更新日:2024.10.29
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請求書の金額や支払日に間違いがあったら、二重線などで訂正することは可能なのでしょうか。ビジネス上の慣例として、請求書の間違いは訂正ではなく、再発行で対応すべきだとされています。
また、メールの文面としては以下のような書き方が最適でしょう。
件名:請求書未送付のお詫び
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日は〇〇のご注文をいただき、誠にありがとうございました。
早速商品を発送させて頂きましたが、その際、請求書の同封を忘れておりました。
つきましては、改めて請求書を郵送いたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
この度は、弊社の手違いにより、大変ご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
今後は、このようなミスが起こらぬよう、発送業務のチェック体制を強化し、再発防止に努めてまいります。
まずは略儀ながら、書中をもちましてお詫び申し上げます。
敬具
本記事では、請求書の間違いがあったときの対応方法や、取引先へのお詫び状の書き方、請求書のミスを防ぐ方法を解説します。
請求書の内容に間違いがあったら、早急に修正が必要です。特に請求書の金額や支払日の間違いは、取引先に迷惑をかける可能性があるため、迅速な対応が必要です。
請求書の間違いを見つけたとき、二重線を引くなどして訂正することは認められるのでしょうか。実は、請求書の間違いは訂正ではなく、再発行が必要だとされています。企業間取引における請求書の役割や、請求書の再発行が必要な理由を簡単に見ていきます。
そもそも請求書は、商品やサービスの代金を取引先に請求するための文書です。請求書は、契約書、領収書、発注書、納品書などの文書と並んで、取り引きの事実を示す証憑書類として保管します。国税庁によると、請求書には以下の事項を記載することが望ましいとされています。(※)
種類 | 記載事項 |
取り引きの相手方から交付を受ける、請求書、納品書など | 1. 書類作成者の氏名または名称 2. 取引年月日 3. 取引内容(軽減税率の対象品目である旨) 4. 税率ごとに区分して合計した税込対価の額 5. 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称 |
請求書を発行する理由は、取り引きの品目や単価、金額、税額、支払日などを明らかにし、代金支払いに関するトラブルを予防するためです。従って、請求書の内容に間違いがあった場合は、迅速に対応する必要があります。
(※)出典:国税庁「No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた」
行政手続きでは、文書の内容に間違いがあった場合、二重線や訂正印を用いて訂正することが認められます。しかし企業間でやりとりする請求書の場合、慣例として二重線などを用いた訂正は認められません。請求書の金額や支払日などに間違いがあった場合は、新しい請求書を再発行する必要があります。
請求書には、取引内容を正確に表す証憑書類としての役割があります。二重線などで訂正を行った場合、請求書を受け取った人は金額や支払日が本当に正しいものかをその場で判断できません。発注書や受注書などを確認し、訂正内容が合っているかどうか確認する手間がかかります。
また、請求書の訂正を自由に認めると、経理担当者の不正会計の温床になり得るという見方もあります。そのためビジネス上の慣例として、請求書の間違いは二重線や訂正印を用いた訂正が認められていません。新しい請求書を再発行し、取引先に送付する必要があります。
請求書を再発行するとき、気をつけたいポイントは4つあります。
重要なのは、古い請求書と新しい請求書をきちんと区別し、混同しないようにすることです。新しい請求書には再発行した旨を明記し、古い請求書と異なる番号を割り振りましょう。ただし、請求書の発行日は元のまま記載する必要があります。
新しい請求書を発行するときは、再発行した請求書であることが分かるように区別しましょう。例えば、請求書(再発行)というタイトルを付ける方法や、請求書の隅に再発行のスタンプを押す方法があります。また請求書の備考欄に、再発行をした経緯や日付を記載する場合もあります。
再発行したことが分かるようにする理由は、請求書の二重払いを防ぐためです。再発行した旨を記載しない場合、同じ取り引きに関して請求書が2通存在することになります。そのため請求書を受け取った側が再発行に気付かず、料金を二重に支払ってしまう可能性があります。
請求書の発行日の欄には、再発行をした日付ではなく元の請求書を発行した日付を記載しましょう。前述のとおり、請求書は料金請求を行った事実を示すための証憑書類です。請求書の発行日を書き換えると、料金請求を行った日が誤認される可能性があります。ただし取引先によっては、再発行した日付に合わせて変更することを希望するケースもあります。請求書の発行日に関して、法律上の取り決めはありません。原則として請求書の発行日は元のまま記載し、必要な場合は発行日を変更しましょう。
請求書を発行するとき、管理しやすくするために固有の請求書番号を割り振ることが一般的です。再発行した請求書の番号は、元の請求書番号に枝番を振り、きちんと区別しましょう。例えば、元の請求書番号が20230301の場合、再発行した請求書に20230301-1と枝番を振れば、2枚の請求書を区別できます。請求書の再発行を何度か行った場合は、20230301-1、20230301-2、20230301-3と連番にすることで、請求書を管理しやすくなります。
請求書を再発行する際、早急に送付しようと郵便以外の手段を利用する人もいるかもしれません。請求書は、郵便法および信書便法で規定された信書に該当するため、必ず郵便で送付する必要があります。例えば日本郵便の場合、ゆうパック、ゆうメール、ゆうパケット、クリックポストで請求書を送付することはできません。請求書をなるべく早く送りたい場合は速達を利用しましょう。
請求書の再発行に期限はあるのでしょうか。再発行の期限は法律で決められていませんが、債権(請求書)そのものに有効期限が設定されています。債権などの権利を行使しないまま一定期間が経過した場合、権利が消滅することを消滅時効と呼びます。現行の民法によると、債権の消滅時効は5年間です。(※)つまり、取り引きの事実が発生してから、5年以内に請求書などの証憑書類を発行しなければ、消滅時効を迎えることになります。請求書の再発行は、なるべく早く行うことが大切です。再発行までに5年以上かかるケースはほとんどありませんが、請求書には有効期限が設けられていることを知っておきましょう。
(※)参考:e-Gov法令検索「民法」
請求書に訂正すべき項目があった場合は、お詫びの送付状やメールを出し、新しい請求書に差し替える必要があります。特に請求書の金額や支払日に重大な誤りがある場合、取引先に迷惑がかかるため、すぐに謝罪することが大切です。再発防止策も合わせて申し述べることで、しっかりと謝意を伝えられます。例としては以下のようば文面が想定されます。
株式会社〇〇様
御担当者様
株式会社△△
営業部
田中太郎
件名:請求書未送付のお詫び
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日は〇〇のご注文をいただき、誠にありがとうございました。
早速商品を発送させて頂きましたが、その際、請求書の同封を忘れておりました。
つきましては、改めて請求書を郵送いたしましたので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
この度は、弊社の手違いにより、大変ご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
今後は、このようなミスが起こらぬよう、発送業務のチェック体制を強化し、再発防止に努めてまいります。
まずは略儀ながら、書中をもちましてお詫び申し上げます。
敬具
請求書の間違いのお詫び状を送るときは、以下のような体裁にすることが一般的です。
請求書の日付ではなく、お詫び状を送付した日付を記載しましょう。一般的なビジネス文書の様式のとおり、日付は右寄せで、和暦と算用数字の組み合わせで記載します。
お詫び状を送付する相手の会社名、部署名、担当者名を記載します。記載する箇所はお詫び状の左上です。名前の書き間違えがないように、送付する前に必ず確認しましょう。
自分の会社名、部署名、担当者名を記載します。お詫び状の宛名の次の行に、右寄せで記載することが一般的です。
お詫び状の件名を大きく記載します。請求書の金額を訂正する場合は「ご請求金額についてのお詫び」、その他の誤表記があった場合は「ご請求書の誤表記についてのお詫び」と記載しましょう。お詫び状の代わりにお詫びメールを送る場合は、メールの件名の欄に記載してください。
一般的なビジネス文書と同様に、時候の挨拶や日頃の感謝などの言葉を伝えます。
請求書の間違いの内容や、間違いが発生した経緯、今後の再発防止策について簡潔に分かりやすく記載します。
最後に結びの言葉を記載しましょう。お詫び状の右下には、右寄せで敬具の文字を記載します。
請求書の間違いはヒューマンエラーが原因です。特にExcelなどのオフィスソフトを使用し、請求書の単価、数量、金額などを入力している場合、手作業による入力ミスや転記ミスが発生します。請求書のミスをなくすには、請求業務における手作業の割合を減らし、請求書の作成を自動化する必要があります。例えば、請求書発行システムを導入すれば、契約書や注文書などのデータを利用し、そのまま請求書を作成することが可能です。
また、請求業務そのものをアウトソーシングする方法もあります。請求書の作成だけでなく、受取りや代金支払い、データ化、保管などの業務をまとめて委託することが可能です。請求書のミスを減らしたい人は、請求業務の代行・一括化サービスの利用を検討しましょう。
請求書の金額や支払日に間違いがあったら、新しい請求書を再発行しましょう。ビジネス上の慣例として、二重線や訂正印を用いた訂正は認められていません。請求書を再発行するときのポイントは4つです。
民法改正により、請求書の時効は5年間に延長されました。請求書に間違いがあると取引先に迷惑がかかるため、まちがいに気付いたらなるべく早く再発行しましょう。請求書の間違いが起きる原因は、手作業による入力ミスや転記ミスです。請求業務の代行・一括化サービスを利用すれば、請求書のミスを未然に防ぐことができるでしょう。