求書を確認していたところ、10月4日分の請求書の金額に誤りがございました。 誤:108,000円 正:100,000円 つきましては、請求書の再発行をお願いしたく存じます。 お手数をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。 株式会社◯◯◯◯◯ △△△ |
お得意様に対して発行を依頼するときは、これからも取引を続ける前提で文章を作りましょう。普段の取引に感謝を述べつつ、発行依頼をすることが求められます。
例文は、以下のとおりです。
件名:3月の請求書の発行をお願いします |
株式会社◯◯◯◯◯ IT・デジタル戦略部 △△△さま 平素よりお世話になっております。 株式会社◯◯◯◯◯ 経理部の△△△です。 3月分の請求書について、1点確認がございます。 毎月15日にいただいている請求書ですが、3月分の請求書がまだ確認できておりません。 お手数をおかけしますが、ご確認をお願いいたします。 なお、本メールと請求書に行き違いがございましたら、何卒ご容赦ください。 これからも株式会社◯◯◯◯◯をよろしくお願いいたします。 株式会社◯◯◯◯◯ △△△ |
本記事では、請求書発行の依頼メールの書き方について、依頼する理由や依頼方法を交えて解説しました。
請求書発行の依頼はメールを用いて取引先との直接的なやり取りをおこなうことから、経理担当者としてビジネスマナーや請求書のルールを最低限理解しておく必要があります。また、取引先とスムーズにコミュニケーションを図るために「配慮のある言葉遣い」や「わかりやすい表現」を心得ておきましょう。