更新日:2024.06.03
ー 目次 ー
インボイス制度開始以降、請求書を作成する時に消費税率別の記載など、項目が複雑になりました。
経理担当者は、計算や記載に関わる業務量が増えたため、請求書処理を自動化して会計・経理業務を効率化する会社が増えています。
本記事では、請求処理を自動化する方法とおすすめの自動化ツール、活用のコツを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
▼この記事で解説する内容
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請求書を自動化する方法を、自社でおこなうパターンと外部サービスを利用するパターンの2つに分けて解説します。
▼ポイント
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自社で請求書を自動化する場合は、エクセルのプログラミング言語「VBA(Visual Basic for Applications)」を使う方法が一般的です。
顧客名や取引内容をまとめた取引データを用意する必要はありますが、VBAを使えば取引データを基にして請求書作成・PDF化・メール送信まで一貫して自動化できます。
顧客管理情報として既に取引データをまとめている企業におすすめの方法です。
ただし、VBAはプログラミングスキルが必要となることや、担当者以外による保守・修正・改良が難しいなどのデメリットがあります。
開発までの時間と人件費もかかるため、費用対効果が高いかどうかは従業員が持っているスキル次第といえます。
自社で請求書の自動化が難しい場合は、外部サービスの利用がおすすめです。
導入コストはかかりますが、人件費の軽減につながるため、長期的にみると費用対効果が高い可能性があります。
導入を検討するときは、自社で自動化システムを開発する場合のコストと比較してみると良いでしょう。
おすすめの請求書自動化サービス・ツールには、次のようなものがあります。
サービス名 |
内容 |
NTT・KDDI・SoftBankなどの通信会社からの請求書をGiが受領し、1回の適格請求書にまとめて発行。 電話料金を自動分析したデータを受け取れるので、通信費の削減施策に役立てられる。 |
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電気・ガス・水道の請求書の受け取りと処理業務を自動化。One Voice公共が水道光熱費を建て替え払いし、税率ごとに集計した立替金精算書を発行するため、各請求書の取得・確認・保存を1回にまとめられる。 |
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PDFやCSVをアップロードするだけで、自動割振・明細作成・発行を一括代行。 請求書・納品書・支払通知書・領収書など幅広い帳票に対応している。 |
請求書の処理や発行だけでなく、データ分析まで任せられることは外部サービスならではのメリットといえます。
通信料金一括請求サービス Giは、NTTやKDDI、SoftBankなど、各通信会社からの請求書を毎月1枚の適格請求書として発行します。
複数の請求書をインボイス制度、電子帳簿保存法に対応した形で1枚にまとめてくれるので、通信料金の適格請求書の取得、確認、保存といった業務の効率化が可能です。
また、専用のポータルサイトから通信費の利用状況を自動分析した削減ポテンシャルが確認できるため、通信費削減の指標が立てられるのもメリットといえるでしょう。
OneVoice公共は、電気ガス水道といった光熱費の請求書受け取りと、支払い業務を自動化してくれるサービスです。
具体的には、OneVoice公共が水道光熱費を立替払いを行い、「適格請求書」と「その他」に分別して税率毎に集計した立替金精算書を発行するため、各請求書の取得・確認・保存を1回にまとめられます。
OneVoice明細は、請求書や納品書、支払い通知書、領収書など幅広い帳簿の発行業務を簡素化できるサービスです。
PDFやCSVをアップロードするだけで、自動割振、明細作成、発行など帳簿処理に関する業務を一括代行してくれます。
紙の帳票類の発行作業にコストと手間がかかっている経費担当者の人や、郵送コストを削減したい事業所におすすめのツールといえます。
請求書の処理業務をさらにスムーズにしたい場合は、取引先にも協力してもらうことをおすすめします。具体例は次のとおりです。
取引先に自社と同じ外部サービスを使ってもらえれば、請求書の発行・受領から送信、データ分析までサービス上で一括管理できるようになるため、会計・経理業務が格段とスムーズになるでしょう。
もし、自社で自動化システムを作る場合には、請求書フォーマットをそろえてもらうとスムーズです。読み取る情報の場所を指定できるため、開発を進めやすくなります。
いずれの方法の場合でも、協力してもらいたいこととしては電子化があげられます。
紙で受け取った請求書・領収書をデータに起こす作業は、塵も積もれば多大な人件費になるからです。
ここでは、請求書の自動化に関してよくある質問に回答します。
▼ポイント
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外部サービス・ツールを導入するか、エクセルの作成を外注しましょう。
ただし、後者の場合には保守・修正ができる人材が社内にいない限り、管理が難しくなります。
要望が出るたびに外注するとコストがかさむため、外部サービスの導入・利用がおすすめです。
自動化のメリットは、ヒューマンエラーによるミスをなくせる点です。
取引データにミスがなければ、請求書の作成・発行・送信など自動化した部分のミスがなくなるため、確認にかかる手間もなくなり、結果的に人件費が削減できます。
自動化ツールを開発または導入しても、使いこなせないと意味がないというデメリットがあります。
とくに、取引データの時点でミスがあると、作成から送信までミスが引き継がれる恐れがあるため注意が必要です。
実際に運用をはじめる前に、取引データのチェックを含む担当者の選定や業務フローを策定しておくことをおすすめします。
同時に、ローカルルールが蔓延して収集がつかなくなるなどの事態を防ぐためにマニュアル化をおこない、周知に努めましょう。
自社開発・外部サービスを問わず自動化システムはあくまでもツールであり、業務がスムーズに進むかどうかは従業員の取り組み次第です。
適切な運用のためには、従業員への周知と、誰でもわかるようなルール整備・マニュアル化が重要といえます。
外部サービスであれば、わかりやすいマニュアルがまとまっているため、この部分にかかるコストも削減できるでしょう。
導入から運用までのプロセスを含めてコストを計算し、費用対効果の高い選択をすることをおすすめします。