更新日:2024.11.29
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請求書の発行日は支払い側の債務確定日を指すため、取引において重要な意味を持ちます。
しかし、請求書発行のタイミングに法律上の決まりはなく、取引先が指定する請求方法や締め日によっても異なります。そのため、発行日をいつに設定すればよいのか悩む方もいるでしょう。
この記事では、請求書の発行日の決め方やタイミング、発行時に注意すべきポイントを解説します。
正しい知識を身につけて請求業務をスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。
請求書の発行日は、支払い側の債務が確定した日のことを指します。債務が確定した日とは、商品の納品やサービスの提供を受けて、支払いが確定した日です。
似たような項目として「取引年月日」や「必着日」があり、それぞれ意味が異なります。下記表を参考に、違いを理解しておきましょう
発行日 |
必着日 |
取引年月日 |
請求書を発行(作成)した日のこと |
請求書が取引先に届かなければならない期限日のこと |
商品の引き渡しやサービスの提供日など、取引が行われた年月日のこと |
発行日は、インボイス(適格請求書)に必要な「取引年月日」とは違う日付のため、混同しないように気をつけましょう。
請求書発行日の記載がないと架空請求を疑われてしまうケースもあるため、トラブルを避けるためにも必ず記載する必要があります。
請求書発行日は、取引先のルールに従って設定するのが一般的です。
納品完了のタイミングや、締め日に指定されるケースが多いです。しかし、取引内容によっては、「納品完了」や「締め日」と関係のない日に設定されることもあります。また、「締め日」の日付も取引先によって異なります。そのため、発行日をいつに設定するかは事前に確認しておきましょう。
例えば、月末締め・翌月払いの場合、請求書の発行日は月の末日になります。
発行した請求書の送付期限は取引先によって異なります。発行日と必着日を間違えないよう、それぞれの日付をしっかりと把握しておきましょう。
請求書を発行する時期は、主に下記の3つです。
各タイミングを具体的に見ていきましょう。
掛売方式とは、商品やサービスを提供した後に、まとめて請求書を発行する方法です。月末や毎月10日などを締め日として、その日までに発生した取引をまとめて請求します。
例えば、月末締めの場合、1ヶ月間の取引をすべて記載した請求書を月末に作成します。
掛売方式は、毎月請求が発生する企業間取引に多く採用されている方法です。請求業務を一括で行うため、請求書の作成や送付、入金確認などの手間が軽減されるメリットがあります。
ただし、掛売は取引先との信頼関係があってこそ成り立ちます。日頃から円滑にコミュニケーションを取り、トラブルが発生しない良好な関係を維持しましょう。
都度方式とは、商品やサービスを提供するたびに請求書を発行する方法です。納品の完了ごとに請求書を発行するため、請求漏れのリスクを減らせるメリットがあります。単発や新規の取引に適している一方で、事務負担の大きさから継続的な取引には不向きな方法です。
継続的な取引が見込まれる場合には、取引先との関係性や取引の頻度を考慮しつつ、掛売方式へシフトすることも考えておきましょう。
請求書の発行は、通常、商品やサービスの納品後に行われますが、納品前に発行されるケースも存在します。
例えば、初めて取引をする場合、信用リスクを考慮して先に請求書を発行し、入金を確認してから納品を行う場合があります。前払いや内金を請求するイメージです。
ただし、納品前に請求書を発行する方法は一般的ではありません。認識の齟齬が起きないよう、事前に取引先としっかりコミュニケーションを取っておきましょう。
請求書を発行する適切なタイミングは、取引先によって異なります。特に、初めて取引を行う場合は、掛売方式と都度方式のどちらで請求書を発行するのか事前に確認しておきましょう。
確認方法は、口頭で伝えるだけでなく、書面でも共有して記録に残るようにしておくと、後で見返すときに役立ちます。
請求書を発行する際の注意点は3つあります。
それぞれ解説します。
掛売方式では、月末や毎月10日など、事前に決めた締め日に基づいて請求書を発行します。締め日が土日祝日と重なる場合でも、特に変更する必要はありません。
例えば、月末締め・翌月末支払いの契約で、月末が土曜日の場合、請求書の発行日はその土曜日になります。
請求書は、取引先と定めた締め日を発行日とし、土日祝日にかかわらず発行するようにしましょう。
一度発行した請求書を再発行する場合は、請求内容に変更がない限り、最初の発行日を使用します。発行日を修正してしまうと、取引内容に変更があったと誤解されてしまう可能性があるためです。
ただし、発行日自体に誤りがあった場合は修正が必要です。例えば、未来の日付を記載して発行してしまった場合は、正しい日付に直して再発行しなければなりません。
もし、請求者側のミスで再発行することになった場合は、できるだけ早く連絡し、謝罪の言葉を伝えたうえで再発行の手続きを行いましょう。
いつまでに請求書を送るべきかは、取引先によって異なります。そのため、請求書の発行日と合わせて、送付期限も事前に確認しておきましょう。
例えば「月末締め、翌月10日までに送付」という取り決めにおいて、請求書の発行日が10月31日の場合、送付期限は11月10日となります。
日付を勘違いして発行日よりも前に送ったり、送付期限を過ぎてから対応したりすることがないようにしましょう。
トラブルなく請求書を発行するには、取引先とのすり合わせが大切です。請求書の発行日や送付期限、締め日などを事前に話し合い、明確にしておく必要があります。また、再発行が必要な場合の発行日の扱いや、請求書の送付期限など、いくつかの注意点を把握しておくことも重要です。
請求書発行のルールは、一見複雑に思えるかもしれませんが、基本的な知識を理解していればそれほど難しいものではありません。正しく理解し、請求業務をスムーズに進めましょう。