更新日:2024.11.11
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経費精算の際に「あれ?これってレシートで大丈夫だっけ?」と迷った経験はありませんか?レシートと領収書、どちらもお金を払った証拠になりますが、実はそれぞれ異なる特徴と役割があります。
この記事を読めば、あなたはもうレシートと領収書の違いで迷うことはありません。 経費精算で慌てることなく、適切な書類を提出できるようになります。さらに、インボイス制度下での注意点や、確定申告におけるレシートの活用方法まで、網羅的に解説します。
この記事でわかること
経費の精算はレシートを使っても問題ないのでしょうか。
実際、経費の精算にはレシートを使用することが可能です。
ただし、経費精算としてレシートを使用する場合には「領収書の宛名」「領収書の発行者」「取引年月日」「取引内容」「取引金額」の5つの項目が記載されたものでなければなりません。
この5つの記載項目については、消費税法上においても、経費精算に必要な証拠書類として記載が義務付けられているものとなります。
経費精算に使用する場合は、記載漏れがないか、あらかじめ確認しておきましょう。
◇特定の業種では宛名が省略された領収書でも使用可能
5つの項目のなかでも特に重要な項目となるのが「領収書の宛名」の記載です。
以下の業種で発行されたレシートでは、宛名が省略された領収書でも税法上、経費精算に使うことが可能となっています。
基本的にレシートを出すことが一般的になっている業種では、領収書の代わりに、レシートで代用できると考えてよいでしょう。
● 小売業
● 旅客運送業(バス・鉄道・航空会社等)
● 旅行業
● 飲食業
● 駐車場業
ちなみに海外では領収書を発行されることはなく、レシートも領収書も同じ意味合いを持っています
そのため、領収書はあくまでも日本独自の文化としての位置づけを持つと考えてよいでしょう。
ここからは、レシートと領収書の主な違いについて以下の4つを取り上げ、確認していきます。
1. 宛名の記載の有無
2. 社名の印鑑の有無
3. 手書きでの記入
4. 要求により作成する場合もある
この4つのなかでもわかりやすい最大の違いは、宛名の記載有無といえるでしょう。
以下、具体的にこれら4つの違いについて紹介します。
レシートは、レジから印字されて発行されるもので、内容には「購入した日付」「店名」「品目」「商品ごとの単価」「取引内容」などが記載されます。
一方、領収書には、レシートに記載された内容にあわせ、購入者の情報が宛名として記載されています。
書類 | 宛名の記載 |
---|---|
レシート | 記載なし |
領収書 | 記載あり |
レジからそのまま発行されるレシートには、基本的に社名の印鑑は押しません。
しかし、領収書の場合は、会社規定により、発行者名の横に社名の印鑑が押される場合が多くなっています。
書類 | 社名の印鑑 |
---|---|
レシート | 記載なし |
領収書 | 記載あり(多くの場合) |
基本的に、レシートでは手書きで作成されるという場面はありません。
それに対し、領収書は、手書きで記入されることもあります。
書類 | 手書きでの記入 |
---|---|
レシート | 記載なし |
領収書 | 記載あり(一部の場合) |
レシートは、商品やサービスを購入すると必ず発行されますが、領収書は、購入者が要求した場合にのみ発行されます。これは、領収書が経費精算などのために必要な書類であるため、必要な人が要求できるようにするためです。
書類 | 要求により作成 |
---|---|
レシート | 必ず発行される |
領収書 | 要求に応じて発行される |
2023年10月に開始されたインボイス制度においても、レシートと領収書の基本的な違いに変わりはありません。
しかし、インボイス制度下では、適格請求書と呼ばれる、消費税額などを正確に記載した請求書が必要となります。
領収書は、適格請求書の要件を満たしていれば、そのまま適格請求書として利用できます。一方、レシートは、適格請求書の要件を満たしていないため、そのままでは利用できません。
先ほども触れたとおり、レシートと領収書はいずれも経費精算に使える書類です。そのため、どちらも経理処理を行う際に正式な書類として使えることには違いありません。
ただ、一般的に領収書の方がレシートよりも信頼性が高いと言われています。その理由について3つここでは解説していきます。
レシートは、感熱紙に印字されることが多く、時間が経つと文字が薄くなったり、消えてしまうことがあります。また、レシートは、簡単に破れたり、汚れたりすることもあります。これらのことから、レシートは改ざんが容易であるとされています。
一方、領収書は、普通紙に印字されることが多く、時間が経っても文字が薄くなったり、消えてしまうことはあまりありません。また、領収書は、レシートよりも丈夫で、破れたり、汚れたりしにくいという特徴があります。これらのことから、領収書は改ざんが難しいとされています。
レシートは、あらかじめ印字される項目が決まっているため、記載内容に柔軟性がありません。一方、領収書は、手書きで記入される場合もあるため、記載内容にある程度の柔軟性があります。そのため、レシートよりも領収書の方が、必要な情報を詳細に記載できるというメリットがあります。
多くの企業では、経費精算において領収書の提出を求めています。これは、領収書の方がレシートよりも信頼性が高いと考えられているためです。また、領収書には、宛名や但し書きなど、経費の内容を明確にするための情報が記載されているため、経費の管理がしやすくなるというメリットもあります。
業種によって、レシートと領収書の記載事項に違いがあります。代表的なケースを4つ見てみましょう。
コンビニの場合、レシートと領収書の記載事項はほぼ同じです。どちらも、購入日時、商品名、数量、金額などが記載されています。
タクシーの場合、レシートには乗車日時、乗車区間、運賃などが記載されています。一方、領収書には、これらの情報に加えて、会社名、車番、運転手氏名なども記載されています。
スーパーの場合、レシートには購入日時、商品名、数量、金額、ポイントなどが記載されています。一方、領収書には、これらの情報に加えて、店舗名、レジ番号なども記載されています。
飲食店の場合、レシートには注文日時、料理名、数量、金額などが記載されています。一方、領収書には、これらの情報に加えて、テーブル番号、担当者氏名なども記載される場合があります。
結論として、確定申告においてレシートは領収書の代替にできます。 ただし、レシートには必要事項が記載されている必要があります。
確定申告でレシートを領収書の代わりに使うには、以下の必要事項が記載されている必要があります。
もしレシートに必要な事項が記載されていない場合は、領収書の発行を依頼しましょう。領収書は、税務調査の際にも証拠書類として重要となりますので、保管を徹底してください。
会社で領収書を必要とされた場合、レシートと領収書を2つあわせた発行は可能なのでしょうか。
実は、レシートと領収書は同時発行することはできないとされています。
レシートと領収書を両方発行できないことの一番の理由として挙げられるのは、レシートと領収書の同時発行が、「経費の二重精算」につながってしまう点です。
仮に領収書の受け取り側で、経費精算を2回行うようなことがあると、違反した本人だけでなく、領収書の発行者側にも有印私文書偽造の罪に問われることもあります。
そのような不正を未然に避けるため、相手側に領収書の発行をお願いした際は、その場でレシートを回収されてしまう場合が多くなっているのです。
自動販売機で購入した飲料代やバス・電車等の交通費など、レシートや領収書の発行がなされない場合もあります。
これらについて経費として計上する場合は、出金伝票の作成をする必要があります。
レシートや領収書に比べて優先順位が低いものの、税務署の審査で利用できる可能性が高いため、エクセルなどを利用して作成しておくとよいでしょう。
レシートと領収書の発行を受けたら、最低7年間は保存しておかなければなりません。
両者については、経費支払の証拠となるため、保管期限を税法上7年と定めているためです。
なお、この7年とは、「レシートや領収書が発行されてから7年」ではなく、「確定申告の提出期限から7年」となりますので注意しましょう。
領収書に関しては2016年の法改正により、電子データでの保存も可能となっています。
電子データでの保管をする際には、実施の3ヶ月までには、税務署に申請しておく必要があります。
今回は、レシートと領収書の違いを中心に紹介しました。
両者はいずれも経費精算に使える書類ですが、いくつかの違いがあります。
最も大きな違いは、宛名の記載有無です。
会社によっては、社内規定でレシートの経費精算での使用を不可としている場合もあるため、規定に沿った運用となるよう、あらかじめ社内ルールについて確認をしておくとよいでしょう。