更新日:2024.11.28
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取引相手からの紙媒体の請求書が会社に送られる場合、経理業務をおこなうためには出社する必要があります。また、受け取った旨の連絡や内容の確認などの業務負担も大きく、ヒューマンエラーも起こりやすい点から、受取請求書の電子化を進める企業は少なくありません。
請求書受領サービスを導入すれば、これらの問題をすべて解消でき、よりスムーズな請求書対応が可能となります。
本記事では、請求書の受取を効率化するための請求書の電子化について解説します。
請求書受領サービスとは、取引先から送付された請求書の受取、データ化、管理や仕訳などを自動化できるサービスです。請求書受領サービスの種類は豊富にあり、それぞれ特徴が異なりますが、以下の機能は共通しています。
これからサービスの導入を検討する際には、自社の経理業務の状況や得られる効果、費用対効果などを確認することが大切です。
請求書受領サービスを導入すれば、経理担当者が出社して対応するアナログな業務をなくせるだけでなく、ヒューマンエラーで起こるトラブルを未然に防げます。このことから請求書受領サービスの導入が企業で増えつつあり、今後も注目されていくサービスといえるでしょう。
ここでは、請求書を電子化するにあたってのポイントを解説します。
電子帳簿保存法とは2022年1月1日に改正された法律で、仕訳帳や請求書などの帳簿・書類の保存に関するルールを定めています。
これまで、国税関係の帳簿・書類は紙での保存が義務化されていましたが、改正後は受取した請求書は紙の請求書の場合はどちらでも可能で、電子データで受取した場合には電子データのままで保存する必要があります。
このように電子帳簿保存法の改正にともなって、受け取った請求書を紙にプリントアウトして保存する手間もなくなりました。
電子帳簿保存法の対象となる帳簿や書類は「国税関係帳簿」「国税関係書類」「電子取引」の3つに分けられます。これらは、以下の3つの方法で保存しなければいけません。
保存区分 |
保存方法 |
対象の書類 |
電子帳簿・電子書類 |
会計ソフトを使って最初からPCで作成した帳簿や書類を電子データのまま保存 |
・国税関係帳簿 ・国税関係書類の一部 |
スキャナ保存 |
紙の書類をスキャンして画像データとして保存 |
・国税関係書類の一部 |
電子取引 |
メールなど、電子的にやりとりした帳簿や書類を電子データのまま保存 |
・電子取引 |
今まで、電子帳簿保存法は何度か改正がおこなわれており、直近のものでは2022年1月に改正され、2024年1月から適用されています。
改正前はメール・チャットなどから電子データとして受け取った請求書は、プリントアウトして保存できました。しかし、改正後のルールでは、電子データで受け取った請求書は保存要件を満たしたうえで、電子データのまま保存しなければなりません(※)。
(※)参考:国税庁「電子取引関係」
請求書受領サービスは導入すれば、さまざまなメリットが得られます。ただ、自社の課題を解決できるのか、また導入後にどのような効果が期待できるのかは企業によって異なります。
ここでは、請求書受領サービスを導入するメリットを解説します。
経理担当者は請求書関連の業務に慣れている一方で、あまりにも負荷をかけ過ぎるとチェックが疎かになり、トラブルの原因になりかねません。
しかし、請求書受領サービスを導入すれば、請求書の封入やデータ入力の必要がなくなるため業務の負担を軽減可能です。また、チェック機能が備わっているサービスを使えば、ヒューマンエラーによるミスが生じるリスクも回避できます。
法改正や新制度で法律が変わる度、請求書の記載事項や受取方法、また処理方法などの変更後のルールにあわせる必要があります。たとえば、電子帳簿保存法の改正後、電子データの請求書は電子データのまま保存しなければいけません。保存する環境が整っていない場合、早急に保存環境を整える必要があります。
このような法改正や新制度への対応で請求書受領サービスがあれば、新ルールに則った形でシステムが利用可能です。自社側で新たに対応する手間が省けます。
紙の書類でのアナログな業務があることから、在宅勤務が進んでいない企業も少なくありません。そこで請求書受領サービスを導入することで、経理担当者の在宅勤務が移行しやすい環境が整えられます。
とくに、請求書の受取代行を実施しているタイプの場合、オペレーターが請求書を受取ってもらえ、そのまま電子化対応をしてもらえます。
請求書受領サービスの導入にはデメリットがあり、知らないままでは思わぬ場面でトラブルに遭います。サービス導入前にデメリットを確認し、導入しても問題ないと判断したうえで導入しましょう。
ここでは、請求書受領サービスを導入するデメリットについて、解説します。
請求書受領サービスを導入するためには、サービス利用料や社員の教育などのコストが必要です。
このようなコストがあることから、請求書受領サービス導入で得られる恩恵が導入コストを超えるか否かを確認する必要があります。万が一、導入コストを越えられなかった場合、費用対効果が得られないためしっかりとシミュレーションしましょう。
取引先によっては、自社の都合にあわせて請求書対応をしていた可能性もゼロではありません。そのため、請求書受領サービスの導入後は、取引先に対して請求関係の対応に変更が生じる旨の連絡をする必要があります。
もし対応方法に変更が生じる場合には、その旨もあわせて連絡しておく必要があるでしょう。必要に応じて、電話やビデオ通話で伝えることも検討してください。
現在、あらゆる企業が請求書受領サービスを提供しています。しかし、それぞれのサービスでその内容や機能、サポートなどが異なるため、どの請求書受領サービスが自社に適しているかが判断しづらくなっています。
必ずサービスの内容を個別で確認し、複数のサービスを比較したうえで検討しましょう。
ここでは、自社に適した請求書受領サービスを選ぶためのポイントについて、解説します。
取引相手が請求書を発行し、オペレーターの元に届いて電子化される際、発行から電子化までにラグが発生します。
そのため、まずは請求書の電子化までのスピードを比較しましょう。また、請求書の電子化をAIやOCRがおこなうタイプの場合、修正の手間を減らすためにもスキャンの精度を比較しておくことが大切です。
電子化のスピードやスキャンの精度は、請求書受領サービスのSNSやまとめサイトの口コミなどでも判断可能です。
請求書関連の業務は受取だけではなく、その後の仕訳や管理などの業務も存在します。そのため、受取業務以外にどのような業務を効率化できるかの機能も確認しましょう。
請求書関係では、作成や送付の代行機能も備わっています。また、会計ソフトとの連携ができるものもあり、請求書におけるほとんどの業務を自動化できます。
請求書には請求書の発行元、請求日などの項目が記載されています。もし読み取れる項目が少ない場合、請求書受領サービスを導入するメリットがあまり得られません。とくに、電子化に対する要望があれば、費用対効果も見込めないため注意する必要があります。
このようなことから、AIやOCRが読み取ってくれるタイプの請求書受領サービスの場合、読み取れる項目の多さも比較するポイントです。
請求書受領サービスは数多く提供されており、細かな機能やサービスの強み、特徴が異なります。
ただ、大切なポイントは自社に導入した場合にどのような効果が得られるかが重要です。それぞれのサービスのポイントを知ったうえで、自社に置き換えて検討しましょう。
ここでは、おすすめの請求書受領サービスを4選紹介します。
Gi通信は、通信費に関する請求書の受領や仕訳などの業務を効率化できるサービスです。
各通信回線から別々に送付される適格請求書を1つの請求書にまとめる機能が備わっています。また、請求書を個別にダウンロード、支払いする手間がなくなるため、経理担当者の負担が削減可能です。
なお、Gi通信は企業や自治体を含む約15,000社の経理担当が導入しており、確かな実績もあります。
OneVoice公共は、公共料金の請求書を効率化するサービスです。
取引先によってはインボイス対応や請求書のレイアウト、交付手段が別々であっても、このサービスを利用すれば、支払いを一括で立て替えたうえで立替金精算書を発行してもらえます。
なお、OneVoice公共には最低利用期間がないため、万が一合わなかった場合は違約金なしですぐに解約できます。
Bill Oneは、サポートが充実している請求書受領サービスです。
担当者による導入や運用サポートがうえに、ユーザー同士で意見交換できるコミュニティがあることから、初心者でも安心して利用できるでしょう。また、基本的な機能も充実しており、郵便やメールなどのさまざまな形式で届く請求書をオンラインで管理可能です。
このサービスでは、請求書のデータ化の精度に強みがあり、ユーザーからは好評です。
freee支出管理は、業開初の明細行の自動仕訳機能が搭載された請求書受領サービスです。
AIがフォルダ振分や取引情報、明細読取、仕訳まで対応してくれるため、導入以前と比べて大幅な業務改善が見込めます。また、保管フォルダのカスタマイズの自由度も高く、部署ごとにフォルダ分けできたり社員ごとに閲覧制限を設けたりすることが可能です。
本記事では、請求書の受取を効率化するための請求書の電子化について解説しました。
あらゆる業務が電子化される昨今、請求書の受領も電子化すべき業務となりつつあります。
請求書受領サービスを導入することで電子化には対応できる一方で、しっかりと検討せずに導入してしまえば得られるメリットは少ないでしょう。多くのメリットを受けるためにも、、自社が抱える課題と請求書受領サービスの内容・機能などの情報を集めたうえで、比較・検討が必要です。
自社に適した請求書受領サービスが導入できれば、経理担当の負担を軽減できるでしょう。