更新日:2024.12.27
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請求書の出し忘れは絶対に避けたいですが、失念するケースもあります。請求書を出し忘れると、会社の資金繰りや信用問題にも関わるので注意をしなければなりません。
この記事では、万が一、請求書の出し忘れが起きてしまった際の対処法について解説しています。お詫びの仕方や再発防止策についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
請求書は、企業や個人がサービスや商品を提供した際に、その対価を請求するために必要な書類です。請求書にはサービス内容、金額、支払い期限などが記載されており、金銭のやりとりをスムーズに行うのに役立ちます。
請求書を受理してから代金の支払いを行う企業がほとんどのため、請求書がなければ入金が行われません。支払い期限と金額がわからないと、取引先はいつまでにいくらの支払いをすれば良いかわからないのです。
請求書の出し忘れによる悪影響は主に2つあります。
1つ目は、会社の資金繰りへの影響です。会社は売り上げを得ることで、従業員への給与の支払いやプロジェクトへの資金投入が可能です。請求書を出し忘れると入金が滞ってしまい、経営をする上で大きなマイナスを抱える事態を引き起こしてしまいます。
2つ目は、会社の信用に対する影響です。請求書を出し忘れると、先方はイレギュラーな対応をしなければなりません。先方の貴重な時間を取ることになってしまうと同時に、こちら側の管理体制が整っていないという印象もついてしまいます。
売上債権とは、商品やサービスを提供した側が、先方から代金の支払いを受ける権利のことです。売上債権には5年の消滅時効があります。(※)5年を過ぎてから代金を請求しても、先方が時効を主張すれば、その請求は無効になってしまいます。
売掛金の消滅期限の換算は、請求が可能となった日から5年です。請求書の出し忘れに気づいた時は、期間内に対応し売上金の回収に努めましょう。
※参考:e-Gov「民法第166条」
前述したとおり、売上債権は5年の消滅時効があります。5年を過ぎると時効になり、先方の支払い義務がなくなるため、請求しても受理されません。
言い換えると、支払い期日から5年以内であれば時間が経っていたとしても請求することが可能です。請求書の出し忘れに気づいたら、早急に先方へ連絡し、謝罪や提出の対応に移りましょう。
請求書の出し忘れに気づいたら、然るべき方法で早急に対処する必要があります。ここからは、請求漏れが発覚した際の対応方法を3つ解説します。
上長がいる場合は、請求書の出し忘れに気づいたタイミングですぐに報告しましょう。会社同士の取引であれば、自分以外にも請求書の内容に関わった人がいる場合があります。請求書を出し忘れた原因によっては、上長や経理部門が謝罪をするケースもあるでしょう。
また、謝罪方法として電話、メール、直接訪問の3つがあります。どの方法がベストか考える必要があるため、上長に報告した上で対応しましょう。
先方に電話をして謝罪し、メールで詳細を送るのが一般的ですが、取引先によっては電話を避けたほうがいい場合もあるかもしれません。判断が難しい場合は、上長と相談し対処法を決めてから動きましょう。
お詫びをする際は、言い訳をせず簡潔に説明することが重要です。請求書を出し忘れたお詫びと原因を伝え、次にいつ提出が可能なのかを伝えましょう。簡潔にわかりやすく説明し、真摯なイメージを持ってもらうことも大切です。
謝罪後は、なるべく早く請求書の作成に取りかかりましょう。焦って作成し、ミスを繰り返すのは避けなければなりません。迅速かつ丁寧に作成し、上長や同僚のダブルチェックを受けてから提出してください。
郵送の場合は、お詫び状を同封し、速達で送るといいでしょう。
ここからは、万が一請求書を出し忘れた場合の、お詫び状に書く内容を5つ解説します。郵送に同封するお詫び状や、メールで謝罪をする際にお役立てください。
先方の担当者は日々何通ものメールに目を通しています。他のメールに埋もれるのを防ぐため、メールには「【重要】請求書遅延に関するお詫び」のような、請求書の出し忘れが一目でわかる件名を付けるといいでしょう。
電話での説明同様、メールやお詫び状も簡潔でわかりやすく伝えるのがポイントです。
冒頭では、通常のメールと同様に挨拶から書きます。その後に請求書の出し忘れに関する謝罪を簡潔に書きましょう。
メールを送付する前に電話をしている場合は、「先ほどお電話でご連絡いたしましたが、改めて請求書遅延に関する詳細をお送りいたします」などの一文があると丁寧です。
ここでも言い訳や回りくどい書き方はしないように注意してください。読む側にストレスを与えないシンプルな書き方を心がけましょう。
次に、請求漏れが発生した経緯や原因を書きます。ここでも謝罪と同様、回りくどい書き方にならないように注意しましょう。
また、再発防止の観点からも、丁寧にわかりやすく説明することが求められます。何が原因だったのか伝わるように言葉を選び、わかりやすい書き方を意識してください。
次に、新しい請求書の提出日を記載します。請求書の提出日は、先方の締め日に合わせるのが一般的ですが、イレギュラーの場合、違う日付を指定されるかもしれません。
あくまでも先方の状況に合わせる必要があるため、こちらだけで決めず、先方とすり合わせを行った上で発送日を決めてください。請求書の行き違いがあってはならないため、双方の合意のもと進めるといいでしょう。
最後に、今後の再発防止策を記載します。会社の場合、請求書発行に関わる他の従業員にも周知する必要があるため、再発防止策は社内で慎重に検討しましょう。
先方との良好な関係性を保つためにも、必ず再発防止策は記載してください。
先方に謝罪をする際、再発防止策も伝える必要があります。
ここでは、請求漏れの再発防止策を3つ紹介します。未然防止策として取り入れるのもおすすめです。
請求書に番号を割り振るナンバリングは、管理方法として有効です。企業間のやりとりでは、請求書だけではなく見積書や納品書なども発生します。取引先ごとに番号を決めて一括管理をすると、効率的に情報の整理ができるため、請求漏れ防止に役立つでしょう。
請求書に関する問い合わせが来た際も、番号を検索すればいいだけなので、業務効率も上がります。
取引先ごとの売掛金について管理する「売掛金元帳」を作成するのも、請求漏れを防ぐ1つの方法です。売掛金元帳とは、売掛金の発生状況や回収状況をまとめたものです。サービスや商品を納品したタイミングで帳簿に記入し管理すれば、請求書の出し忘れに気づけるでしょう。
取引先が多いほど記入に時間を要しますが、リアルタイムのキャッシュフローを把握できる方法として有効です。
請求書の出し忘れやキャッシュフローの管理不足は、ほとんどが人為的ミスと言っていいでしょう。管理体制を整えて業務効率化を図るには、システムの導入が有効です。
請求書の発行状況や売掛金の回収状況などをシステム上で一括管理ができるので、請求書の出し忘れを未然に防ぎ、作業効率が向上するメリットがあります。
取引先から請求書が送られてこなくても、法律上は、請求可能となった日から5年で消滅時効になります。サービスや商品を受け取った事実があっても、先方が5年間請求漏れに気づかなければ、支払義務は発生しません。
しかし、ビジネスモラルという観点では、請求書が来ていないことに気づいているにもかかわらず、黙っているというのは好ましくありません。先方から請求書が届かない原因を探り、然るべき対応を取るのがいいでしょう。
本記事では、請求書の出し忘れによる影響や、対処方法について紹介しました。
請求書の出し忘れが発生した場合は、上長や担当部署との連携や先方へのお詫び、請求書の提出など、早急な対応が必要です。
請求漏れは、会社の管理体制が問われる出来事と言っても過言ではありません。取引先と良好な信頼関係を築くためにも、真摯な態度で謝罪し再発防止を徹底しましょう。