【見本付】請求書の分割払いを円満に依頼する方法！依頼メール・請求書の書き方

「請求書が届いたものの、資金繰りの都合で一括での支払いが難しい...」そんな状況で、取引先に請求書の分割払いを相談したいと考えたことはありませんか？相手に失礼だと思われないか、そもそも法律的に問題はないのか、不安になりますよね。この記事では、円満に分割払いを依頼するためのメールの書き方を例文付きで解説するだけでなく、依頼される側（発行側）になった場合の分割払いに対応した請求書の書き方まで、見本を交えて詳しくご紹介します。この記事を読めば、請求書の分割払いに関するあらゆる疑問や不安を解消し、トラブルなく手続きを進めることができます。

そもそも請求書の分割払いは可能？それとも違法？

法律上は分割払いは問題なし！ただし合意が大前提

日本の民法では「契約自由の原則」があり、契約内容は当事者同士の合意によって自由に決めることができます。支払方法もその一つで、取引先と合意していれば一括払いを分割払いに変更しても問題はありません。

通常、取引を始める際に支払期日や支払方法などの条件を取り決めます。これらは契約の一部にあたるため、後から支払方法を変えたい場合は、契約内容の変更として新たな合意が必要になります。つまり、請求書を受け取った側が「分割で支払いたい」と申し出て、請求書を発行した側がそれを了承したときに初めて、分割払いが正式に認められるのです。

大切なのは、必ず事前に相手の了承を得ることです。相談せずに勝手に分割で支払うと、もともとの契約に違反する「債務不履行」と見なされるおそれがあります。その結果、信頼関係を損ねるだけでなく、法的トラブルに発展するリスクもあるため注意が必要です。

違法になるのはどんな場合？実際のトラブル事例

前述の通り、合意に基づいた分割払いは合法です。しかし、手順を誤ると契約違反となり、トラブルの原因となります。具体的にどのようなケースが問題となるのか、代表的な例を見ていきましょう。

以下に、分割払いが原因でトラブルに発展しやすいケースとその法的な問題点をまとめました。

トラブルになるケース	法的な問題点	想定される結果
事前の合意なく分割で支払う	債務不履行（履行遅滞）	残額に対する遅延損害金の請求、取引停止、信用の失墜
分割払いの約束（支払日・金額）を守らない	債務不履行	残額の一括請求、契約解除、法的措置（支払督促・訴訟など）への移行
最初から支払う意思がないのに分割払いを持ちかける	詐欺罪に問われる可能性	刑事罰の対象となる可能性、損害賠償請求

特に多いのが、相談なしに請求額の一部だけを振り込み、「残りは来月支払います」と事後報告するケースです。これは支払側からすれば誠意を見せた行動のつもりかもしれませんが、請求側から見れば一方的な契約違反に他なりません。このような行為は相手に不信感を与え、今後の取引に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

トラブルを避け、円満に分割払いを認めてもらうためには、支払いが難しいとわかった時点ですぐに、誠意をもって取引先に相談することが何よりも大切です。

まず確認！請求書の分割払いを依頼する前の下準備

請求書の分割払いを取引先に依頼する際、いきなり「支払えないので分割にしてください」と伝えるのは得策ではありません。相手に不信感を与え、今後の取引に影響を及ぼす可能性もあります。

ここでは、分割払いを円満に依頼するために、事前に必ず確認・準備しておくべき2つのポイントを解説します。

分割が必要な理由を整理する

なぜ一括での支払いが難しいのか、その理由を具体的かつ客観的に説明できるように準備しましょう。

単に「資金繰りが厳しい」と伝えるだけでは、相手は状況を正確に把握できず、不安に感じてしまいます。自社の状況を正直に、かつ簡潔に伝えられるように要点を整理しておくことが重要です。相手が納得しやすい理由としては、以下のようなものが挙げられます。

• 主要な取引先からの入金が予定より遅延しているため
• 予期せぬ大きな機材トラブルが発生し、急な修繕費がかさんだため
• 新規事業への先行投資により、一時的にキャッシュフローが悪化しているため

自社の都合ばかりを主張するのではなく、「一時的な問題であり、支払能力や意思に問題はない」ということを明確に伝えることが、信頼関係を維持する鍵となります。

実現可能な支払計画を立てる

分割払いを依頼する際は、理由を伝えるだけでなく、必ずこちらから具体的な支払計画を提案しましょう。

相手に判断を丸投げするのではなく、責任をもって支払いを完遂する意思を示すことが、交渉をスムーズに進めるための最も重要なポイントです。自社のキャッシュフローを正確に把握し、無理なく実行できる「実現可能な計画」を立てる必要があります。

分割回数と1回あたりの支払額

支払計画の根幹となるのが、分割回数と毎回の支払額です。請求総額に対して、何回に分けて、1回あたりいくらずつ支払うのかを明確に提示します。自社の資金繰りに無理のない範囲で、かつ相手の負担も考慮し、できるだけ短期間で完済できる計画を立てるのが理想です。

例えば、請求総額が60万円の場合、以下のように複数のプランを検討し、最も現実的なものを提示できるように準備しておくとよいでしょう。

プラン	分割回数	1回あたりの支払額	備考
プランA	3回	200,000円	相手の負担が最も少ない短期プラン
プランB	4回	150,000円	自社の負担を少し軽減したプラン
プランC	6回	100,000円	月々の支払いを抑えた長期プラン

支払い開始日と完了予定日

分割払いをいつから開始し、いつまでに全額を支払い終えるのか、具体的なスケジュールを提示することも不可欠です。これにより、相手は今後の入金見込みを立てやすくなり、提案を受け入れやすくなります。通常の支払いサイト（例：毎月末締め、翌月末払い）があるのであれば、それに準じて「毎月〇日までにお支払いします」と日付を明記しましょう。

支払計画を提示する際は、以下の項目を明確に伝えることが重要です。

• 請求総額
• 分割回数
• 1回あたりの支払額
• 支払い開始日
• 各回の支払日（例：毎月25日）
• 支払い完了予定日

これらの準備を万全に行うことで、単なる「お願い」ではなく、責任感のある「交渉・提案」として、相手に誠実な姿勢を伝えることができます。

【例文付き】請求書の分割払い依頼メールの書き方

相手に誠実さが伝わる！分割払い依頼メールの基本構成

分割払いの依頼メールは、単に「分割してください」と伝えるだけでは不十分です。なぜ分割払いが必要なのか、そして必ず支払う意思があることを明確に伝える必要があります。以下の構成要素を盛り込むことで、相手に誠実な姿勢を示しましょう。

構成要素	記載内容とポイント
件名	「お支払いについてのご相談」「請求書（No.XXX）のお支払いに関するお願い」など、用件がひと目でわかるように記載します。会社名や氏名も入れるとより丁寧です。
宛名	会社名、部署名、担当者名を正確に記載します。担当者名が不明な場合は「経理ご担当者様」とします。
挨拶と名乗り	「いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。」など、基本的なビジネスマナーに沿った挨拶と自己紹介を記載します。
お詫びと要件	まず、期日通りの支払いができないことに対するお詫びを述べます。その上で「つきましては、誠に勝手なお願いで恐縮ですが、お支払いを分割にしていただくことは可能でしょうか」と、分割払いを相談したい旨を明確に伝えます。
分割を希望する理由	「一時的な資金繰りの悪化により」「予期せぬ多額の出費が重なった」など、支払いが困難な理由を正直かつ簡潔に説明します。詳細すぎる説明は不要ですが、相手が納得できる理由を伝えることが重要です。
具体的な支払計画案	分割回数、1回あたりの支払額、支払日などを具体的に提示します。実現可能な計画を提示することで、支払いへの真摯な姿勢を示すことができます。
結びの言葉	「多大なるご迷惑をおかけしますことを、重ねてお詫び申し上げます。」「何卒ご検討いただけますようお願い申し上げます。」など、再度お詫びとお願いの言葉で締めくくります。
署名	会社名、部署名、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどを記載します。

【コピペOK】シーン別に使える！分割払い依頼メールの例文まとめ

ここでは、状況に応じた分割払い依頼メールの例文を4つのシーンに分けてご紹介します。ご自身の状況に合わせて内容を調整してご活用ください。

【法人向け】基本的な分割払い依頼メール

取引先企業へ分割払いを依頼する際の、最も標準的な例文です。

件名：【株式会社〇〇】請求書（No.20231031）のお支払いに関するご相談

株式会社△△
経理部　ご担当者様

いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の佐藤です。

2025年10月31日付でご請求いただきました請求書（No.20231031）の件につきまして、大変申し上げにくいご相談があり、ご連絡いたしました。

請求金額500,000円のお支払いですが、誠に申し訳ございませんが、弊社の急な資金繰りの都合により、期日である11月30日までの一括での支払いが困難な状況となっております。

つきましては、誠に勝手なお願いで大変恐縮ではございますが、お支払いを以下の通り2回の分割とさせていただくことは可能でしょうか。

＜支払計画案＞
・1回目：250,000円（2025年11月30日期日）
・2回目：250,000円（2025年12月28日期日）

この度は、貴社に多大なるご迷惑をおかけしますことを、心よりお詫び申し上げます。
何卒、本件ご検討いただけますようお願い申し上げます。

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株式会社〇〇
経理部　佐藤 太郎
〒100-0001 東京都千代田区〇〇1-2-3
TEL: 03-1234-5678
Email: taro.sato@example.com
--

【個人事業主・フリーランス向け】より丁寧な依頼メール

個人事業主やフリーランスの方が、クライアントに依頼する場合の例文です。より丁寧な言葉遣いを心がけましょう。

件名：【〇〇（氏名）】お支払いについてのご相談

株式会社□□
プロジェクトご担当　鈴木様

いつも大変お世話になっております。
ライターの田中です。

先日お送りいたしました請求書（No.123）の件で、大変恐縮ながらご相談がございます。

誠に勝手なお願いで恐縮ですが、お支払いを2回に分割していただくことは可能でしょうか。
と申しますのも、予期せぬ機材トラブルによる出費が重なり、一時的に資金繰りが厳しい状況となっております。

もし可能でしたら、月末と翌月15日の2回に分けてお支払いいただけますと大変助かります。

こちらの都合でご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。
ご検討いただけますと幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。

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田中 花子（ライター）
〒150-0001 東京都渋谷区〇〇1-2-3
TEL: 090-1234-5678
Email: hanako.tanaka@example.com
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【支払期日前に連絡する場合】誠実さが伝わる依頼メール

支払いが困難だと判明した時点で、期日よりも前に連絡を入れる場合の例文です。早めの相談は誠実な印象を与えます。

件名：【〇月〇日お支払期限】請求書（No.XXX）に関する事前のご相談（株式会社〇〇）

株式会社△△
経理部　ご担当者様

いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の佐藤です。

〇月〇日お支払期限の請求書（No.XXX）につきまして、事前のご相談がありご連絡いたしました。

誠に申し訳ないことに、急な大口取引先の入金遅延の影響で、貴社へのお支払いが期日までに間に合わない可能性が出てまいりました。

つきましては、お支払いを翌月の〇月〇日までお待ちいただくか、もし可能であれば分割でのお支払いに変更いただくことはできますでしょうか。

お支払い期日前にこのようなご連絡を差し上げ大変恐縮ですが、貴社へのご迷惑を最小限にできればと思い、早めにご相談させていただいた次第です。

こちらの都合で大変申し訳ございませんが、ご検討いただけますと幸いです。

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株式会社〇〇
経理部　佐藤 太郎
〒100-0001 東京都千代田区〇〇1-2-3
TEL: 03-1234-5678
Email: taro.sato@example.com
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【支払期日後に連絡する場合】お詫びを最優先する依頼メール

やむを得ず支払期日を過ぎてしまった後に連絡する場合の例文です。何よりもまず、真摯なお詫びの言葉を伝えましょう。

件名：【重要・お詫び】〇月〇日期日のお支払遅延とご相談（株式会社〇〇）

株式会社△△
経理部　ご担当者様

いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の佐藤です。

この度は、〇月〇日期日でご請求いただいておりました請求書（No.XXX）のお支払いが遅れておりますこと、心よりお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません。

弊社の確認ミスにより、支払処理が漏れておりました。深く反省しております。

つきましては、大変恐縮ではございますが、本日以降で分割にてお支払いさせていただきたく、ご相談申し上げる次第です。
まずは半額を本日中に、残額を来週末までにお支払いする形はいかがでしょうか。

重ねてのお願いとなり大変恐縮ですが、何卒ご容赦いただけますようお願い申し上げます。
取り急ぎ、お詫びとご相談を申し上げます。

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株式会社〇〇
経理部　佐藤 太郎
〒100-0001 東京都千代田区〇〇1-2-3
TEL: 03-1234-5678
Email: taro.sato@example.com
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メール以外で請求書の分割払いを依頼する方法とは？

電話で依頼する場合の伝え方とマナー

電話は、メールよりも迅速に相手の反応を確認でき、声のトーンで誠意を伝えやすいというメリットがあります。一方で、相手の時間を突然奪ってしまうため、要点をまとめて手短に話す準備が不可欠です。

電話で依頼する際は、以下の流れとマナーを意識しましょう。

• 静かな環境からかける：周囲の雑音が入らない、電波の良い場所から電話をかけましょう。相手が聞き取りやすいように配慮することが第一です。
• 相手の都合を確認する：まず「株式会社〇〇の〇〇と申します。経理ご担当の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか。ただいま、2、3分ほどお時間をいただいてもよろしいでしょうか？」と相手の都合を伺います。
• 用件と謝罪を明確に伝える：「先日お送りいただいた〇月〇日付の請求書の件で、お支払いについてご相談があり、お電話いたしました。こちらの都合で大変申し訳ないのですが、分割でのお支払いをご検討いただくことは可能でしょうか」と、丁寧な言葉で用件と謝罪の意を伝えます。
• 具体的な支払計画を提示する：分割を希望する理由を簡潔に説明したうえで、「〇回払いで、毎月〇日に〇円ずつお支払いさせていただきたいと考えております」のように、事前に準備した具体的な支払計画を提示します。
• 合意内容は書面で残す：電話で分割払いの承諾を得られた場合は、「ありがとうございます。念のため、本日お話しさせていただいた内容をメールでもお送りしてもよろしいでしょうか」と伝え、後から確認できるよう書面に残すことが重要です。

対面でお願いする場合の注意点

取引金額が大きい場合や、今後の関係性を特に重視したい場合には、直接訪問して対面でお願いする方法が最も誠意を示せます。ただし、相手に多大な時間を使わせてしまうため、アポイントメントの取得や事前準備を徹底することが必須のマナーです。

対面で依頼する際の注意点を以下にまとめました。

項目	注意点とポイント
アポイントメント	必ず事前に電話やメールでアポイントメントを取得します。その際、「お支払いの件で、重要なご相談がございます」と正直に用件を伝え、相手に訪問の目的を理解してもらうことが大切です。
事前準備	分割払いが必要になった経緯を説明できる簡単な資料や、具体的な支払計画書を持参します。口頭だけでなく、書面で示すことで信頼性が高まります。
当日の服装・態度	清潔感のあるビジネススーツなど、フォーマルな服装で訪問します。約束の時間より少し早めに到着し、終始、真摯で誠実な態度を心がけます。
合意形成	その場で分割払いの承諾を得られた場合は、感謝の意を伝えます。そして後日、双方の合意内容を明記した「覚書」や「合意書」といった正式な書類を取り交わすことを提案し、口約束で終わらせないようにします。

【発行側向け】分割払いに対応した請求書の書き方

分割払い用請求書の作成の2つのパターン

分割払いの請求書を作成する方法は、主に「支払いの都度発行する方法」と「初回にまとめて1枚で発行する方法」の2種類があります。どちらの方法を選択するかは、取引先との関係性や自社の経理処理のしやすさを考慮して決定しましょう。それぞれの書き方と特徴を解説します。

分割都度請求書を発行する場合の書き方

分割払いの支払いタイミングに合わせて、その都度請求書を発行する方法です。毎回請求書を作成する手間はかかりますが、入金管理がしやすいというメリットがあります。

通常の請求書に記載する項目（請求書番号、発行日、支払期限、請求金額など）に加えて、以下の点を明記することが重要です。

• 分割払いであることの明記
  「〇回分割払いのうち〇回目」のように、何回目の支払分であるかを件名や備考欄に記載します。これにより、受け取った側もどの支払分かすぐに理解できます。
• 請求総額と残額の記載
  備考欄などに、分割払いの請求総額、支払済み額、今回の請求による残額を記載すると、取引全体のお金の流れが分かりやすくなり、より親切です。

全回分を1枚の請求書に記載する場合の書き方

初回に、分割払いの全回分の支払いスケジュールを記載した請求書を1枚だけ発行する方法です。請求書の発行が一度で済むため手間が省けますが、複数回にわたる入金管理を正確に行う必要があります。

この場合、請求書の明細欄や備考欄に、各回の支払額と支払期限を一覧で記載します。請求金額の合計は、分割払いの総額を記載してください。

回数	支払額（税込）	支払期限
第1回	55,000円	2025年10月31日
第2回	55,000円	2025年11月30日
第3回	55,000円	2025年12月28日

このように表形式で記載することで、取引先は今後の支払計画を正確に把握できます。

そのまま使える！請求書の書き方見本

ここでは、「全回分を1枚の請求書に記載する場合」の書き方見本を紹介します。通常の請求書項目に加え、分割払いに関する情報をどのように記載すればよいか参考にしてください。

請求書 請求書番号：SH20231001-01 発行日：2025年10月1日
株式会社〇〇 御中		株式会社△△ 〒123-4567 東京都渋谷区... 適格請求書発行事業者登録番号：T1234567890123
合計請求金額：￥165,000- (税込) 下記の通りご請求申し上げます。
品名	数量	単価	金額(税抜)
Webサイト制作費用	1	150,000	150,000
小計			150,000円
消費税 (10%)			15,000円
合計金額			165,000円
お支払内訳（3回分割） 第1回支払額：55,000円 (支払期限：2025年10月31日) 第2回支払額：55,000円 (支払期限：2025年11月30日) 第3回支払額：55,000円 (支払期限：2025年12月28日)
振込先 〇〇銀行 △△支店 普通 1234567 カ）カブシキガイシャデルタ

インボイス制度における注意点とは？

2025年10月1日から開始されたインボイス制度（適格請求書等保存方式）は、分割払いの請求書を発行する際にも対応が必要です。適格請求書発行事業者は、通常の請求書と同様に、分割払いの請求書にも以下の項目を記載しなければなりません。

• 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
• 取引年月日
• 取引内容（軽減税率の対象品目である旨）
• 税率ごとに区分して合計した対価の額（税抜または税込）および適用税率
• 税率ごとに区分した消費税額等
• 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

分割の都度請求書を発行する場合、発行する全ての請求書がインボイスの要件を満たす必要があります。一方、全回分を1枚の請求書に記載する場合は、その1枚が要件を満たしていれば問題ありません。

また、消費税の端数処理は「一のインボイスにつき、税率ごとに1回」と定められています。分割の都度請求書を発行する場合、毎回消費税を計算して端数処理を行うと、総額にズレが生じる可能性があります。請求総額に対する消費税額を算出し、それを分割回数で按分するなどの対応を検討しましょう。

Q&A｜請求書の分割払いに関するよくある質問

請求書の分割払いをお願いする際や、対応する際に生じやすい疑問について、Q&A形式で解説します。いざという時に慌てないよう、事前に確認しておきましょう。

分割払いを断られた場合の対処法とは？

分割払いの依頼は、あくまでお願いであり、相手方（債権者）に受け入れる義務はありません。もし断られてしまった場合は、感情的にならず、以下の対処法を検討しましょう。

まずは、なぜ分割払いが難しいのか、相手方の事情を丁寧にヒアリングすることが重要です。理由によっては、再度条件を検討し、再交渉の余地が生まれる可能性があります。

例えば、「分割回数が多すぎる」という理由であれば回数を減らしたプランを、「本当に支払われるか不安」という理由であれば、一部だけでも先に支払う（頭金を入れる）といった代替案を提示することで、相手の不安を和らげ、合意に至るケースもあります。

どうしても当事者間での解決が難しい場合は、資金調達の方法を切り替えることも一つの手です。具体的には、日本政策金融公庫などの公的融資や、民間のビジネスローン、売掛債権を資金化するファクタリングサービスなどの利用を検討しましょう。

分割払いの途中で支払いが遅れそうなときはどうする？

分割払いの合意をしたにもかかわらず、途中で支払いが遅れそうになった場合、最も重要なのは「支払期日前に、できるだけ早く連絡する」ことです。無断での遅延は、相手方との信頼関係を著しく損ないます。

連絡する際は、電話などで直接、以下の点を誠実に伝えましょう。

• 支払いが遅れることへのお詫び
• 支払いが遅れる具体的な理由
• いつまでに支払えるのかという明確な日付

正直に状況を説明し、支払意思があることを示すことで、相手方も柔軟に対応してくれる可能性が高まります。約束を守れなかったことは事実ですが、その後の誠実な対応が、今後の取引関係を維持する上で不可欠です。

覚書や契約書は必要ですか？

分割払いに合意した場合、法的に覚書や契約書の作成が義務付けられているわけではありません。しかし、後の「言った・言わない」といったトラブルを防ぐため、金額の大小にかかわらず、書面で合意内容を残しておくことを強く推奨します。

口約束だけでも契約は成立しますが、証拠が残らないため、万が一の際に不利な状況に陥る可能性があります。書面を作成することで、双方の認識を一致させ、安心して取引を進めることができます。

覚書や合意書には、少なくとも以下の項目を盛り込むとよいでしょう。

記載項目	記載内容の例
元の請求内容	◯年◯月◯日付請求書（請求書番号：XXXX）に関する売掛金
元の請求金額（債権総額）	金1,100,000円（消費税込み）
分割払いの回数と各回の支払額	全10回払い。第1回から第9回まで各110,000円、最終回110,000円。
各回の支払期日	◯年◯月末日から、毎月末日限り
支払方法	債権者の指定する銀行口座への振込送金による。（振込手数料は債務者負担）
遅延した場合の取り決め（遅延損害金など）	支払いを怠った場合、年率◯%の遅延損害金を支払う。
合意した日付	◯年◯月◯日
当事者双方の署名・捺印	（債権者）株式会社〇〇 代表取締役 〇〇 〇〇 印 （債務者）株式会社△△ 代表取締役 △△ △△ 印

これらの内容を盛り込んだ書面を2部作成し、双方が1部ずつ保管するようにしてください。

まとめ

請求書の分割払いは、取引先との合意があれば法律上何ら問題ありません。大切なのは、一方的に要求するのではなく、誠意をもって相談することです。分割払いを依頼する際は、まず支払いが困難になった理由を正直に伝え、実現可能な支払計画を具体的に提示することが信頼関係を維持する上で不可欠です。本記事で紹介したメールの例文や伝え方のマナーを参考に、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。万が一のトラブルを防ぐためにも、分割払いの条件について合意した内容は、メールの文面や覚書といった書面で残しておくことが重要です。