更新日:2024.10.15
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請求書の作成は、取引先とやり取りをする上で日常的に発生する業務なため、フォーマットや書き方が定まっている企業が多いでしょう。したがって、イレギュラーな対応が必要になった際に、どのように請求書を発行すれば良いのか、迷ってしまう方が多いのではないでしょうか。
イレギュラーな対応の1つに、請求項目が多く請求書の合計枚数が2枚になるケースがあります。そこで、本記事では請求書が2枚にわたった際の書き方や、注意点、効率的な作成方法などを紹介します。経理担当者だけでなく、請求書を発行する機会のある方全員にとって参考になる内容なので、ぜひ最後までお読みください。
請求書が2枚にわたる場合の書き方を知らなければ、作成に時間がかかるだけでなく、取引先とのトラブルに発展するおそれもあります。ここでは、請求書が2枚にわたったときの具体的な書き方について紹介しますので、作成時の参考にしてください。
請求書に記載する内容は、1枚でも2枚でも基本的には変わりません。一般的に、請求書に記載される内容としては、以下の項目が挙げられます。
2023年10月から導入されるインボイス制度によって、多くの企業が「適格請求書」を発行するようになります。もし適格請求書を作成する場合には、以下の項目も明記しなければなりません。
請求書を作成する際には、上記の項目が正しく記載されているかを確認して、漏れのないようにしましょう。金額に関しては、合計の取引金額以外に、内訳や単価を記載するのも重要です。内訳や単価が書かれていなければ請求金額の根拠がわからないため、トラブルの原因になる可能性があります。
また、請求書の送付方法は、郵送やメール、手渡しなどさまざまなので、取引先と取り決めておくと安心です。
請求書が2枚にわたる場合、合計金額の記載場所を1枚目にするのか、2枚目にするのか、迷ってしまうでしょう。実際には、記載場所や書き方に明確なルールはないため、どこに記載しても良いとされています。考えられるパターンとしては以下のような記載方法があります。
2枚にわたる請求書を、取引先の担当者が受け取った際に、合計金額がどこに記載されているのかわからなければ、経理処理のタイミングでミスが生じたり、トラブルを招いたりするおそれがあります。そのような事態を避けるために、備考欄に合計金額の記載場所を明記しておくのがおすすめです。合計金額の記載方法には決まったルールがないので、あらかじめ取引先と共通認識を持っておくのが重要です。
小計欄の記載方法にも決まったルールがありません。しかし、小計欄は1枚ごとに記載した方が内訳の詳細を確認しやすく、見落としのリスクを防げます。
小計欄は、内税と外税のどちらを採用しているのかがわかるように記載しましょう。小計の単価が税抜の場合は、小計欄の下に合計税額を表示するのが一般的な記載方法です。
また、請求書内の税金の記載方法や扱いは、全ページで統一しておきましょう。1枚目にだけ税額を記載し、2枚目に記載しなかった場合、請求書を受け取った取引先が混乱してトラブルのもとになる可能性があります。
請求書への押印は法的には必要がありませんが、社名や住所などの会社情報の右側に角印を押すのが一般的だとされています。押印は、請求書の信頼性を保ち、改ざんリスクを防止するという目的があります。
請求書が2枚にわたったときでも、押印には明確なルールがありません。したがって、1枚目のみに角印を押していれば問題なく、2枚目への押印は不要です。しかし、取引先が全ページへの押印を求める場合は、指示に従いましょう。決まったルールがないが故に、取引先との認識が曖昧になってしまうことを防ぐため、事前にすり合わせを行うと安心です。
請求書が2枚以上にわたる主な原因は以下の2つです。
商品やサービスの種類が多い場合や、詳細な内訳を記載する必要がある場合、1枚の請求書にすべての項目を記載できないことがあります。
例えば、以下のような事例が想定されます。
備考欄に、契約内容の詳細や注意事項、振込先情報などを記載する必要がある場合、1枚の請求書ではスペースが不足することがあります。
例えば、以下のような事例が想定されます。
請求書が2枚以上にわたる場合、消費税の計算や記載方法に注意が必要です。特にインボイス制度導入後は、適格請求書(インボイス)としての要件を満たす必要があります。請求書が複数枚にわたる場合でも、消費税の計算や記載方法を正しく行うことで、税務処理をスムーズに進めることができます。
2枚目以降の請求書にも、それぞれのページにおける小計と消費税額を記載します。これにより、各ページごとの取引内容と消費税額が明確になります。
例えば、1枚目の請求書に商品A、Bを記載し、2枚目の請求書に商品C、Dを記載する必要性があります。
最終ページには、すべてのページの合計金額と消費税額を記載します。これにより、取引全体の金額と消費税額が明確になります。
例えば、1枚目と2枚目の請求書の合計金額がそれぞれ50,000円(税込)と30,000円(税込)だった場合、最終ページには、以下のように記載します。
消費税の端数処理は、原則として切り捨てとなります。ただし、請求書全体での端数処理を行うことも可能です。
例えば、1枚目と2枚目の請求書の消費税額がそれぞれ4,545円と2,727円だった場合、
端数処理の方法については、社内ルールや取引先との合意に基づいて決定しましょう。
2枚にわたる請求書を作成する際には、いくつか注意点を押さえておかなければ、取引先と齟齬が生まれたり、経理処理に手間がかかったりする可能性があります。ここでは請求書が2枚にわたる場合に注意すべき5つの点を紹介します。
一般的に、請求書には、それぞれ異なる請求番号を記載します。請求書が2枚にわたる場合は、請求番号の付け方を工夫すれば、自社にとっても取引先にとってもわかりやすくなります。
例えば、2023年4月28日に作成した請求書の場合、1枚目を「20230428-01」、2枚目を「20230428-02」とします。最後に「01」「02」と番号を振ることで、視覚的に請求書が2枚にわたっていると判断でき、混乱を防げるでしょう。
請求番号の書き方を工夫すれば、請求書の関係性や枚数を直感的に理解できます。受け取った担当者や、相手企業の経理担当者にとって、わかりやすい請求番号をつけるようにしましょう。
請求書の備考欄は、何か補足情報があった際にその内容を記載するために設けられています。したがって、請求書の合計枚数や「何枚目の請求書にあたるのか」を備考欄に記載しておくとわかりやすいでしょう。
例えば、1枚目の備考欄に「1/2枚」、2枚目に「2/2枚」と記載する方法があります。備考欄を見れば、一目で請求書が2枚にわたっていると確認できます。
請求書を郵送する場合、送付状をつけるケースが多くあります。送付状とは、請求書や契約書などを送付する際に、内容に間違いがないことを証明するために用いられる書類です。
請求書に送付状をつける場合は、請求書の内容に不備がないかを確認したり、請求書の枚数を伝えたりする用途があります。送付状に、請求書の合計枚数が2枚である旨を記載しておけば、取引先の混乱を防げます。
請求書が2枚にわたる場合は、ホチキスやクリップでページをまとめておくと良いでしょう。一目で請求書が2枚あるとわかるだけでなく、取引先が経理処理をする際にバラバラになったり、ページの一部を紛失したりする可能性が減るというメリットがあります。
ただし、取引先が経理処理上、請求書を1枚ずつファイリングしているケースや、請求書に傷がつくと都合が悪い場合には、まとめずに送付するのが良いでしょう。
請求書の書き方や発行方法などに決まったルールはなく、企業によってフォーマットや記載内容が異なります。そのため、2枚にわたる場合の請求書の決まりを、事前に取引先と決めておくと安心です。
例えば、以下のような取り決めをしておけば、混乱を招かずにスムーズな請求書のやり取りが可能です。
そのほかの項目に関しても、必要に応じてルールを設定しておきましょう。取引先との事前の認識のすり合わせにより、請求ミスや認識の違いによるトラブルを避けられます。
2枚にわたる請求書を発行する際、フォーマットやルールを決めていなければ、作成に時間がかかってしまうでしょう。そこで、ここでは2枚にわたる請求書を効率的に作成する方法について紹介します。
請求書が2枚にわたるケースは珍しくはありませんが、作成したことがない担当者の場合、最初は戸惑ってしまうでしょう。請求書作成時は、自社独自のフォーマットを使用している企業が多くあります。2枚にわたる場合も、フォーマットも事前に作成しておけば、請求書発行時に戸惑うことはありません。
プロジェクトの担当者が各自で請求書を発行する企業の場合、フォーマットがあれば誰でも簡単に作成できます。毎回、作成方法に関して経理担当者に質問が寄せられていた場合は、経理担当者の手間の削減にもつながります。
会計ソフトは、企業のお金の動きを管理し、会計処理を自動で行ってくれるシステムです。ほとんどのサービスが、請求書の作成や管理が簡単に行えるような仕様で作られています。
会計ソフトを活用すれば、2枚にわたる請求書も簡単に作成でき、発行者の混乱を防げます。請求書作成の業務効率化や時間短縮につながり、ほかのメインの業務に注力できるようになるでしょう。
さらに、リアルタイムで請求業務の確認ができ、取引先からの入金状況をいつでもすぐに確認できる点もメリットの1つです。ほかにも請求書発行から入金消し込みの一連の流れを自動化できる点や、取引先や取引品目が増えても管理が簡単な点などが特徴として挙げられます。
請求書が1枚に収まらずに、2枚にわたってしまうケースは珍しくありません。例えば、請求する項目が多い場合や、営業日の都合で締め日がずれ込む場合は、2枚にわたる可能性があります。
請求書が2枚にわたる場合、記載項目は1枚の場合と変わりません。ただ、請求書番号の振り分けや、備考欄の活用など、2枚であることが視覚的にわかるような工夫が必要です。
請求書の記載方法に決まったルールがないからこそ、取引先にとっても自社にとっても、わかりやすく作成する必要があります。請求書が2枚にわたった場合のルールを、取引先と事前に決めておけば、トラブルを招かずに安心してやり取りができます。