更新日:2024.11.29
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請求書は、提供した商品やサービスの報酬を確定させるための重要な書類です。請求書を介して後払いする取引は、自身と取引先の信頼関係がなければ成立しないため、締め日が設けられている場合が多いです。
締め日を過ぎてしまうと取引先からの信頼を失ってしまう可能性があるため、適切な対処を行わなければなりません。この記事では、請求書の締め日や決め方について紹介し、締め日を過ぎてしまった際の対処法も解説します。
請求書の締め日とは、指定日までに発生した取引をまとめて請求する基準となる日です。取引先が事務処理を円滑に行うことや、取引の区切りとする目的で設定されています。
請求書の締め日は自身と取引先のどちらも合意した上で設定が可能です。締め日はどちらも指定できますが、一般的には報酬を支払う側、つまり取引先から指定される場合がほとんどでしょう。
また、締め日には「支払日」「締切日」という似たワードがあり、それぞれ意味が異なるので正しく理解しておきましょう。
締め日は指定された日までに行った取引を計上する日で、報酬額を確定させる日ともいえます。支払日は、締め日に確定した報酬を支払う日です。
報酬は「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」により、請求書の受領から60日以内に支払うと定められています。
"下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、親事業者が下請事業者の給付を受領した日(役務提供委託の場合は、下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。次項において同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。"
(引用:e-Gov法令検索 下請代金支払遅延等防止法 第二条の二)
2024年11月1日に施行された「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス新法)」でも、60日以内と定められています。支払日が不要に遠い日に設定されている場合は法律違反になるため、支払日をできる限り早い日に指定しているかを確認しましょう。
支払遅延などのトラブルを防止するためにも役立ちます。
締切日とは成果物の提出期限日のことで、納期や納入期限などとも呼ばれています。文章の成果物を取り扱う出版業界やWebライティングなどで使われる場合が多いです。
そのため、締切日という言葉は、請求書ではほとんど使用されません。締め日とは関連性がない言葉のため、請求書で使用しないように注意しましょう。
請求書の締め日を決めるのは自身なのか取引先なのか、締め日が休日の場合はどうすればよいのか、悩む方もいるでしょう。ここでは、締め日の決め方について解説します。
請求書の締め日は、発注側と受注側のどちらが決めるという明確な決まりがありません。一般的には請求書を受け取る発注側が、請求書の締め日を指定します。
支払日も同様に発注側が定める場合がほとんどです。もし発注側から締め日と支払日の指定がないときは、お互いの取引を円滑にするために、こちらから指定してみましょう。
締め日は取引の区切りである日なので、こちらから指定する際は月末に設定しておくのが望ましいです。発注側で不都合がある場合は代替案を提示してくれるはずなので、双方の合意のもと、締め日を設定してください。
締め日が休日の場合、ほとんどの企業は「休日のため◯日までに送ってください」という連絡があるでしょう。しかし、連絡がない場合は締め日の直前に送るのがおすすめです。
例えば「20日締めなのに当日が土曜日で取引先が休み」という場合は、19日に請求書を送付します。締め日よりも早く送る理由は、休日明けは業務が溜まって忙しく、請求書を見逃す可能性があるからです。
取引先から連絡がなく、締め日よりも早く送ってもいいのか不安だという方は、いつまでに請求書を送ればよいかを事前に確認してください。
請求書に締め日は記載しないのが一般的です。もし記載するのであれば、請求書発行日を実質的な締め日とするか、備考欄に「締め日:◯月◯日」と明記しておきましょう。
ただし、支払日の期限は請求書に記載します。支払期限の記載をすることで、取引先からの報酬支払いが漏れないように対策するためです。
請求書の締め日を過ぎてしまうと、取引先からの信頼が崩れ、今後の継続的な依頼もなくなってしまうかもしれません。以下の3つの対処法を迅速かつ冷静に行いましょう。
一つずつ解説します。
締め日を過ぎてしまった場合、まずは取引先に謝罪することが大切です。電話やメールで直接謝罪し、遅延の理由を簡潔に説明しましょう。
謝罪する際は、請求書の締め日を過ぎたことによる、取引先に与えた影響についても配慮の言葉も伝えてください。取引先からの理解を得やすくなります。
丁寧な対応を心がけることで、信頼関係を損なうリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
締め日を過ぎている場合、再発行が必要になることがあります。再発行するのは、本来の締め日から請求する日程がズレることで、新たな取引が含まれる可能性があるためです。
また、取引先の予定も変更しなければならず、新しい支払期限を設定しなければなりません。正しい日付と金額が記載されているかを確認し、新たに請求書を発行しましょう。
同じ過ちを繰り返さないよう、以下のような再発防止策を考えましょう。
請求するタイミングは、ほとんどの企業は月に1回しかありません。再発防止の考案だけでなく定期的な締め日確認も忘れずに行うことが大切です。
本記事では、請求書の締め日や支払日・締切日との違い、期限を過ぎたときの対処法などを解説しました。
請求書の締め日は、指定日までに行った取引を確定させる日です。一般的に、発注側である取引先が管理の手間を削減し、事務作業をスムーズに進めるために指定されます。
締め日を過ぎてしまうと、これまで築いてきた信頼関係が崩れてしまう可能性が高く、継続的な依頼もなくなる恐れがあるため、締め日を過ぎた際は迅速に適切な対処を行いましょう。