更新日:2024.11.29
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初めて請求書を作成する場合、どのような項目を書く必要があるのかわからない方も多いのではないでしょうか。
請求書には必ず書くべきものと、取引を円滑に進めるために記載しておくとよい項目があります。また、インボイスに登録しているかどうかでも書く項目が変わるため注意が必要です。
本記事では請求書に書くべき項目名の一覧と、記載例を解説します。正しい書き方を理解して、請求書の作成をスムーズに進めましょう。
請求書の項目とは、取引先情報や発行者情報、取引金額などを指しています。
項目には必須のものと、任意のものがあり、インボイス登録者かそうでないかでも記載する内容が変わります。
請求書に必ず記載すべき項目は下記の5つです。
誰がどこと何の取引を行ったのかを明確にするために、必須事項を記載しましょう。
それぞれの項目について解説します。
どこの取引先に送る請求書かを判別できるように、請求書には取引先名を記載します。
法人の場合 |
個人の場合 |
〇〇〇株式会社 御中 |
請求 太郎 様 |
法人の場合は「御中」、個人名の場合は「様」をつけましょう。
発行者情報とは、請求書を発行する会社、または個人事業主の名前のことです。会社の場合は「株式会社〇〇」のように正式名称を記載します。個人事業主の場合は、氏名の他に屋号を記載することもあります。
法人の場合 |
個人の場合 |
〇〇〇株式会社 〒123-4567 東京都渋谷区〇〇〇 090-1234-5678 |
請求 太郎 〒123-4567 東京都渋谷区〇〇〇 090-1234-5678 |
名前・名称は記載が必要ですが、住所や電話番号などはなくても問題ありません。ただし、住所や電話番号、部署名などがあると、取引先が何か問い合わせをしたいときに便利なため、可能であれば記載しておくとよいでしょう。
発行日とは、請求書を発行した日付のことです。発行日を記載することで、相手にいつ支払義務が発生したのかを明確に示すことができます。
発行日 |
2024年11月30日 |
通常、発行日は請求書の右上に記載します。実際に請求書を作成した日ではなく、取引先の会計締め日に合わせた日付を記載することが一般的です。そのため、発行日をいつに設定するかは事前に取引先とすり合わせておきましょう。
請求書には、取引内容を具体的に記載する必要があります。商品名や内容・単価・数量・取引年月日などを明確に書きましょう。
また、複数の請求を1枚の請求書にまとめる場合、それぞれ別々に記載する必要があります。また、品目・名目が同じでも、取引年月日が違う場合は複数行に分けて記載します。
取引年月日 |
品目(名目) |
単価 |
数量 |
2024年11月5日 |
Webサイト制作費用 |
50,000円 |
1 |
2024年11月15日 |
業務委託費 |
1,500円 |
20 |
品目・名目の書き方に明確なルールはありません。請求書の発行者と受領者の両方が内容を理解できるように記載しましょう。
取引の合計金額を税込で記載します。
金額 |
55,000円(または¥55,000) |
金額の単位は「円」と「¥」のどちらを使用しても問題ありません。ただし、請求書全体で表記をそろえるようにしましょう。
請求書には、必須項目以外にも記載しておくと便利な項目があります。具体的にどのような項目を記載すればいいのか、例を挙げながら見ていきましょう。
請求書を作成する際は、用紙の上部中央、または左上に「請求書」または「ご請求書」と大きめの文字で書きましょう。
例 |
請求書、ご請求書 |
もし、請求書と記載されていないと、他の書類と間違えてしまう可能性があります。受け取った方が一目で請求書だとわかるように、タイトルを記載しておきましょう。
請求書番号とは、発行した請求書に付ける通し番号のことです。番号を付けることで、請求書を整理・管理しやすくなるメリットがあります。
例 |
請求書番号 20241130-001 |
請求書番号の付け方に決まりはありません。会社名や日付を組み合わせたり、単純に通し番号を振ったりと、管理しやすい方法を採用しましょう。
また、電子帳簿保存法の改正により、2024年1月から電子で請求書のやり取りした場合は、電子データで保存することが完全義務化されました。(※)データ管理を容易にするために、請求書番号を付けておくとよいでしょう。
(※)参照:電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法をご確認ください|国税庁
支払期日とは、請求金額を支払ってもらう期限のことです。請求書に支払期限を明記しておくと、万が一、支払いが遅れた場合でも、支払期日を根拠に督促が可能です。
例えば、「月末締め、翌月末払い」という契約の場合、支払期日は翌月末日になります。
例 |
お支払期限 2024年11月30日 |
未払いや支払いの漏れを防ぐために、支払期限を記載しておきましょう。
請求金額を振り込んでもらう場合は、スムーズに振込作業ができるように口座情報を記載しておくとよいでしょう。
記載する項目は下記を参考にしてください。
銀行コードと支店コードも記載しておくと、相手方が振込手続きをよりスムーズに行うことができるためおすすめです。
例1(法人の場合) |
例2(個人の場合) |
〇〇銀行(1111) 〇〇支店(222) 当座 3333333 カ)〇〇〇オフィス |
〇〇銀行(5555) 〇〇支店(666) 普通 7777777 セイキュウ タロウ |
口座情報に誤りがあると、入金ミスや遅延が起こる原因になるため、ミスがないように注意して記載しましょう。
法律上は、民法の「持参債務の原則」に基づき、支払側が振込手数料を負担することが原則とされています(※)。ただし、取引先との取り決めによっては、請求側が振込手数料を負担する場合もあります。
例1(支払い側負担の場合) |
例2(請求側負担の場合) |
恐れ入りますが、お振込み手数料は御社ご負担にてお願いいたします。 |
振込手数料は弊社が負担いたします。 |
例のように、振込手数料の負担先がわかるような一文を記載しておくと、後々のトラブルを防げるでしょう。
(※)参照:民法 | e-Gov 法令検索
インボイス(適格請求書)を発行する際は、一般的な請求書の項目に加えて、いくつかの必須項目を追加する必要があります。
インボイスの書き方を正しく理解し、適切な請求書を作成をしましょう。
インボイスには、「T」から始まる13桁のインボイス番号を記載します。
例 |
T1234567890123 |
法人の場合、「T」のあとに続く数字は13桁の法人番号です。個人の場合は、事業者ごとに異なる13桁の番号が割り振られます。
軽減税率(8%)が適用される取引の場合は、対象である旨の表記をどこかに付けましょう(※1)。
軽減税率の品目の横に「※」や「☆」などを記載し、記号が軽減税率を示していることをどこかに記載します。
例 |
||
にんじん 1㎏※ 割り箸 1箱 ※印は軽減税率(8%)適用商品 |
軽減税率の対象品目(※2)は、大きく分けて下記の2つです。
ミスが起こらないように、どの商品が軽減税率の対象品目になるかをしっかりと把握しておきましょう。
(※1)参照:よくわかる消費税軽減税率制度|国税庁
(※2)参照:消費税の軽減税率制度|財務省
標準税率(10%)と軽減税率(8%)の商品やサービスを両方提供した場合は、それぞれの税率ごとに価格を分けて記載します。
例 |
10%対象 33,000円 8%対象 32,400円 |
金額は税込・税抜きどちらでも問題ありません。
価格だけでなく、税率ごとの消費税額も分けて記載する必要があります。
例 |
10%対象 33,000円(消費税 3,000 円) 8%対象 32,400円(消費税 2,400 円) |
標準税率(10%)と軽減税率(8%)の両方の税率がある場合は、計算が複雑になるため、間違えないように注意しましょう。
請求書に記載する項目について、必須項目から任意項目まで、具体例を交えて詳しく解説しました。
請求書には、取引先や発行者の情報、取引内容などを正しく記載することが大切です。特に、インボイス制度に対応した請求書を発行する場合は、登録番号や軽減税率など、追加の項目が必要になります。
この記事を参考に、正確な請求書を作成して、ビジネスを円滑に進めていきましょう。