更新日:2024.11.28
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請求書の記載に関して、消費税法やインボイス制度では正しい消費税額の記入が求められます。しかし、税込表示や税抜表示、内税や外税などの表記方法が混在するなかで、正しい知識を知らず、トラブルに発展してしまう方も少なくありません。
請求書は取引先にも影響があることから、トラブルを未然に防ぐために正しい請求書のルールを知っておくことが大切です。
本記事では、請求書の表記について、消費税や書き方、インボイス制度での対応方法を解説します。細かなルールも記載しているため、本記事を参考に正しい請求書のルールを理解してください。
消費税法63条は不特定多数へ価格を表示する場合に「税込表示(総額表示)」で明記することを定めています(※)。これは事業者が消費者に向けて商品やサービスを販売する場合などに適用され、請求書や見積書などの特定の相手に対しては対象ではありません。
ただ、取引先との取り決めがなければ、インボイス制度の兼ね合いで消費税の明記は必須であるため、請求書の総額を明瞭にする意味でも税込表示をしておくのが良いでしょう。
(※)参考:e-Gov 法令検索「消費税法」
そもそも消費税とは、商品の販売やサービスの提供などの取引で支払う対価に課税される税金です。基本的なルールは「消費税法」に定められており、日常の買い物やサービスの利用以外にも、ビジネスシーンにおいてもさまざまな点で影響があります。
とくに、請求書に関しては取引先とのトラブルも考えられることから、消費税にまつわるルールを把握しておくことが大切です。
ここでは、請求書の消費税にまつわるルールについて、ポイントを絞って解説します。
仕入時の費用を経費として計上する場合、税率ごとに区分して請求書などに記帳しなければなりません。
現在の税率は10%でありますが、飲食料品や定期購読で週2回以上の新聞には「軽減税率」が適用されるため、8%の消費税となります(※)。インボイス制度でも税率の区分は請求書に明記する必要があるため、この点には注意が必要です。
(※)参考:国税庁「消費税のしくみ」
インボイス制度以前では仕入税額控除を受ける場合、「区分記載請求書等保存方式」で定められた事項を記載する必要があります。ルールで定められた事項は以下のとおりです。
インボイス制度以降について、上記に加え2つの記載事項が追加されているため注意が必要です。具体的には、「インボイス制度に対応した請求書の書き方とは?」で解説します。
請求書に記載する請求額は、請求書の発行者が任意で選択できます。つまり、内税・外税どちらでも良く、請求書にはそれぞれどちらの方法で記載しているかを明記しておきましょう。
なお、内税の場合は、標準税率と軽減税率を区別し、消費税額の欄に括弧書きで記載します。外税はそのまま消費税額を記載し、小計金額は消費税を含めない金額で記載する点に注意が必要です。
インボイス制度とは、2023年10月から開始した消費税にまつわる新制度であり、事業者の消費税を正確に把握し、納税してもらうことを目的としています。請求書のフォーマットの変更やインボイス制度への登録などの対応が必要である一方で、仕入税額控除が利用できる点がメリットです。
インボイス制度では取引先もインボイス制度に登録しておく必要があることから、知っておかないとトラブルになる点も多くあります。制度概要を理解し、自社の取引に影響があるかを確認しておきましょう。
インボイス制度では仕入れや経費に支払った消費税額を、売上の消費税額から控除できる「仕入税額控除」が利用できます。従来の制度では二重に課税していたものを支払わなくて良くなることから、税金を抑えられる可能性があります。
ただし、仕入れや経費に支払った消費税額を明記しておく必要があるため、対応方法はより厳格に進める必要があるでしょう。
インボイス制度では、従来の「区分記載請求書等保存方式」から「適格請求書等保存方式」に変更となりました。また、適格請求書の発行には、事業者がインボイス制度への登録が必要となります。
会計ソフトや請求書作成ソフトではすでにフォーマットが変更されている一方で、オリジナルで作成している場合には必要な事項を完備して取引対応しなければなりません。
インボイス制度では、適格請求書等保存方式にしたがった請求書の発行が必要であり、従来のものと比べて必要な事項が異なります。具体的には、以下の項目が追加され、インボイス制度の登録も含めた対応が求められます。
区分記載請求書等保存方式で必要であった事項に上記を加えることから、記載漏れが増える可能性があります。請求書を発行する際だけでなく、請求書を受領した際に必要な事項が記載されているかを確認しましょう。
従来の対応から大きく変更されたインボイス制度である一方で、すでに制度に対応した機能や書類フォーマットを備えたツールは存在しています。ツールを導入すれば、自社が抱える経理業務を簡素化できるだけでなく、取引先への迅速な請求対応も実現できます。
取引先との良好な関係性を維持・向上できることから、ツールの導入を検討してみても良いでしょう。
ここでは、インボイス制度に対応した請求書作成ツールを3つ紹介します。
OneVoice明細は、帳票の作成や自動割振、また顧客ごとへの発行などを一括で対応してもらえるサービスです。
請求書をはじめ、納品書や支払明細、また支払通知書や領収書などの幅広い帳票に対応しています。また、サポート体制も充実しており、契約後に専任のスタッフがサービスの使い方や活用法などのサポートをしてもらえます。
導入を検討していれば、無料デモも用意されているため、実際の使用感やサービス内容をもとに安心して利用できる点もうれしいポイントです。
マネーフォワード クラウド請求書は、会計ソフト大手のマネーフォワードが提供する請求書作成ツールです。
請求書や見積書、納品書などを一元管理でき、作成方法も簡単な操作で利用できます。また、「マネーフォワード クラウド会計」との連携機能もあるため、仕訳対応も手間が不要です。
電子帳簿保存法にも対応しているため、法的な課題もクリアできるサービスといえるでしょう。
人気会計ソフトfreee会計に、インボイス制度・電子帳簿保存法に対応させたツールがfreee経理です。
請求書の作成から発行、受取なども対応しており、また経理における管理を自動化させる機能が充実しています。また、見やすいレポートで資金繰りを可視化できるため、請求事務以外にも活用できる点が魅力でしょう。
法令対応に強みがある点から経営の守りを固めたい企業におすすめのサービスです。
本記事では、請求書の表記について、消費税や書き方、インボイス制度での対応方法を解説しました。
請求書のなかでも消費税のルールは、自社だけでなく、取引先も関係する大切なポイントです。取引先との関係が悪化するリスクもはらんでいるため、丁寧かつ着実な対応が求められます。
ただ、インボイス制度は経理担当者でもわかりづらいルールも存在していることから、複雑かつ煩雑な業務を簡素化でき、また最新の法令・制度に対応している請求書作成ツールの活用がおすすめです。