更新日:2026.09.29

ー 目次 ー
「請求書の金額は税込で書かないといけないのか」「税抜で書いて消費税を別に載せてもよいのか」と迷っていませんか。
店頭の値札などに求められる「総額表示」のルールと、請求書に求められる消費税の記載ルールは別のものです。
この記事では、総額表示義務が請求書に適用されるのかという結論から、税込・税抜それぞれの書き方と記載例、インボイス制度で必要な消費税の記載事項と端数処理のルール、よくあるミスまでを解説します。
結論からいうと、事業者間で発行する請求書に、税込金額で表示しなければならない義務はありません。請求書の金額は税込・税抜のどちらで書いても問題ありません。
一方、インボイス制度(適格請求書等保存方式)では、適格請求書に「税率ごとに区分して合計した対価の額」と「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額等」を記載する必要があります。
請求書で守るべきなのは、「必ず税込で書くこと」ではなく、「税率ごとの金額と消費税額がわかるように書くこと」です。
| ルール | 対象 | 請求書への適用 |
|---|---|---|
| 総額表示義務 (消費税法63条) |
事業者が消費者に対してあらかじめ行う値札・チラシ・Webサイトなどの価格表示 | 対象外。見積書・契約書・請求書等には総額表示義務はない |
| 適格請求書の記載事項 | 適格請求書発行事業者が交付する適格請求書 | 税率ごとの対価の額、適用税率、消費税額等などの記載が必要 |
消費税法63条が定める総額表示義務は、事業者が消費者に対して商品やサービスの価格をあらかじめ表示する場合に、消費税額を含めた価格を表示することを求めるものです。
対象となる代表的な価格表示には、次のようなものがあります。
店頭の商品・サービスの値札
チラシ・パンフレット・商品カタログ
新聞・雑誌・テレビなどの広告
Webサイト・インターネット広告などの価格表示
一方、見積書や契約書、請求書など、個別の取引に伴って作成される書類は総額表示義務の対象ではありません。
そのため、BtoB取引で発行する請求書を税抜金額で作成しても、総額表示義務に違反することにはなりません。
請求書の消費税表示で押さえるべきなのは、総額表示ではなくインボイス制度の記載要件です。
適格請求書には、税率ごとに区分した対価の額、適用税率、税率ごとの消費税額等などを記載する必要があります。
税込・税抜のどちらで作成する場合でも、この記載要件を満たすことが前提です。
請求書の金額表記は、税抜(外税)と税込(内税)のどちらでも構いません。
ただし、どちらの方法を採用する場合でも、税率ごとの合計金額と消費税額を明記し、「税抜」「税込」のどちらの金額なのかが分かるようにしておくことが重要です。
税抜表記では、明細の単価と金額を税抜で記載し、税率ごとの小計に消費税額を加えて合計を算出します。
消費税額を独立して確認しやすいため、事業者間取引では使いやすい形式です。
| 品名 | 数量 | 単価(税抜) | 金額(税抜) | 税率 |
|---|---|---|---|---|
| コンサルティング料 | 1 | 50,000円 | 50,000円 | 10% |
| 資料印刷費 | 3 | 1,250円 | 3,750円 | 10% |
| お茶 ※ | 10 | 325円 | 3,250円 | 8%※ |
| 区分 | 税抜金額 | 消費税額 | 税込金額 |
|---|---|---|---|
| 10%対象 | 53,750円 | 5,375円 | 59,125円 |
| 8%対象 | 3,250円 | 260円 | 3,510円 |
| 合計 | 57,000円 | 5,635円 | 62,635円 |
※は軽減税率対象品目であることを示します。
消費税額は、税率ごとの税抜合計に税率を掛けて算出し、端数処理は税率ごとに1回だけ行います。
税込表記では、明細の単価と金額を税込で記載します。この場合も、税率ごとの税込合計と、そこに含まれる消費税額を明記します。
| 品名 | 数量 | 単価(税込) | 金額(税込) | 税率 |
|---|---|---|---|---|
| コンサルティング料 | 1 | 55,000円 | 55,000円 | 10% |
| 資料印刷費 | 3 | 1,375円 | 4,125円 | 10% |
| お茶 ※ | 10 | 351円 | 3,510円 | 8%※ |
| 区分 | 税込金額 | うち消費税額 |
|---|---|---|
| 10%対象 | 59,125円 | 5,375円 |
| 8%対象 | 3,510円 | 260円 |
| 合計 | 62,635円 | 5,635円 |
税込価額から消費税額を計算する場合は、税率ごとの税込合計に10/110、軽減税率なら8/108を掛けて算出します。
「うち消費税額」のように内書きで表示する形式が一般的ですが、税率ごとの消費税額が明確であれば、レイアウトそのものに決められた様式はありません。
| 判断基準 | 内容 |
|---|---|
| 取引先との取り決め | 契約書や発注書で税抜・税込のどちらで金額を定めているかに合わせる |
| 業界・取引の慣行 | 取引先が普段利用している表記方法と合わせると、照合しやすい |
| 自社システムの仕様 | 税率ごとの消費税額と端数処理を正しく計算できる設定になっているか確認する |
| 一貫性 | 同じ請求書の中で税抜と税込を混在させず、見積書・納品書・請求書でも表記を揃える |
2023年10月に始まったインボイス制度では、適格請求書発行事業者が交付する適格請求書に、従来の区分記載請求書よりも多くの情報を記載する必要があります。
インボイス制度以前の区分記載請求書等保存方式では、税率ごとに区分して合計した税込対価の額などが記載事項でした。
適格請求書では、それらに加えて「登録番号」「適用税率」「税率ごとに区分した消費税額等」を記載します。
| 記載事項 | 内容 | 消費税表示との関係 |
|---|---|---|
| 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号 | 「T」から始まる登録番号を記載 | ― |
| 取引年月日 | 商品・サービスを提供した日など | ― |
| 取引内容 | 軽減税率の対象品目である場合はその旨も記載 | 8%対象の商品を区別する |
| 税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率 | 10%対象・8%対象の合計額を区分して記載 | 税抜・税込どちらでもよい |
| 税率ごとに区分した消費税額等 | 10%対象・8%対象それぞれの消費税額 | 税込表記でも必要 |
| 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称 | 取引先の正式名称等 | ― |
適格請求書に記載する消費税額等について1円未満の端数が生じる場合は、1つの適格請求書につき税率ごとに1回だけ端数処理を行います。
| 方法 | 可否 | 内容 |
|---|---|---|
| 税率ごとの合計額から消費税額を算出し、税率ごとに1回端数処理する | 認められる | 10%対象・8%対象をそれぞれ合計して計算する |
| 明細行ごとに消費税額を計算・端数処理し、その合計を消費税額とする | 認められない | 商品ごとの端数処理を積み上げない |
端数処理の方法は、切り捨て・切り上げ・四捨五入などから事業者が任意に選択できます。
請求書作成ソフトを利用している場合は、消費税額の計算設定が「明細行ごと」ではなく「税率ごとの合計」で処理されているか確認しておきましょう。
飲食料品(酒類・外食を除く)や一定の新聞など、軽減税率8%の対象品目を含む場合は、対象品目であることが分かるように記載します。
実務では、品目名に「※」などを付け、欄外に「※は軽減税率対象品目」と記載する方法が一般的です。
そのうえで、10%対象と8%対象を分け、それぞれの合計金額と消費税額を記載します。
すべての取引が10%対象であれば、8%の欄を設ける必要はありません。
| よくあるミス | 問題点 | 対処法 |
|---|---|---|
| 「税込」「税抜」の表示が分かりにくい | 取引先が対価の額や消費税額を確認しにくい | 「税抜」「税込」を明示し、税率ごとの合計額と消費税額を記載する |
| 明細行ごとに端数処理している | 適格請求書の「税率ごとに1回」の端数処理ルールを満たさない | 税率ごとの合計額から消費税額を計算する |
| 10%と8%を区分していない | 税率ごとの対価の額・消費税額が確認できない | 税率ごとに小計し、軽減税率対象品目を明示する |
| 税込表記で消費税額を省略している | 通常の適格請求書では税率ごとの消費税額等の記載が必要 | 「うち消費税額」などの形で税率ごとに記載する |
| 見積書は税抜、請求書は税込で認識がずれる | 取引先との金額確認や照合作業が増える | 見積書・発注書・納品書・請求書の表記方法をできるだけ統一する |
適格請求書発行事業者として登録していない免税事業者や未登録の課税事業者は、適格請求書発行事業者の登録番号を記載できないため、適格請求書を交付できません。
ただし、消費税相当額を取引価格に含めて請求したり、請求書に消費税相当額を表示したりすること自体は禁止されていません。税込金額で請求することも可能です。
取引先が課税事業者の場合、インボイス未登録事業者からの課税仕入れについては、経過措置によって一定割合の仕入税額控除が認められます。
| 期間 | 控除割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日〜2026年9月30日 | 80% |
| 2026年10月1日〜2028年9月30日 | 70% |
| 2028年10月1日〜2030年9月30日 | 50% |
| 2030年10月1日〜2031年9月30日 | 30% |
| 2031年10月1日〜 | 控除不可 |
税率ごとの区分、消費税額の計算、税込・税抜の切り替えなどを手作業で行うと、入力ミスや設定ミスが起こりやすくなります。
請求書作成・発行システムを利用する場合は、インボイス制度に必要な項目を表示できるか、税率や消費税額の計算方法を正しく設定できるかを確認しておきましょう。
また、発行件数が多い場合は、請求書そのものの作成だけでなく、取引先ごとの発行・送付・再発行まで含めて効率化できるサービスを利用する方法もあります。
「OneVoice明細」は、請求書や納品書、支払明細、支払通知書、領収書などの帳票をWebで発行できるクラウド型サービスです。
複数のテンプレートをもとに帳票を作成でき、現在利用している帳票レイアウトを再現することもできます。取引先によってWeb発行・郵送を使い分けられるため、帳票発行業務そのものを効率化したい企業にも向いています。
導入後は専任スタッフによるサポートも用意されており、無料トライアルで実際の運用を確認してから導入を検討できます。
請求書・納品書などの帳票発行をまとめて効率化
OneVoice明細なら、請求書などのWeb発行から郵送代行まで対応。現在利用している帳票レイアウトを活かしながら、取引先ごとに発行方法を使い分けられます。
OneVoice明細を詳しく見る ›個別の取引に伴って作成する見積書や請求書等は、総額表示義務の対象ではありません。
ただし、見積書・発注書・納品書・請求書で税抜・税込の表記が異なると、取引先との金額確認が煩雑になります。一連の取引書類では、できるだけ同じ表記方法に揃えておくとよいでしょう。
通常の適格請求書では省略できません。
適格請求書には「税率ごとに区分した消費税額等」が記載事項として定められているため、税込金額だけでは要件を満たしません。
税込表記の場合も、税込合計とあわせて、そこに含まれる消費税額を税率ごとに記載してください。
なお、小売業や飲食店業などが交付できる適格簡易請求書では、「税率ごとに区分した消費税額等」または「適用税率」のいずれか一方の記載で足ります。
問題ありません。請求書の様式や作成方法そのものに決められた形式はなく、Excelや手書きでも必要な記載事項を満たしていれば適格請求書として利用できます。
ただし、Excel等を利用する場合は、明細行ごとに消費税額を端数処理する計算式になっていないか確認してください。税率ごとの合計額に対して消費税額を計算し、税率ごとに1回だけ端数処理する必要があります。
値引き後の金額を対価の額として整理し、その金額をもとに消費税額を計算します。
たとえば10%対象の税抜100,000円の商品を5,000円値引きする場合、税抜95,000円を基準として消費税額を計算します。
消費税額の欄だけを減額して請求総額を調整するのではなく、対価の額を値引きしたうえで消費税額を再計算してください。
個別の取引に伴って作成する請求書には、税込表示(総額表示)の義務はありません。税抜・税込のどちらで作成しても問題ありません。
ただし、適格請求書として発行する場合は、税率ごとに区分した対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額等など、インボイス制度で定められた記載事項を満たす必要があります。
また、消費税額の端数処理は1枚の適格請求書につき税率ごとに1回だけ行います。明細行ごとに端数処理して合計する方法は認められていません。
税抜・税込のどちらを採用する場合でも、どちらの金額なのかを明確にし、見積書から請求書まで表記方法をできるだけ統一しておくと、取引先との認識違いや経理処理のミスを防ぎやすくなります。
大量の請求書発行・郵送をまとめて効率化
OneVoice明細なら、請求書・納品書などのWeb発行から郵送代行まで対応。取引先ごとに発行方法を使い分けながら、帳票発行業務の負担を削減できます。
OneVoice明細を詳しく見る ›